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【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(32)

2022-08-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(32)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(7)局部の神経症状
  ① 認定例(2)
   ・ 病院勤務(固定時30歳)の右膝のケロイド状の瘢痕及び同ケロイド部の痛み(14級9号)につき,ケロイド状瘢痕に起因する症状は短期間で消失するとは言い難いとして,37年間,5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 大工(固定時51歳)のRSDを否定された左上肢の神経症状及びこれに伴うと考えられる関節可動域制限(14級9号)につき,医師が左手関節部に腫脹を認めX線検査で左橈骨遠位端骨折があると判断していたこと,飲食業や大工等の左手を使用する頻度が比較的高い職業に従事してきたこと,年齢等に照らし,時間的経過により軽減されるとは言い難いとして,16年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 引越業等(固定時32歳)の左足部骨折後の左足部痛(12級13号)につき,画像上第1TMT関節に骨折後の変化と関節面の不適合性が認められることなどから,緩解の見込みは認め難いとして,25年間,14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ デスクワークのシステムエンジニア(固定時43歳)の左膝内側側副靱帯損傷後の左膝関節部痛(14級9号)につき,加害者側は減収が生じていないと主張したものの,後遺障害の内容に鑑み,事故時の収入445万余を基礎に,24年間,5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 看護師(固定時42歳)の右示指及び左膝関節の神経症状(併合14級)につき,67歳までの25年間,5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 公認会計士資格を有している会社員(固定時30歳)の両膝の二次性変形関節症等による強度な常時疼痛(12級13号,併合11級)につき,後遺障害の原因は,両側脛骨関節軟骨損傷であり,関節軟骨には血が通っていないため,損傷すると自然治癒することはないとされ,逆に事故による損傷をきっかけに,更に軟骨がすり減り,悪化していく可能性も指摘されていることから,37年間,20%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 主婦(固定時46歳)につき,高次脳機能障害を否定したが,脳脊髄液減少症及び胸郭出口症候群を認め,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とし,固定時から7年間は35%,その後14年間は14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 大学生(固定時21歳)の左膝前十字靱帯損傷による左膝疼痛(12級13号)につき,損傷された前十字靱帯が自然修復することは稀で,変形性膝関節症に至る可能性があり,数年程度の経過により症状が馴化され,後遺障害の程度が軟化するとしても,その後に悪化する可能性があるとして,22歳から67歳まで45年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 海上自衛隊員(固定時39歳)の頸椎・腰椎・右肩関節の運動時痛(併合14級)につき,特別損害との加害者側の主張を排斥し,固定後も海上勤務につけないため乗組手当及び航海手当を受給できない損害として3年分375万7069円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 むち打ちや末梢神経障害では,後遺症が認定されないと思われている方も少なくないと思いますが,まったく違います。むち打ちや末梢神経障害であっても,12級または14級に認定されることはあります。特に,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,むち打ち案件で後遺症の申請(被害者請求)をした場合,大半が14級以上を獲得しています。
 適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(31)

2022-07-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(31)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(7)局部の神経症状
   交通事故でもっとも多い受傷が,首や腰のむち打ちです。首や腰に痛みが残るだけでなく,場合によっては神経が圧迫されることで手,足にシビレが生じることがあります。
   また,末梢神経が傷つくことで,手,足の痛みやシビレが生じる末梢神経障害も多い症例といえます。
   自賠責保険では,「12級:局部に頑固な神経症状を残すもの」,「14級:局部に神経症状を残すもの」が認定されます。
   12級は事故が原因のヘルニアがMRIで客観的に確認できるもの(神経根症状)で,14級は客観的に症状を裏付けられないが症状が一貫して将来において回復困難と推定されるものです。
   認定されるには,①早期に,レントゲン,MRIを撮影する,②事故直後,治療中,症状固定時に,神経学的検査(テスト)をする,③事故後すぐに医療機関に通院する,④接骨院でリハビリをする場合でも,整形外科の通院を丸1ヶ月以上空けない,⑤自覚症状をしっかり訴えることが必要になります。

  ① 認定例(1)
   ・ 会社員(固定時29歳)の頸椎前弯消失という物理的症状を伴う頚部から左上腕にかけての神経障害(14級9号)につき,37年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 主婦(固定時63歳)の唇横の線状痕及び瘢痕(12級14号)と左右足の骨折部のしびれ等の神経症状(各14級9号,併合12級)につき,左右足の神経症状は立ち仕事の多い家事労働に支障を来すこと,神経症状は骨折に基づくものであること,顔面醜状は家事労働能力を喪失させるものではないことなどを総合し,平均余命の約2分の1,5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 派遣社員(固定時38歳)の左尺骨茎状突起骨折後の左手首の痛み等(12級12号)につき,10年間14%,その後19年間10%の労働能力喪失を認めた。
   ・専業主婦(固定時36歳)の右膝挫傷後の右膝痛(14級9号)につき,事故6年経過後も右膝痛が残存し,ひどい時には点滴治療を受けていること,足に負担の掛かる家事に支障が生じていること,後遺障害診断書に将来の憎悪の可能性を認める記載があることから,31年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社役員(固定時41歳)につき,自賠責は被害者の後遺障害(腰痛,頸部痛,上肢のしびれ,頭痛,耳鳴り,眼痛)のうち腰痛のみを14級と認定したが,症状全部につき14級に該当するとし,現在も通院していることも考慮して26年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社員(固定時37歳)の頚~後側頭部痛,左上肢しびれ,腰臀部痛等につき,MRI等から訴えと所見が神経学的に一致しており,第4,5,6頚椎神経根症によるもの(12級相当)とし,30年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 中華飯店配膳人(固定時50歳)の右上下肢の痛み(14級9号)につき,症状固定後も2回職場への復帰を試みたが体が続かずに短期間で辞めさせられたこと,事故から4年近く経過した現在でも復職出来ていないことなどの事情を考慮し,事故時の収入366万円余を基礎に,17年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社員(固定時45歳)の右頬骨骨折に伴う右眼窩下神経損傷による右眼・頬部周囲のしびれ及び三叉神経痛(14級9号)につき,仕事はパソコンの画面を見ながら行う眼に負担のかかる作業が多く,これを継続する時間が短くなり効率が悪くなったと感じており,その状態が事故から3年経過した時点でも変わらないことから,22年間5%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社員(固定時44歳)の左尺骨肘骨骨頭骨折後の肘関節痛(14級9号)につき,被害者は重い部品を運ぶ作業等をしており,痛みがある部位に常に負荷がかかっているから容易に神経症状が解消するとは考えられないとして,23年間5%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 むち打ちや末梢神経障害では,後遺症が認定されないと思われている方も少なくないと思いますが,まったく違います。むち打ちや末梢神経障害であっても,12級または14級に認定されることはあります。特に,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,むち打ち案件で後遺症の申請(被害者請求)をした場合,大半が14級以上を獲得しています。
 適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:上半期の愛知県内の交通事故死者数増加

2022-07-25

 愛知県警察によると,令和4年上半期に愛知県内で発生した交通事故による死者は69人でした。過去最少となった昨年の同じ時期と比べ18人多く,大阪府の70人に次いで全国ワースト2位となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/hasseijoukyou202206.pdf

 死者数のうち歩行者が31人と4割を超えており,事故類型別で横断中が多いことから,横断中の歩行者が巻き込まれる事故が増えていることが分かります。
 また,歩行者31人のうち,65歳以上の高齢者が22人と非常に多くなっています。

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。
 なお,治療の結果,後遺障害が残り,その後事故とは別の理由で亡くなったとしても,死亡の事実は考慮せずに,事故後生存している場合と同様に後遺障害逸失利益は請求できます。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(30)

2022-07-15

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(30)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(6)RSD(CRPS)等の疼痛傷害
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
   ・ アルバイト(固定時38歳)の右上肢の疼痛,知覚低下,しびれ等の症状(労災9級,自賠責14級)につき,RSDとの確定診断は困難としつつ,症状と事故との因果関係を肯定し,15年間30%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 看護師(固定し34歳)の右膝痛,右膝の異常知覚等(自賠責非該当)につき,これらの症状がRSDであると認め,少なくとも局部に頑固な神経症状を残すもの(12級)に該当するとして,10年間14%,その後10年間10%の労働能力喪失を認めた。
   ・ システムエンジニア(固定時36歳)の左上肢のRSD(12級)につき,かなりの頻度で治療を受け,1回の治療において5ヶ所に局部麻酔を注射しなければ効果を期待できない状況にあり,軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛であるとして,31年間56%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 中国出身・中華料理店経営者(固定時43歳,自賠責12級)につき,左肩・左手関節拘縮などのRSD症状やその疼痛が影響して左肩関節及び左手関節に健側と比べて明らかな可動域制限が認められることから10級10号に相当するとし,24年間27%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 被害者(固定時39歳)の右腕の症状(14級)につき,右肘にむくみ及び激しい痛みがあり,右肘の曲げ伸ばしが困難となり,筋力が低下し,上腕骨骨頭内側萎縮壊死が認められること等から,RSDであるとし,痛みによって制約されている生活ないし仕事の状況に鑑み,9級10号に該当するとして,28年間35%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 有職主婦(固定時29歳)の頸部から左上肢にかけて残存する神経症状(自賠責12級)等につき,CRPS(RSD)の診断基準等を満たしていること,ギボンズのRSDスコア表も基準以上であること,複数の医師がRSD・CRPSに罹患したとの診断をしていること等から,10級程度のRSD・CRPSと認定し,38年間27%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 調理師(固定時39歳)の右膝等の疼痛,左上肢等のしびれ(自賠責それぞれ14級)につき,右膝の疼痛はカウザルギーとは認められず,自賠法施行令上のCRPSとは認められないが,日本版CPRS判定指標は満たす旨の専門的知見があったこと等から,12級13号と認定し,左上肢等のしびれについても12級13号と認定して併合11級としたうえで,28年間20%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 土木工事業(固定時46歳)の右上肢の障害(自賠責10級)につき,自賠責保険が定める要件を含めCRPSタイプⅠ(RSD)の発症を基礎づける所見があるとして,右上肢CRPSタイプⅠ(RSD9級)と認定し,頸部の神経症状(14級)と併せて9級としたうえで,21年間35%のい労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 CRPS(RSD,カウザルギー)は,猛烈な痛みの伴う難治性の後遺症です。また慢性化することで精神的にも追い込まれることは少なくありません。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(29)

2022-07-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(29)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(6)RSD(CRPS)等の疼痛傷害
   交通事故で受傷すると,交感神経が作用して(高ぶって),血管が収縮して止血します。傷が治ると交感神経の作用(高ぶり)が落ち着くのですが,交感神経の異常によって,高ぶりが落ち着かないことがあります。交感神経の作用(高ぶり)が続くと,血管収縮により,手,足に栄養が届かず,老廃物が溜まる一方になって,手,足に痛み,腫れ,皮膚の変化,骨の萎縮,発熱の異常が生じます。また,ギプス固定で手,足を長期固定されたことが原因で発症することもあります。
   このような傷病名を,RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)と呼ぶようになりましたが,症状は必ずしも交感神経の異常のみを原因とするのでないため(シナプス結合異常など),その後CRPS(複合性局所疼痛症候群)と呼ばれるようになりました。そして,CRPSは神経損傷の有無により,タイプⅠとⅡに分類されることになり,タイプⅠ(神経損傷が不明確)で代表的なものがRSD,タイプⅡ(神経損傷あり)で代表的なものがカウザルギーです。
後遺障害の等級としては,7級,9級,12級に認定されますが,そもそもCRPS(RSD,カウザルギー)と認定されることが最初のポイントになります。
   カウザルギーについては,神経損傷が認められることが必要です。RSDは神経損傷がないため,自賠責保険では,関節拘縮,骨萎縮,皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)が,障害のある側と正常な側を比較して明らかになっていることを必要としています。

  ① 認定例
   ・ 夫の開業する歯科医勤務(固定時53歳)のRSDにともなう神経症状(12級),左足関節機能障害(12級),肋骨骨折後の疼痛(14級),歯牙折損(14級)の併合11級につき,RSDにかかり易い心因的要素の寄与を理由に減額すべきとの加害者側の主張を斥けて,14年間20%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 大学教授(固定時48歳)の頭・頸部・腰部・右肩・右下肢・右手等の激しい疼痛や関節可動域制限,右上下肢筋力低下,右上肢知覚異常,右優位座骨神経痛,右下肢拳上制限等(移動に車椅子を使用)につき,皮膚の変化や骨萎縮はみられずRSDであるとの確定的な認定は困難であるが,器質的疾患による神経系統の障害として9級に相当するとして,19年間35%の労働能力喪失を認めた。
   ・ アルバイト(固定時27歳)の頚部挫傷から左上肢RSDを発症し,1年半後の症状固定後に左下肢にもRSDを発症した場合に,左上肢は7級4号,左下肢の独立歩行困難も7級4号で併合5級とし,将来改善されることは困難として,50年間79%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 主婦(固定時23歳)の皮膚変化は認められるものの関節拘縮も骨萎縮も認められない手足の痛みやしびれにつき,臨床用の判定指標を充たし高い確率でCRPSと診断できるとの医学的意見もあることから,客観的かつ厳格な要件が設定されている自賠法施行令上のRSD認定には至らなくても,他覚的所見を伴う「頑固な神経症状を残すもの」(12級)には該当するとして,44年間14%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 CRPS(RSD,カウザルギー)は,猛烈な痛みの伴う難治性の後遺症です。また慢性化することで精神的にも追い込まれることは少なくありません。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(28)

2022-07-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(28)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(5)PTSDその他非器質性精神障害
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
   ・ 主婦(固定時29歳)の微熱,いらいら感,めまい,吐き気,抑うつ感等の症状(自賠責14級10号)につき,PTSDを否定し,器質的障害も認められないとしながら,十分な家事労働を行えず複数回自殺未遂もあることなどから9級10号として,10年間35%の労働能力喪失を認めた。
   ・ ツアーガイド(固定時21歳)の頚部疼痛等,PTSDの症状を呈する外傷性神経症(併合14級)につき,14級10号は超えないとしながら,被害者の症状に照らして10年間10%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 主婦兼看護助手につき,事故により中等度のPTSDで12級相当の後遺障害が残ったとし,PTSD以外の頸椎捻挫後の頸部痛,両上肢痛しびれ,頭痛等(14級),腰椎捻挫後の腰痛,両下肢痛等(14級)とあわせて,10年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社役員(事故時51歳)の不安・抑うつ気分,痙性斜頸等の精神症状につき,診断名はともかく9級と認め,身体的障害(併合11級)と全体で併合8級とし,身体的障害に器質的損傷が認められないこと,精神的障害はPTSDとまでは人展することができないこと,加害者の損害賠償義務を認めた判決により精神障害の回復が期待されることから,10年間45%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 専門学校生・アルバイト(固定時28歳)につき,PTSDは否定したが,鬱状態は9級10号に該当するとし,10年間35%,その後29年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社員(固定時34歳)につき,抑うつ状態等は非器質性精神障害として9級10号に該当するとして10年間35%の労働能力喪失を認め,後遺障害認定はその内容と程度を診断名を参考としながら適正な等級を認定するものであり,要件内容の明らかでないPTSDへのあてはめはあまり意味を有しないとした。
   ・ 看護師(固定時31歳,自賠責は脊柱変形,精神障害の併合11級)につき,PTSDにより就労可能な職種が相当程度に制限されるとして,事故後の平成16年改正の認定基準に基づき9級10号(脊柱変形との併合8級)に該当するとしつつ,今後の症状改善が期待されるとし,症状固定から12年45%(8級),以降67歳まで20%(11級)の労働能力喪失を認めた。
   ・ 就職活動中の被害者(固定時32歳,自賠責非該当)につき,PTSDに罹患したと認定し,事故を連想するような場面に出くわすとフラッシュバックがよく起こり,不眠なども続いているという症状は,就職及び職務の実施にある程度の支障があり,11級相当として,10年間20%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 看護職員(事故時32歳)の非器質性精神障害及び頸部痛等(自賠責併合14級)につき,事故後PTSDと診断されたこと,被害者の主観としては生命に関わるような大事故であったこと,労災認定基準では12級相当に該当する所見があることなどから併合12級と認め,10年間14%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 非器質性精神障害は,後遺障害が認定されない,もしくは低い等級で認定されることがあるものの,自賠責保険より高い等級や喪失率で逸失利益が認定された事例もあります。 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(27)

2022-06-24

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(27)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(5)PTSDその他非器質性精神障害
   非器質性精神障害とは,脳の器質的損傷を伴わない精神障害のことです。非器質性精神障害にあたる病名としては,PTSDのほか,うつ病,外傷性神経症,不安神経症,強迫神経症,恐怖症,心気神経症,神経性無食症などの神経症(ノイローゼ)や統合失調症など,さまざまです。
   非器質性精神障害は,交通事故に直接関連する身体的外傷や心的外傷などの要因に加えて,被害者個人の環境的要因や固体測要因などが複雑に関連しあうため,因果関係の認定が難しいという問題があります。
   また,非器質性精神障害は,ある程度症状が続いても,その後に治癒する可能性があり,症状固定の判断が難しいという問題もあります。一般的な後遺障害では6ヶ月で症状固定しますが,非器質性精神障害は事故受傷後1年ほどをその判断期間としており,他の障害よりも長い期間,症状固定の判断に掛けなければなりません。
   非器質性精神障害が後遺障害として認定されるためには,精神科などの専門医による診療を受け,治療と投薬がなされ,十分な治療期間があったにもかかわらず,具体的な残存症状や能力の低下が見られ,それらに対する回復の見込みに関する判断(症状固定)が適切に行われていることが重要なポイントになります。
   認定される等級は,治療の経過・時間,身体的障害の状況,事故外要因,予後状況等を総合的に判断して,第9級,第12級,第14級の3段階になります。

 ① 認定例
  ・ 小学生(事故時11歳)につき,具体的症状等を検討のうえPTSDとは認定せず,特定不能の不安障害9級10号とし,身体能力や知的能力の点では就労に制限はないが,単独で外出が困難で就業できる職種が相当限定限定されるとして,18歳から10年間35%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 喫茶店経営者(固定時49歳)につき,PTSDを認定せず,ヒステリー症状,混合性解離性(転換性)障害2級3号として,67歳まで100%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 脳神経外科医の抑うつ気分,意欲の減退,食欲不振,不眠12級13号につき,手指の機能・感覚の異常等を精査するため入院する必要があり,これによって休職し,復職への不安等から抑うつ状態となり,症状が悪化しうつ病になった経緯等から本件事故とうつ病発症との間に相当因果関係を認め,素因減額をせず,10年間14%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 主婦(固定時47歳)の非器質性精神障害につき,症状は14級を上回るものともいえるが,事故後のストレス因子に対する過剰反応等から相当因果関係ある後遺障害の程度としては14級とした上で,症状消退の蓋然性の有無は判然としないとして20年間5%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 非器質性精神障害は,被害者の精神的ショックの大きさに対して,後遺障害が認定されない,もしくは低い等級で認定されることも多くあります。適正な等級が認められるためには,早めに精神科医の診察を受けるとともに,交通事故による後遺障害に強い弁護士に相談することが大切です。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(26)

2022-06-20

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(26)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(4)脊髄障害
脊髄損傷は,損傷した部位によって,四肢麻痺(両手および両足),片麻痺(左右いずれかの両手および両足),対麻痺(両手または両足),単麻痺(左右いずれかの手または足)が生じます。
発症部位と症状に合わせて,第1級1号,2級1号,別表第2の3級3号,5級2号,7級4号,9級10号,12級13号のが認定されます。
脊髄損傷を被ると,日常生活は大幅に制限され,収入も閉ざされ,大変な介護が必要となります。また,将来的に,筋力や循環器機能の低下に伴う合併症が生じるリスクも否定できません。被害者だけでなく介護を行う家族の将来を考えると,何より適正な賠償額を獲得することが重要になってきます。

<自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例>
・ 昼間は会社作業員として,夜間は寿司店配送運転手として二ヶ所に従事していた被害者(39歳)につき,自賠責は脊髄損傷等による四肢不全麻痺の程度は軽度として12級と認定したが,握力等低下で労働能力喪失の程度は通常の12級より高度であるとして,29年間20%の労働能力喪失を認めた。
・ 高校生(固定時22歳)の頸部痛,左下肢の筋力低下,知覚障害及び歩行障害(自賠責非該当)につき,明らかな脊髄症状が残存し9級10号に該当するとして,45年間35%の労働能力喪失を認めた。
・ エステティシャン(事故時34歳,自賠責はそしゃく機能障害,左肩関節機能障害等併合9級)の左肩腕の不随運動(自賠責非該当)につき,頸髄損傷によるミオクローヌスによるものとし,左肩関節は用廃状態,左手の能力もほぼ喪失に近く,仕事が不可能になっただけでなく日常生活にも影響が出ているとして,67歳まで75%の労働能力喪失を認めた。
・ 塾講師・家庭教師(固定時43歳)の両上下肢麻痺及び排尿障害(自賠責非該当)につき,MRI画像等により外傷性椎間板ヘルニアが発生していること,右椎間板ヘルニアにより脊髄損傷を生じたことが認められ,本件事故後両上下肢麻痺及び排尿障害が生じたことなどからすれば,右症状は社会通念上本件事故によって脊髄損傷を負ったために生じたものであるとして1級相当とし,賃金センサスの7割を基礎に,67歳まで100%の労働能力喪失を認めた。
・ 電気調査員(固定時57歳)の左手掌のしびれ,左肩の鈍さ,左手指の巧緻運動障害,左下肢の脱力,左手握力低下等(自賠責非該当)につき,精髄損傷に由来する9級10号に相当する後遺障害であるとし,12年間35%の労働能力喪失を認めた。
・ 建築業(事故時36歳)の頸髄損傷(自賠責7級4号)につき,中心性頚髄損傷後の後遺障害は,上肢につき軽度の麻痺,下肢につき中等度の麻痺を残すとして3級と認定し,脊柱の変形障害(11級)と併合して2級と認めたうえで,本件事故により受傷して入院したため仕事ができず,症状固定後も併合2級の後遺障害が現存して就労できないままであることなどから,休業期間を含め31年間100%の労働能力喪失を認めた。
・ 水泳等インストラクター(固定時50歳)の脊髄損傷による完全対麻痺(別表1の1級1号)につき,自賠責は中心性脊髄損傷による下肢の麻痺等を既存障害(12級13号)としたが,本件事故時において日常生活に支障がないほどにまで改善していたこと,本件事故後職場に復帰したが,慣らし勤務として開始されるなど勤務先の配慮が大きく,その後疼痛のため退職したこと等の事情を踏まえ,既存障害を労働能力算定にあたって考慮せず,17年間100%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 脊髄損傷では,適正な等級を取得することはもちろんのこと,将来の介護費用,住宅改造費など経済的負担が多くなるため,適正な賠償額を獲得することが重要となってきます。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:人身傷害保険利用時の請求について(最判令和4年3月24日)

2022-06-10

 交通事故の被害に遭い,こちらにも過失が大きい場合は,被害者やその家族が加入する人身傷害保険を利用することが多くあります。
 人身傷害保険では,被害者に過失がある場合でも,人身傷害保険を利用するときは過失割合にかかわらず定額の補償がされますが,利用後に相手方に請求するときは過失相殺されます。
 この際の過失相殺の方法について,過失相殺分は,被害者の請求側で考慮されるのか(絶対説),人身傷害保険側で考慮されるのか(裁判(訴訟)基準差額説)の2種類があります。

例:弁護士基準での損害が総額1000万円,人身傷害保険での補償額が500万円,過失割合が20:80の場合

1.絶対説
被害者は,人身傷害保険で補償を受けた差額分(1000万円-500万円=500万円)を請求したいところですが,過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は,被害者の請求側で考慮されるため,被害者が請求できる金額は,300万円となります。(500万円-200万円)。
一方,人身傷害保険から相手方への請求(求償)は500万円です。

2.裁判(訴訟)基準差額説
過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は,人身傷害保険側で考慮されるので,人身傷害保険から相手方への請求(求償)は300万円になります(500万円-200万円=300万円)。
一方,被害者の請求できる金額は,500万円です。

この問題については,最高裁判所が,裁判(訴訟)基準差額説を採用するに至っています(最判平成24年2月20日判時2145号103頁)。

その後,人身傷害保険会社が自賠責保険を受領していた場合に,人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めた裁判例が出ました(福岡高判令和2年3月19日,判例タイムズ1478号52頁)。
上記の例でいうと,人身傷害保険会社が自賠責から120万円を受領していた場合,被害者の請求額500万円から120万円を控除し,被害者の請求できる金額は380万円となります。
この裁判例は保険会社寄りの内容となっており,裁判(訴訟)基準差額説を主張した際の反論として保険会社が引用することが多くありました。

しかしながら,この裁判の上告審において,最高裁判所は,福岡高判を破棄して,人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めないと判断しました(最判令和4年3月24日)。
上記の例でいうと,人身傷害保険会社が自賠責から120万円を受領していた場合でも,被害者の請求できる金額は500万円となります。

今回の最高裁判所の判断は被害者寄りの内容となっています。弁護士法人しまかぜ法律事務所では,これまでも裁判(訴訟)基準差額説で相手方へ損害賠償請求をして解決しています。今後も裁判(訴訟)基準差額説で請求を行い,最判令和4年3月24日のように人身傷害保険金が自賠責保険を受領していた場合において,損益相殺を認めずに相手方へ損害賠償請求していきます。
被害者にとって最も適する解決方法を考えてアドバイスし,交渉していきますので,過失割合がある案件,人身傷害保険利用後の相手方への請求案件でお困りの方は,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所にお問い合わせください。

【コラム】:死亡事故の賠償内容について

2022-06-06

 愛知県警察によると,令和4年5月の交通事故死者数が15人となり,前年に比べ増加しています。特に名古屋市内では,5月12日~22日の10日間に3件3人の交通死亡事故が発生し,今年2回目の「交通死亡事故多発警報」が発令されました。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou220531.pdf

 6月は,梅雨入りし天候が不安定となります。天候が悪くなると視界が悪化しますので,ドライバーはスピードを控えるなど安全運転を心がけてください。また,歩行者や自転車の方も,ドライバーから見えていないかもしれないと考えて,安全な行動を取ることが大切です。

 もし,交通事故の被害に遭い死亡した場合,請求できるのは以下の項目です。
1.治療費
  救命治療などに要した治療費を請求できます。

2.葬儀関係費
  死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。ただし,若年で亡くなられた場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。

3.死亡慰謝料
  2500万円ほどで認定されることが多いです。
  もっとも,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって,更に増額しての解決をしています。

4.死亡逸失利益
  死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
 ① 基礎収入は,給与所得者は事故前年の収入です。若年労働者(概ね30歳未満)の場合は,全年齢平均の賃金センサスを用います。
   家事従事者は,女性労働者の全年齢平均の賃金センサスとなります。
② 生活控除率は,一家の大黒柱の場合,被扶養者1人で40%,被扶養者2人以上で30%です。
女性は30%,男性(独身,幼児等含む)は50%となっています。
③ 就労可能年数は,原則67歳までです。
ただし,67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者については,平均余命の2分の1を就労可能年数とします。

 自賠責では上限金額が3000万円となっており,保険会社から提示される賠償額も同じくらいの金額となることが多いですが,弁護士に依頼することで,保険会社からの賠償額を大幅増額して解決できることがあります。
 特に,死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,死亡事故について解決実績が豊富にありますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

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