【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(47)

2022-12-19

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(47)
12.上肢・下肢・及び手指・足指の障害
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例(3)
  ・ 運送会社代表(固定時47歳)の右上肢の色素沈着(14級),右肩腱板断裂後の右肩関節機能障害(非該当)につき,自賠責認定基準には至らないが,軽度の可動域制限が残存していること,事故前に比べ,重い物が持てなくなり,パソコン操作や運転操作をするに当たって右肩が異常に凝るなどして,仕事に支障が出ていること等から,67歳まで5%の労働能力喪失を認めた。
・ 有職主婦(固定時54歳)の右膝関節機能障害(12級)につき,右膝について,脛骨高原骨折だけではなく,前十字靱帯,後十字靱帯,外側支持機構の複合靱帯損傷を合併した重篤な骨折脱臼を生じており,客観的には,動揺性があり,常時硬性補装具を必要とする状態であったことから,右膝関節の用廃(8級)に該当するとして,14年間45%の労働能力喪失を認めた。
・ 工場勤務(固定時22歳)の生殖器障害・骨盤骨変形(疼痛含む,11級相当),左股関節機能障害(12級)の併合10級につき,5つの機能障害が併存し,立位や座位を数時間に渡って保持する必要のある職種への就業は容易でない等から,67歳まで30%の労働能力喪失を認めた。
・ 潜水艦タンク内装塗装業務従事者(固定時28歳)の右腰部臀部痛(14級)につき,右下肢の後遺障害について他覚的所見を認めることはできないが,事故により右足による自立が困難なため,常に長下肢装具を装着し,松葉杖を使用せざるを得ず,事故当時の勤務先を退職後,就労できず職業訓練学校に通っているといった生活状況に加え,症状経過から画像に現れていないが腰部神経根の損傷があったと推測される等の診断内容をも総合考慮すると,右下肢の麻痺による機能障害が残存したとし,その程度は1下肢の3大関節中の1関節の用廃(8級)と同程度として,67歳まで45%の労働能力喪失を認めた。
・ リフォーム業(固定時74歳,併合14級)につき,事故前から無症状の腱板断裂を発症していた,関節可動域角度の悪化は不自然との加害者側の主張を敗訴し,右肩腱板損傷後の右肩関節機能障害は10級にがいとうするとし(併合10級),平均余命の半分(6年間,27%の労働能力同率を認めた。)

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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