その他の後遺症について(植物状態・咀嚼障害)

極めて重篤な障害である遷延性意識障害(植物状態)と、相談案件も多い咀嚼障害について、説明させていただきます。

 

○遷延性意識障害(植物状態)

評価損遷延性意識障害とは、重傷を負い、意識不明のまま寝たきりになっている状態のことで、一般的に植物状態と言われているものです。遷延性意識障害は、交通事故の後遺症の中でも、最も重篤な後遺症だと言われています。

大切なご家族が遷延性意識障害と診断され、とてもお辛い思いをされているかと存じます。今までのように、会話をしたり、一緒に食事をしたり、笑顔を交わすことさえもできなくなってしまう深い悲しみは想像するに余りあります。

遷延性意識障害になると常に身守りや介護が必要になります。遷延性意識障害の患者が暮らしやすい環境を整えるには、適正な後遺症の等級認定を受け、適正な賠償金を得ることが大切です。

遷延性意識障害の定義については、日本脳神経外科学会による定義(1976年)が一般的で、以下の6項目が医療によっても改善されずに3ヶ月以上続いた場合を遷延性意識障害といいます。
 1 自力移動ができない。
 2 自力摂食ができない。
 3 し尿失禁がある。
 4 声を出しても意味のある発語ができない。
 5 簡単な命令には辛うじて応じることもできるが、意思疎通はほとんどできない。
 6 眼球は動いていても認識することはできない。

 

〈後遺症を獲得するのに必要なこと〉

遷延性意識障害について、自賠責保険は次の基準で後遺症の等級を認定しています。
1級 神経系統の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

遷延性意識障害になると常に介護を要するため、通常は後遺症等級1級が認定されることになります。

しかしながら、CT画像、MRI画像、医師が診察して作成した後遺障害診断書などの適切な資料を用意しないと、適正な等級認定がされないこともありますので注意が必要です。

 

〈賠償額の増額〉

等級として1級が認定されると、賠償額が非常に高額になりますので、保険会社は自分たちの負担を減らすために、任意保険基準による不当に低額な賠償額を提示することが予想されます。

任意保険基準と弁護士基準(裁判基準)は大幅に乖離しますので、弁護士が交渉することで大幅な賠償金の増額が期待できます。

遷延性意識障害で請求できる項目は、次で説明しますが、各項目の内容は被害者や近親者が置かれている状況で大きく影響されますので、交通事故に強い弁護士かどうかで賠償額が数千万変わることも少なくありません。

しまかぜ法律事務所では、損害賠償額診断サービスを無料で実施しており、費用を気にせず、お気軽にご相談ください。

 

・治療費

・傷害慰謝料(入院慰謝料)

詳しくは「慰謝料の相場と3つの慰謝料基準」をご覧ください。

 

・付添看護費(将来の付添看護費を含む)

これ以上治療を続けても良くならない状態に達したことを症状固定といいますが、この時点まで介護費用を請求できます。

また、遷延性意識障害となると、将来にわたって介護が必要となりますので、症状固定後の介護費用も請求できます。

介護費用は平均余命まで認められるとする裁判例が多数を占めていますので、将来の介護費用は高額になることが一般的です。

また、完全看護体制がとられている病院でも、実際には家族の補助が必要になる場合があれば、近親者付添人の介護費用も損害として認められています。

 

・後見申立てに要した費用

遷延性意識障害となると、被害者本人には判断能力がありませんので、財産管理や示談交渉を行うために、家庭裁判所に成年後見人選任の申立をする必要があります。

この成年後見申し立てに要した費用については、損害賠償請求の中に含めることができます。

 

・被害者の後遺症慰謝料

詳しくは「後遺症の慰謝料を自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)で比較」をご覧ください。

 

・近親者の後遺症慰謝料

大切な家族が重篤な後遺症を負い、近親者としてもあまりに辛く、また大変な介護を要することになりますので、慰謝料が請求できます。

 

・逸失利益

遷延性意識障害にならなければ、将来働くことによって得られたはずの利益を請求することができます。遷延性意識障害になると、労働能力を100パーセント喪失しますから、年齢や収入状況によって、逸失利益は非常に高額なものになります。
詳しくは「交通事故で後遺症を負った方へ」をご覧ください。

 

・将来の雑費

おむつ代、人工的な導尿のためのカテーテルなどの用具代、食事中のエプロンなど介護に必要な雑費についても、必要かつ相当な範囲で請求できます。

将来雑費についても、平均余命まで必要であるとすると、高額なものになります。

 

・将来の治療費

現状維持のため医師による往診と投薬の続行の必要性があれば、将来の治療費と自宅療養雑費が認められます。

 

・その他

介護のために家屋や自動車などを改造したり、転居をしたりすることが必要になる場合、そのような費用についても、必要かつ相当な範囲で損害として認められます。

 

○咀嚼の機能障害

交通事故で顎を強打すると、かみ合わせ障害、咀嚼筋の損傷、顎関節の損傷、開口障害が生じることがあります。

これらは咀嚼の機能障害として後遺症が認められますが、今までの好物が食べられなくなり、軟らかい物でも食事に時間がかかるようになり、非常に辛い後遺症の一つです。

 

〈後遺症を獲得するのに必要なこと〉

咀嚼の機能障害について、自賠責保険は次の基準で後遺症の等級を認定しています。
 1級 咀嚼および言語の機能を廃したもの
 3級 咀嚼または言語の機能を廃したもの
 4級 咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの
 6級 咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの
 9級 咀嚼および言語の機能に障害を残すもの
10級 咀嚼または言語の機能に障害を残すもの
12級 頑固な神経症状を残すもの

咀嚼の機能障害は、同じ口の障害である言語の障害(喉頭の損傷などで言葉が出ない)との総合評価で等級認定されます。
自賠責保険の基準の表現は具体的には次のとおりです。 

1級および3級の「咀嚼の機能を廃する」とは、味噌汁やスープ等、流動食以外は摂取できないものをいいます。

4級および6級の「咀嚼の機能に著しい障害を残すもの」とは、お粥、うどん、柔らかい魚肉またはこれに準ずる程度の飲食物でなければ噛み砕けないものをいいます。

9級および10級の「咀嚼の機能に障害を残す」とは、ご飯、煮魚、ハム等は問題がないが、たくあん、ラッキョウ、ピーナッツ等はかみ砕けないものをいいます。

12級は、開口域が正常時の半分以下となり、咀嚼に相当の時間を要することです。

認定のために必要なことは次のとおりです。

 

①早期に、レントゲン、MRIを撮影する。

顎の骨折を確認するためにはレントゲン、顎関節や関節円板の状況を確認するためにはMRIが重要です。

 

②事故直後、治療中、症状固定時に、開口域の検査をする

 

③食事に支障のある物をメモしておく。

後遺症の申請にあたって、咀嚼状況の報告書を提出しますので、日頃からメモを作成しておくと便利です。

しまかぜ法律事務所は、適正な等級認定と賠償額を獲得して、苦しむ被害者や近親者を少しでも救いたいと考えています。被害者を全力でサポートいたしますので、ぜひ、お問い合わせください。

 

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