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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(15)

2026-07-03

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります。
 
5.車両保険
 ・ 車両保険金につき,その計算方法として,修理費用から免責金額を差し引く形で算出されていることに照らすと,その代位処理は修理費用の枠内で行われるべきであるとし,そのうえで,保険法25条に照らし,まず修理費用の被害者側過失部分に充当し,残額を修理費用の加害者側過失部分に充当し,後者の部分について保険代位が生じるとした。
 ・ 車両損害保険金につき,物的損害の全体を填補するものと解するのが相当であるとして,修理費用及び休車損害の被害者の過失部分に充当し,その残額が加害者の過失部分に充当されるとして,残額及びこれに対する遅延損害金の範囲で保険代位が生じるとした。
 ・ 車両保険共済金につき,まず修理費用とレッカー費用の被害者過失部分に充当した上,その残額を加害者過失部分に充当し,後者につき,共済協同組合が代位するとした。
 ・ レンタカー代として受領した保険金が,過失相殺後の物的損害額と当該保険金額の総額が過失相殺前の物的損害総額を超えないことから,損益相殺の対象にならないとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,損益相殺の対象であるかを正しく判断し解決していますので,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:損益相殺・損害の補填等(14)

2026-06-26

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります。
 
4.人身傷害(補償)保険
(2)人傷保険会社による自賠責保険金受領(いわゆる人傷一括の問題)
人身傷害保険金を支払った保険会社が,加害車の自賠責保険に求償して保険金を受領した場合,人身傷害保険会社が受領した自賠責保険金を,被害者の加害者に対する損害賠償額算定においてどのように扱うかについては見解が分かれている。

・ 被害者が人身傷害保険から保険金を受領した後に,加害者に損害賠償請求を行い,被害者に1割の過失が認められた事案において,人身傷害保険金として支払われた金額のうち,損害賠償金の填補の対象となるのは,被保険者である被害者の過失に対応する損害額(過失相殺により減額される金額)を上回る部分に限られ,損害のうち被害者の過失に対応する損害額及び上記の「上回る部分」を控除した残額は,人身傷害保険会社が自賠責保険から回収したか否かにかかわらず,全額が被害者に支払われるべきであるとした。
・ 人身傷害保険会社が代位の範囲を超えて自賠責保険金を受領したとしても,それは人身傷害保険会社の単なる不当利得にすぎず被害者らには何の利得もないから,被害者らが自賠責保険金を受領した場合と同視することはできず,同金額を損益相殺の対象とすることは相当でないとした。
・ 被害者が損害賠償請求権は直接請求権を含め受領した人身傷害保険金を限度として人身傷害保険会社に移転することを承諾する旨の協定書を提出し,保険会社が代位可能な範囲を超えて自賠責保険金を受領した事案で,協定書等の説明内容は,代位条項に基づき保険代位できることを確認あるいは承認する趣旨のものと解するのが相当であり,被害者が保険会社に対して自賠責保険金の受領権限を委任する趣旨を含むものと解することはできないとし,保険会社による支払金は,全額が人身傷害保険金として支払われたものといえるから,その後に保険会社が自賠責保険金の支払を受けたことは,被害者の損害賠償請求権の有無及び額に影響を及ぼすものではないとし,代位可能な範囲を超える部分の控除を否定した。
・ 死亡事故について,人身傷害保険会社が,被害者の遺族に対して6000万円を支払ったうえで,加害車2台の自賠責保険から同額を回収した事案で,遺族から加害者らに対する損害賠償額の算定において,人身傷害保険の保険金額(3000万円)までの支払は,人身傷害保険金が支払われたものであり,人身傷害保険会社が遺族の加害者に対する損害賠償請求権を代位する範囲を超えて控除できないが,同保険金額を超えた3000万円は,自賠責保険金(損害賠償額)の立替払として払われたものだとして,その全額を控除できるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(13)

2026-06-19

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
4.人身傷害(補償)保険
(1)代位の範囲等
人身傷害(補償)保険に基づく保険金請求権と加害者に対する損害賠償請求権との関係については見解が分かれていましたが,人身傷害(補償)保険金を支払った保険会社による損害賠償請求権の代位取得の範囲等が争われた事案につき,最高裁は,人身傷害保険金を支払った保険会社は,「保険金請求権者に裁判基準損害額に相当する額が確保されるように,上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る場合に限り,その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得する」という,いわゆる訴訟基準(裁判基準)差額説を採用しています(最判平24.2.20)。
なお,被害者が損害賠償金受領後に人身傷害保険金を請求した事案については,受領した損害賠償金の控除方法につき見解が分かれています。

 ・ 人身傷害条項のある本件普通保険約款によれば,同条項に基づく保険金は被害者が被る損害の元本を填補するものであり,損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではないとして,被害者が被った損害に対して保険金を支払った保険会社は,上記保険金に相当する額の保険金請求権者の加害者に対する損害金元本の支払い請求権を代位取得するものであって,損害金元本に対する遅延損害金の支払い請求権を代位取得するものではないとした。
 ・ 被害者の遺族に対して人身傷害保険金を支払った保険会社が,被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得したとして賠償請求した事案で,人身傷害補償条項の被保険者である被害者に過失がある場合,保険金を支払った保険会社は,約款中の代位条項にいう「保険金請求権者の権利を害さない範囲」の額として,被害者について民法上認められるべき過失相殺前の損害額(裁判基準損害額)に相当する額が保険金請求権者に確保されるように,支払った保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回るときに限り,その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得すると解するのが相当であるとした(最判平24.5.29)。
 ・ 被害者が,加害者との示談後,被害者の過失割合分に相当する裁判基準にしたがった人身傷害保険金を請求した事案につき,示談額が人傷基準に基づく保険金額を上回ることから,保険約款によれば支払われるべき保険金はないとした。
 ・ 保険金を支払った人身傷害保険会社が,自賠責保険会社から回収した自賠責損害賠償額の一部は,裁判基準差額説によれば人身傷害保険会社が請求権を代位取得していなかったにもかかわらず受領したもので,法律上の原因なく利得したとして,訴訟外で対人賠償責任保険契約に基づき被害者に示談金を支払った保険会社の人身傷害保険会社に対する不当利得返還請求が認容された。
 ・ 人身傷害保険金の支払いを受けた被害者が加害者に損害賠償請求した事案において,素因減額をする場合に,当該素因が人身傷害保険の限定支払条項にいう既存の身体の障害又は疾病に当たるときは,人身傷害保険金の支払いに際して,限定支払い条項に基づく減額をしたか否かにかかわらず,被害者に支払われた人身傷害保険金は,当該素因の影響に掛かる部分を除いた損害を填補するものと解すべきであり,被害者に対して人身傷害保険金を支払った保険会社は,支払った人身傷害保険金の額と素因減額をした後の損害額のうちいずれか少ない額を限度として被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得すると解するのが相当であるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(12)

2026-06-12

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(3)充当の方法
  ② 元本から充当した例
 ・ 被害者が不法行為によって傷害を受け,後遺障害が残った場合において,労災保険法に基づく各種保険給付や公的年金制度に基づく各種年金給付を受けたときは,これらの社会保険給付は,それぞれの制度の趣旨目的に従い,特定の損害について必要額をてん補するために支給されるものであるから,同給付については,てん補の対象となる特定の損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきとし,また,制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り,そのてん補の対象となる損害は不法行為の時にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが,公平の見地から見て相当とした。
・ 労災保険法による遺族補償年金の支給を受け又は受けることが確定したときは,その支給が遺族補償年金制度の予定するところと異なって著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り,不法行為時に,逸失利益等の消極損害の元本との間で,損益相殺的な調整を行うべきであるとした。
・ 労災遺族年金,遺族厚生年金については逸失利益分に,労災葬祭料については葬儀費用分のそれぞれ本件事故当時に元本充当されたものとした。
・ 労災保険の固定前療養費については,症状固定前の治療費等の積極損害との間で損益相殺的な調整の対象とし,過失相殺後の損害金について不法行為時に損害が填補されたものと評価して元本から充当するとした。
・ 無保険車傷害保険金について,約款によれば被害者等の被る損害の元本を填補するものであり,損害の元本に対する遅延損害金を填補するものではないとした上,支払われるべき保険金の額は,損害の元本の額から被害者等に支払われた自賠責保険金等の全額を差し引いて算定すべきであり,自賠責保険金等のうち,損害の元本に対する遅延損害金に充当された額を控除した残額を差し引くことにより算定すべきではないとした。
・ 既払いの任意保険金について,治療費として支払われていて,損害費目との結びつきが明確であり,損害賠償債務元本に充当するとの黙示の合意(これにより消滅する損害賠償債務元本に対する遅延損害金の支払債務を免除するとの合意を含む。)が存在すると解するのが相当とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,損益相殺の対象であるかを正しく判断し解決していますので,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:自転車乗車時はヘルメットを着用しましょう

2026-06-05

 「交通事故防止のPOINT R6」によると,6月は自転車の死者重傷者が最多となっています。
 自転車事故で亡くなられた方の約6割が頭部に致命傷を負っており,ヘルメットを着用していない場合,着用しているときに比べ,致死率が約1.4倍高くなります。
 「頭」を守ることが命を守ることになりますので,自転車乗車時はヘルメットを着用しましょう。
  https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R8-6point.pdf

 自転車による交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な後遺障害が残存する事故につながりやすくなります。また,自転車に子供を乗せている場合,衝突によって子供が投げ出され,大きな怪我をすることもあります。
 
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われます。
 就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となりますが,労働能力喪失期間は原則18歳から(大学卒業を前提とする場合は大学卒業時)となりますので,年少者の場合は49年間となります。
 67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
 
 後遺障害の中で重篤なものとして,頭部を損傷することで生じる,遷延性意識障害や高次脳機能障害があります。
 遷延性意識障害とは,意識不明のまま寝たきりになっている状態のことで,一般的に植物状態といわれています。事故前のように,会話をしたり,一緒に食事をしたり,笑顔を交わすことさえもできなくなるため,家族の深い悲しみは想像するに余りあります。
 高次脳機能障害とは,脳が損傷することで,①記憶障害(覚えられない,思い出せない,すぐに忘れる),②注意障害(気が散りやすい,集中できない),③遂行機能障害(手順良く作業を行うことができない),④人格障害(怒りっぽくなる,疑いやすくなる),⑤コミュニケーション障害が生じることです。高次脳機能障害は外見上異常がないため,周囲から理解されることが難しく,被害者や家族が精神的にも追い込まれることが少なくありません。
 このように,遷延性意識障害や高次脳機能障害となると,被害者のみならず介護を行う家族の生活が,事故前とでは一変することになります。

 自転車事故の場合,ヘルメットを着用することで,頭部への衝撃を減らすことができますので,ご自身や大切な人を守るため,安全基準を満たす自転車乗車用ヘルメットを着用することが大切です

 賠償額が高額になると,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきます。
 ヘルメットは,着用していないことだけで著しい過失とはなりませんが,頭部外傷の傷害を受けた場合等,ヘルメットを着用していないことが損害拡大に寄与しているようなときは,5%程度過失相殺率を加算修正されることがあります。

 また,これから梅雨の時期になりますが,雨の日は,視界が悪く,路面が滑りやすくなるため,自転車事故が増える時期となります。傘さし運転は,視界が悪くなるだけでなく,片手運転によりバランスを崩しやすくなります。4月から導入された自転車の「青切符」制度での反則金は5000円となります。過失割合では10%加算修正されますことがあります。

 適正な賠償額を受け取るためには,自転車が交通ルールを守っていることも大切となります。弁護士法人しまかぜ法律事務所は,自転車の交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:損益相殺・損害の補填等(11)

2026-05-29

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(3)充当の方法
控除を認める場合でも,控除すべき金額につき,①事故日から支払日までの間に発生している遅延損害金に充当した後の残額を元本から控除する場合と,②全額を元本から控除する場合がある。
近年の裁判例には,自賠責から受領した保険金・損害賠償額を,判例(最判平16.12.20)に従わず損害元本に充当するものが散見されるが,いずれも,被害者が損害元本への充当を主張したため,裁判所がそれに従って判断したものである。
① 遅延損害金から充当した例
 ・ 事故後,自賠責保険から損害賠償額として支払いを受け,その支払額が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは,遅延損害金にまず充当されるべきものであるとした(最判平16.12.20)。
・ 3回にわたり支払われた任意保険金につき,事故日から各支払日までに発生した遅延損害金にまず充当してからその残額を損害金元本に充当し,その後支払われた自賠責保険金についても,遅延損害金,元本の順に充当した。
・ 任意保険金の各支払のうち,文書料,治療費としての各支払については,損害費目との結びつきが明確であり,元本充当の黙示の合意(これによって消滅する元本に対する遅延損害金を免除する旨の合意を含む。)が存在するものと解するのが相当として,元本に充当したが,内払いとして支払われた各金員については,損害費目との結びつきが明確ではなく,他にその明確な結びつきを認めるに足りる証拠はないとして,遅延損害金に充当した。
・ 被害者の遺族が既に医療機関に支払った治療費相当額の任意保険会社からの支払いについて,元本充当の黙示の合意があるとはいえないとして,まず既発生の遅延損害金に充当し,その残額を元本に充当した。
・ 内払金として支払われた任意保険金につき,保険会社が具体的な費目について内払い金を支払ったと認めるには足りず,内払金と費目の結びつきが明確にされていたものと認められないとして,遅延損害金から充当するのが相当であるとした。
・ 運転者と車両保有者が共に責任を負う場合(不真正連帯債務)における,先になされた一方の和解金の支払いを,他方の損害にどのように充当するかにつき,元本からではなく,事故日から和解金支払日までに発生した遅延損害金から充当した。

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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(10)

2026-05-21

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(2)過失相殺等の方法
② 労災保険法
労災保険給付は,被害者の実損害を補填するもので,加害者に対する損害賠償請求権を保障する者ではないとして,健康保険と同一の取り扱いをする例が以前はみられたが,他の損害填補と同様に扱うことが損害賠償法理にかなうものとして,過失相殺後の損害賠償額から控除する例がほとんどである。
・ 実損害から控除し,過失相殺後の賠償額から控除しなかった事例
東京地判昭47.3.8 交民5・2・335
名古屋地判昭53.11.29 交民11・6・1721
浦和地判昭61.11.26 判時1222・101
福岡地小倉支判昭63.11.30 交民21・6・1244
・ 過失相殺後の損害賠償額から控除するのが相当であるとした事例
最判平1.4.11 判時1312・97 但し,反対意見がある。
東京地判平24.7.17 交民45・4・792
東京地判平25.2.22 自保ジ1895・1
東京高判平25.3.13 自保ジ1899・1
・ 障害年金につき,労働者の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする給付であり,所得補償が主な目的で,損害の填補が主な目的ではないとして,素因減額を行う前に控除した。
・ 地方公務員災害補償法による療養補償給付につき,過失相殺後の損害額から控除した。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(9)

2026-05-15

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(2)過失相殺等の方法
① 健康保険,介護保険,国民年金,厚生年金
損害額から給付額を引いた残額に対して過失相殺をする。
・ 自賠責保険・共済において被保険者の重過失が認められ,保険金額・共済金額の減額が行われた場合,健保組合等は,過失により減額された割合で減額した額でもって加害者側に求償して差し支えない。
・ 第三者行為により生じた保険事故につき,保険者は被害者にも明らかに過失があると認めるときは,保険者において妥当な過失割合を求め,その割合に応じて求償額を減額し算定して差し支えない。
・ 健康保険組合から支払われた金額については,過失相殺前の損害額から控除するのが相当とした。
・ 50%の素因減額をすべきとされた事案において,治療費のうち社会保険が負担した金額は素因減額前に控除した。
・ 健康保険給付分の求償として全国土木建築国民健康保険組合に支払われた金額につき,その正確に即し,かつ,当事者の主張を踏まえて,過失相殺前に控除するとした。
・ 健康保険法の高額療養費及び国民年金法の障害基礎年金につき,過失相殺前に損害の元本に充当されるべきであるとした。
・ 障害厚生年金は保険料の拠出者が被用者であること,制度目的が被用者の福祉の増進であることから過失相殺前に控除するのが相当とした。
・ 障害基礎厚生年金は,被保険者の所得保障を目的とするものであって,損害の賠償を目的とするものではなく,被害者本人が拠出した保険料に基づく給付としての対価的性格を有しており,特に,障害厚生年金は,報酬に比例して保険料及び年金額が算定される仕組みが採用されているため,被害者本人にとって対価的正確が強いものであるから,これを加害者の過失部分に充当することは不合理であり,過失相殺前の損害に充当するのが相当とした。
・ 国民年金法の障害基礎年金につき,給付それ自体が損害の填補となる性質を有しないとし,過失相殺前に控除すべきであるとした。
・ 障害基礎年金及び障害厚生年金については,いずれも社会保障の面を有しているものの,他方第三者に対する求償規定を有し,損害のてん補という側面も有しており,過失相殺後に控除するのが相当とした。
・ 健康保険組合からの傷病手当金について,素因減額前に控除した。
・ 障害基礎年金につき,過失相殺および素因減額後の後遺障害逸失利益から控除した。
・ 介護保険給付は損害の賠償を目的とするものではなく,国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とするものであることからすると,過失相殺前に損害に充当するのが相当であるとした。

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【コラム】:損益相殺・損害の補填等(8)

2026-05-08

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(1)控除制限
③ 主観的範囲
・ 国家公務員等退職手当法による退職手当,国家公務員共済組合法による遺族年金及び国家公務員災害補償法による遺族補償金の各受給権者は,妻と子が遺族である場合には妻と定められているから,退職手当金の受給額は妻の損害賠償債券額からだけ控除すべきであり,子の損害賠償債権額から控除すべきでない。
・ 死亡被害者の相続人が受給権を取得した遺族厚生年金等を損害賠償の額から控除するに当たっては,現にその支給を受ける受給権者についてのみこれを行うべきものであるとして,遺族年金の受給にかかる控除を,死亡被害者の父に限定した。
・ 自動車通勤中に集水枡の溝にはまって転倒し死亡した東京都の小学校教諭(配偶者・子なし)につき相続放棄した両親が受給した地方公務員災害補償法に基づく遺族補償一時金を,集水枡の設置者である東京都が被害者の相続人である兄弟姉妹に対して支払うべき死亡逸失利益分から控除した。

④ その他
・ 将来の付添費・貸しおむつ代・室料差額につき定期金賠償を認容した事案において,被害者が自認している労災保険金,自賠責保険金及び任意保険金からの填補額については,一時金請求部分から控除するとした。
・ 事故時4歳,弁論終結時15歳の被害者につき,被害者の請求に基づき将来介護費用及び後遺障害逸失利益につき定期金賠償を認め,自賠責保険及び対人賠償保険会社から支払われた治療費につき定期金以外の一時金から控除した第一審判決を維持した。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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【コラム】:連休中の交通事故にご注意ください

2026-05-01

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,過去5年間の人身交通事故データを分析すると,自動車の単独事故死者数は5月が最多となっています。約7割が制限速度を超えていて,交通量が少ない深夜,早朝の時間帯に多発しています。
 連休中は,帰省,レジャーなどで,普段慣れない道路を走行することも多くなります。制限速度を超えた運転は重大な交通事故につながりますので,速度を控えて,命を守りましょう。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R8-5point.pdf

 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。
 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,連休中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じたなど,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,「あおり運転」の被害に遭う可能性もあります。
 もし,「あおり運転」の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,「あおり運転」の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によってケガをした場合は,損害賠償を請求することができます。
 「あおり運転」の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,「あおり運転」に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

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