【コラム】:慰謝料(19)

2024-04-19

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑫ 12級の事例(2)
   ・ 被害者(固定時9歳,左顔面裂傷等で約8年4か月の治療後に顔面醜状,線状痕2ヵ所12級)につき,加害者が飲酒して居眠り運転により事故を起こしたこと,被害者が皮膚移植の手術を繰り返したことを考慮し,傷害分222万円,後遺障害分784万円を認めた。
   ・ 塗装会社代表者(固定時67歳,左肩関節の可動域制限,左肩関節の筋力低下,上腕骨頭の約3分の1の欠損12級)につき,350万円を認めた。
   ・ 被害者(固定時43歳,左脛骨骨折後変形治癒12級のほか左膝関節の疼痛及び不安定が残存)につき,本件事故による骨折の手術中MRSAに感染し,左膝化膿性慢性骨髄炎といういつ再発するか分からない疾患を抱える状態となったことを考慮し,傷害分450万円,後遺障害390万円を認めた。
   ・ 移動式クレーン運転士(固定時41歳,左肘関節の機能障害12級,左手関節痛14級,右膝痛14級の併合12級)につき,事故時まで約13年にわたり経験を積み技能を習得してきた移動式クレーン運転士としての稼働に対する支障が大きく,長年にわたって特化してきた労働能力を大きく失わせるものとして,20%の労働能力喪失率を認め,傷害分120万円のほか,後遺障害分420万円を認めた。
   ・ 解体業者(固定時55歳,左鎖骨骨折後の難治性疼痛12級)につき,痛みをはじめとした症状自体は相当に強いと考えられ,就労への現実的な影響も無視できず,少なくとも精神的苦痛に関しては,労働能力喪失率14%として考えられる平均的な事案(12級相当)を大きく上回るなどして,傷害分341万円のほか,後遺障害分400万円を認めた。
   ・ 高校生(固定時19歳,左足疼痛12級,左足瘢痕14級の併合12級)につき,固定後に大学医学部に入学し医師として就業する蓋然性が高いことを考慮し,基礎収入を女性医師の平均賃金として逸失利益を算定したほか,将来における医師としての進路選択に一定の影響を及ぼし得る程度のものであったことを考慮して後遺障害分390万円を認めた。
   ・ 主婦兼フラダンス教室経営(事故時43歳,左鎖骨骨折後の左鎖骨の変形障害)につき,自賠責保険では後遺障害に該当しないものの顔面に傷跡が残存したことや骨盤骨折等の影響で左足を少し引きずる等の自覚症状のため教室での指導がままならなくなったこと等に照らし,被告が争わなかった22年間14%の逸失利益を認めたうえで,多発骨折等で1071日間(うち入院97日)の傷害分350万円のほか,後遺障害分350万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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