【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(48)

2023-01-13

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(48)
13.その他の障害
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
 ・ 会社員(固定時57歳,右下肢短縮13級)につき,事故による輸血で発症したC型肝炎(自賠責非該当)を12級に該当するとして,併合11級とし,10年間15%の労働能力喪失を認めた。

14.後遺障害を負った被害者が死亡した事例
 ・ 6級相当の後遺障害を残した被害者(44歳)が,症状固定後,当該事故と相当因果関係のない水難事故により死亡した場合につき,死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきではないとし,逸失利益は死亡時までに限るとした原審判決を破棄した。
 ・ 12級の後遺障害を残した被害者(高校生)が,症状固定後,当該事故と因果関係のない別件交通事故で死亡した場合につき,死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきではないとして,死亡後の逸失利益を認め,かつ,死亡後の生活費控除を否定した。
 ・ 第5胸髄以下完全麻痺の被害者(固定時21歳)が,交通事故と因果関係の認められる自殺をした場合に,死亡逸失利益算定において,被害者が独身であることから生活費控除率を50%とした。
 ・ 兼業主婦(死亡時55歳)が,事故により頭部外傷,脳挫傷等の傷害を負い,症状固定前に自殺した事案で,主位的に死亡による損害賠償,予備的に後遺障害による損害賠償を主張して算出された損害額のうち多い方を請求した場合に,事故と自殺との間に相当因果関係があるから,死亡による損害賠償と併せて後遺障害による損害賠償請求をすることは許されないとして,死亡による逸失利益を認めた。
 ・ 会社員(固定時22歳)が遷延性意識障害等により1級3号の後遺障害を残し,症状固定後約2年で死亡し,事故と死亡との間に相当因果関係が認められない場合につき,生活費控除を行うべきとの被告主張を斥けて,45年間100%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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