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【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(1)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その2 後遺症による逸失利益(1)
逸失利益とは,交通事故に遭わなければ得られるはずであった収入など,交通事故によって失われた利益のことです。
後遺症が後遺症が認定された場合,労働能力が低下して収入が減少するであろうと考えられ,以下の計算式で算定した逸失利益が請求できます。逸失利益の算定は,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮して行います。
<後遺症逸失利益の計算式>
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間によるライプニッツ係数
(1)基礎収入
逸失利益算定の基礎となる収入は,原則として事故前の現実収入ですが,将来,現実収入額以上の収入を得られる立証があれば,その金額を基礎収入とします。
なお,現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても,将来,平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば,賃金センサスの平均賃金を基礎収入とすることができます。
家事従事者の方は,賃金センサスの女子全年齢平均賃金(令和元年の統計で388万0100円)で算定します。
(2)労働能力喪失率
後遺症の等級に応じた労働能力喪失率が定められており,これが基準となります。もっとも,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断しますので,等級以上に労働能力が喪失されている場合は,その基準以上に認定されることがあります。
(3)労働能力喪失期間
① 労働能力喪失期間の始期は,症状固定日です。未就労者の就労の始期は原則18歳としますが,大学卒業を前提とする場合は大学卒業時とします。
② 労働能力喪失期間の終期は,原則として67歳です。症状固定時の年齢が67歳をこえる人は,原則として簡易生命表の平均余命の1/2を労働能力喪失期間とします。また,症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人の労働能力喪失期間は,原則として平均余命の1/2とします。
ただし,労働能力喪失期間の終期は,職種,地位,健康状態,能力等により原則と異なる場合があります。
また,事案によっては,期間に応じた喪失率の逓減を認めることもあります。
③ むち打ち症の場合は,12級で10年程度,14級で5年程度に制限する例が多いですが,後遺障害の具体的症状に応じて判断されます。
(4)中間利息控除
労働能力喪失期間の中間利息の控除は,ライプニッツ式を採用しています。
中間利息控除の基準時は,症状固定時とする事例が多いですが,事故時とする裁判例もみられます。
なお,中間利息は,以前は年5%の割合で控除するとされていましたが,現行民法では,控除される利息を損害賠償請求権が生じた時点における法定利率によるとされています。
そのため,令和2年4月1日以降に発生する交通事故の損害賠償請求について,中間利息控除に用いる利率は年5%ではなく年3%となります。
(5)生活費控除の可否
後遺症逸失利益の場合は,死亡逸失利益の場合と異なり,原則,生活費を控除しません。
(6)計算例
※令和2年4月1日以降に発生した事故を想定し,利率は年3%とします。
① 有職者または就労可能者
症状固定時の年齢が50歳で,年収500万円の会社員男性が,後遺症により労働能力が35%低下した場合。
500万円×35/100×13.1661=2340万40675円
② 18歳未満の未就労者
10歳の男の子が,後遺症により労働能力が35%低下した場合。症状固定時の賃金センサスの平均賃金は550万円と仮定します。
550万円×35/100×20.1312=3875万2560円
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(7)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
4.その他
(1)将来の休業に伴う損害
症状固定時38歳の被害者につき,50歳以上で疼痛がさらに増強したときは人工関節置換術を行う必要があり,同手術により発生すると考えられる損害についても予め請求する必要があるとして,現在の収入を基礎に,通院予定期間6ヶ月分の休業損害を認めた。
(2)事故とは相当因果関係のない原因で症状固定前に死亡した事例
事故の6ヶ月半後に事故とは相当因果関係のない喀血による窒息が原因で死亡した場合に,事故時点において被害者は健康であり,その死亡が近い将来において客観的に予測されていたなどの特段の事情がないとして,事故による骨折の治癒が予測される期間,賃金センサスを基礎に,休業損害を認めた。
(3)間接被害者に関する事例
ア 役員等が受傷した場合の損害
・ 会社役員が傷害を受け,不就労の間も会社が役員報酬を支払った場合に,支払った報酬のうち労務対価部分につき,不就労の割合に応じた分を会社の損害として認めた。
・ 受傷した代表取締役が全額出資して設立し,受傷者本人と取締役であるその妻以外に実際に業務に従事している者がいない空調設備会社につき,受傷者本人が医師から現場作業を禁止された事故後約3ヶ月の間に会社が支出した現場作業の外注費を会社の損害として認めた。
・ 代表者が受傷した航空測量会社につき,事故前年は赤字であるが,技術者が代表者1名,従業員は2名で,航空測量には技術者が必要で技術者抜きでは営業も成り立たないとして,事故による現実の売上の減少があることなどから,代表者の役員報酬減額分の休業損害と別に,会社の休業損害を認めた。
・ 中古住宅をリフォームして販売する会社を一人で営む代表者につき,会社の機関として代替性がなく,会社と経済的に一体をなす関係にあるとして,代表者が事故後約3ヶ月間業務に従事できなかった間に,会社が他の会社に外注し支出した工事費用を会社の損害と認めた。
イ 受傷した被害者の近親者の損害
・ 事故により受傷した被害者の父母につき,その経営する浴場を休業した場合に,確定申告の年収をもとに休業損害を認めた。
・ 事故により死亡した被害者の娘(ツアーコンダクター)につき,英語学校役員に同行して東南アジアの現地関係者を紹介し学校開設交渉を整える等の業務を含む1年間の学校開設援助業務の依頼を受けていたところ,出発予定日の3日前に母が死亡して役員に同行できず契約されたことを事故による損害と認めた。しかしながら,業務が1年間遂行されることがほぼ確実であるとまではいえず,業務計画の頓挫には娘の個人的な体調不良の影響もるということで,半額を損害とした。
・ 事故により死亡した被害者の次女(ジャーナリスト)につき,葬儀等から雑誌記事の休筆や執筆者を後退せざるを得なかった場合に,次女が経営する会社の減収分もその実質は次女個人の損害として評価し得るとし,事故直後の期間(1,2週間)に限って事故と相当因果関係があるとした。
・ 居眠り運転の車両が集団登校中の小学生らに衝突した事例につき,歩合制給与の引越業の会社に勤務していた父親の減収分について,捜査機関の取り調べや刑事裁判への出席は必要であるとして,減収が休業によるものか仕事の減少による出来高低下のためかは明らかではないものの,事故前年からの減収額の8割を認めた。
・ 両親経営の料理店で看板娘として手伝いをしていた女児の死亡事故後,約3.7ヶ月店を休業した両親につき,火災整理のため休業したことがあるから,その全てを事故と相当因果関係があるとは認められないが,両親の悲しみは深く,相応の期間の休業はやむを得なかったとして,死亡日から翌日末まで1.2ヶ月分の固定経費分と店舗の休業補償分を損害と認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,近親者の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(6)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
3.無職者
(2)学生,生徒等
原則として認められませんが,アルバイト等,収入があれば認められます。
また,就職遅れによる損害は,裁判では多く認められています。基礎収入は,就職が内定している場合はその就職先での給与額,内定していない場合は賃金センサスを用いて算出されます。
・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ卒業後に就労したと認められるとして,症状固定まで就労不可能であったとして,賃金センサス高卒年齢別平均を基礎に,年度ごとに休業損害を算定した。なお,症状固定日までの間に結婚しているが,家事労働を含めて算定している。
・ 短大生につき,事故後就職活動が行えなかったことなどから1年間の就職の遅れが生じた場合に,賃金センサス女性短大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 大学生につき,事故により留年し1年半就職遅れが生じた場合に,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,就職遅れの期間分認められた。
・ 大学浪人生につき,事故の翌年大学に入学した場合に,事故がなければ事故の年に入学していたものと認められるとして,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 着付けの免許をとるため専門学校へ通いながら店員アルバイトをしていた被害者につき,事故がなければ免許を取れたと認められるが,他方アルバイトの収入が月額7万円であったことから,賃金センサス女性年齢別平均の8割を基礎に29ヶ月分認めた。
・ 就職が内定していた修士課程後期在学生につき,事故により就職内定が取り消され,症状固定まで就業できなかった場合に,就職予定日から症状固定まで2年6ヶ月余の間,就職内定先からの回答による給与推定額を基礎に認めた。
・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ大学に入学・卒業していた蓋然性が高いとし,賃金センサス女性大卒20歳から24歳平均を基礎に,大学卒業年の4月1日から症状固定までを認めた。
・ 大学生につき,大学3年生になったばかりの時期で就職活動のために直ちにバイトを自粛しなければならない状況にはなかった等として,事故前日までの102日間の実収入を基礎に,症状固定まで認めた。
・ 専門学校生につき,事故がなければ翌々年4月から就労開始予定時から症状固定まで約40月分を認めた。
・ 高校生につき,事故当時のアルバイト収入及び事故後進学した大学の同級生のアルバイト収入を参考に,月額6万2000円を基礎に,症状固定まで認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,学生のアルバイト収入や,事故により就職が遅れた場合の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
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【コラム】:秋の全国交通安全運動実施中
令和3年9月21日から同月30日まで,秋の全国交通安全運動が実施されています。
(https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/news/koutsu-s/undoaki-r0109.html)
4つの重点運動に沿った交通安全運動を行い,交通事故の防止を図っています。
■子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保
歩行者が横断中の交通事故が多発しています。歩行者も交通ルール-を守ることが大切です。交差点は,信号を守り,横断歩道でも走行車両がないことを確認してから渡りましょう。
■夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上
秋になると,日没時間が早まり,夕暮れ時や夜間の交通事故が多発する傾向にあります。
反射材を活用したり,自動車や自転車の早めのライト点灯を心掛けましょう。
また,横断歩道は歩行者優先で,運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務があります。歩行者や他の車両に対する「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持って運転しましょう。
■自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底
ライフスタイルの変化に伴い通勤・通学や配達を目的とする自転車利用のニーズが高まっているため,自転車利用中の交通事故の発生が懸念されます。自転車利用中の交通事故を防ぐために,自転車安全利用五則を守りましょう。
1 自転車は,車道が原則,歩道は例外
2 車道は左側を通行する
3 歩道は歩行者優先で,車道寄りを徐行する
4 安全ルールを守る
(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止,夜間はライトを点灯,交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
5 子供はヘルメットを着用する
※ 愛知県では,令和3年10月1日より,自転車利用者の乗車用ヘルメット着用が全年齢で努力義務となります。
(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/aichi-cycle.html)
■飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶
飲酒運転やあおり運転(妨害運転)は,極めて悪質・危険な行為です。
運転する時は,「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持った運転を心がけることが大切です。
■歩行者や自転車利用者の事故の特徴
歩行者や自転車利用者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
また,歩行者や自転車利用者の事故の場合,過失割合が問題になることも多いですが,死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,適正な過失割合で解決することが非常に重要となります。
自動車との事故の場合,自動車にドライブレコーダーが搭載されていれば事故状況が明らかになりますが,自転車同士,自転車と歩行者の事故の場合は,事故状況に争いが生じることも少なくありません。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で事故の解決をしています。
交通死亡事故や重篤な後遺障害からむち打ちまであらゆる案件の豊富な解決実績がありますので,交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(5)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
3.無職者
(1)失業者
収入がなければ休業損害は生じませんが,労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性があるものは認められます。例えば,就職が内定している場合,就職活動中である場合は認められやすい傾向があります。
基礎収入は,平均賃金より下回ることが多いですが,退職前の会社の年収や,内定している会社の年収が認められることもあります。
・ 前事故で無職になったスタイリスト・デザイナーにつき,本件事故直前には就労可能の程度まで前事故に起因する障害が回復しており,就職活動をしていた矢先の事故であったことから,賃金センサス女性全年齢の8割を基礎収入として算定した。
・ アルバイトを退職して休職中の被害者につき,退職した翌日に事故に遭ったことなどの事情から,退職前のアルバイト収入を基礎として算定した。
・ 定年退職後,雇用保険受給中の被害者につき,雇用保険受給期間満了後は退職会社に再雇用される可能性があったとして,期間満了後から症状固定まで,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳を基礎として算定した。
・ 元大工につき,稼働先を探していたことなどから,大工として稼働する意思と能力があり,専門技術性に照らし後進の指導も含めて稼働先が見つかる可能性も十分あったとして,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳の8割を基礎として算定した。
・ 離職して積極的に就職先を探していたアルバイト中の被害者につき,事故前年の給与収入額を基礎に,症状固定までの期間から職を得られるまでの相当期間90日を控除した期間が認められた。
・ 著名私立大学卒業後,米国留学をしてMBAの資格を有する被害者につき,事故前に離職していたが,事故直前に就職先が内定しており,その会社から年俸,成果報酬ボーナス等の内諾を得ていたことから,その年俸を基礎に事故日から2ヶ月間は100%,その後3ヶ月間は60%,その後症状固定まで30%が認められた。
・ 約1年半前に運送業を廃業後無職の被害者につき,具体的な就職話があり健康で就業意欲もあったこと,休職期間等を考慮して,事故から3ヶ月後には運転手の仕事に就く蓋然性が高かったとし,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳の7割を基礎として算定した。
・ 事故前に就職を申し込んでいた会社から事故後に採用の通知を受けた被害者につき,治療期間中に就労を開始したが10日で受傷部の痛みのために休職し,そのまま退職していること等から,会社から支給される予定だった給与を基礎として算定し,就労により得た給与を控除して認められた。
・ 前事故で高次脳機能障害の被害者につき,本件事故当時は職業訓練を受け事故の約3週間後から障害者雇用枠で就職予定であったが,本件事故により障害者雇用枠で就職する機会を逃し,また,受傷後歩行障害により終了できない状態にあったとして,就職後得られたであろう賃金を基礎として算定した。
・ 職業訓練生兼短期アルバイトにつき,事故翌月に職業訓練が終了した後の就職先は未定で,直ちに就職できた可能性は低いこと,事故後に就業して賃金を得ていたこと等を考慮し,事故前の勤務先における年収や年齢等から,賃金センサス男性学歴計全年齢の約6割強を基礎として算定した。
・ 就労による収入を得ていなかった家業手伝いの被害者につき,相当程度の就労の意欲があったことから,事故発生1年後以降は就労する蓋然性があったとして,同日から症状固定までを休業期間としたが,若年であり就労する職種や労働内容に具体的なみとおしがあったとは認められないため,賃金センサス男女計学歴計18歳から19歳を基礎として算定した。
・ 無職につき,事故の4ヶ月前までは飲食店を自営しており閉店した理由は不景気であったこと,その後就職した会社を1ヶ月で辞めた理由も労働能力とは必ずしも関係がなかったことから,既存障害があったとしても休業損害を観念し得ないほど労働能力が低下していたとはいえないとした上で,事故の直前まで最終書に向けてハローワークに通い面接に参加するなど勤労意欲があったことから,直前の会社での月額賃金を基礎として,症状固定までの期間から職を得られるまでの相当期間90日を控除した期間が認められた。
・ 退職後1ヶ月の休職中の被害者につき,退職前の収入を基礎として算定した。
・ 一人暮らしで休職中の被害者につき,事故前は派遣社員として就労していたが,資格試験の勉強のために派遣社員を退職し,週末は実家に戻り,高齢の母の世話及び重度知的障害を有する弟の介護を行っていたことから就労の蓋然性があったとして,被害者の労働を収入に評価し,賃金センサス女性学歴計全年齢平均の50%を基礎として,事故日から症状固定日までの412日間について50%労働制限として,認められた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,失業者の休業損害は,労働能力,労働意欲,就労の蓋然性をを証明するために,どのような資料を揃える必要があるかアドバイスさせていただき,適正な休業損害を請求しています。失業者の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(4)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
2.家事従事者
家事従事者とは,家族のために料理,洗濯,掃除等の家事労働を行う人のことで,年齢・性別を問いません。両親のために家事をする子供や内縁の夫のために家事をする内縁の妻も,家事従事者となります。
家事労働の対価として報酬は発生しませんが,最高裁判所は,家事労働は財産上の利益を生ずるものであって,これを金銭的に評価することは可能であり,負傷のため家事労働に従事することができなかった期間は,財産上の損害を被ったものというべきであると,家事従事者の休業損害を認めています(最判昭50.7.8日 交民8・4・905)。
家事従事者の休業損害の計算方法は,自賠責保険基準では、基礎収入を6100円(令和2年4月1日より前に発生した事故は5700円)として,基礎収入×休業日数で計算します。
弁護士基準(裁判基準)では,賃金センサスの女子全年齢平均賃金の年収を基礎収入にします(令和元年は388万0100円,日額1万0630円)。計算方法は,基礎収入日額×休業日数(入・通院日数とされることが多い)と,主婦業がどの程度制限されたかで段階的に請求する逓減方式(例:事故から1ヶ月間は入院で100%,2ヶ月~3ヶ月は主婦業が80%制限,4~5ヶ月は60%制限,6~7ヶ月は40%など)のいずれかになります。
兼業主婦(主夫)については,現実の収入額と賃金センサスの女子全年齢平均賃金のいずれか高い方を基礎として算出します。
(1)認定例
・ 主婦につき,事故により家事ができなかった場合に,その期間の家政婦雇用費を認めた。
・ 妊娠中の専業主婦につき,出産のため入院した8日間を除き,受傷日から出産のための入院の前日まで100%,退院の翌日から90日間は60%,その後症状固定までは30%が認められた。
・ 事故前からうつ病で通院し睡眠導入剤の処方を受けていた主婦につき,心身健康な専業主婦であることを前提とする賃金センサスによる額を基準とはできないとの加害者主張を採用せず,賃金センサスの女子全年齢平均賃金が認められた。
・ 聴覚障害者である主婦につき,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,入院を含めた当初半年は100%,その余は50%が認められた。
・ 夫が医療保護入院していた被害者につき,事故当時,家事労働を行っていたとは言い難い面があるが,事故に遭わなければ夫の見舞いに行って身の回りの世話をするなどの家事労働に従事していた可能性も否定できないとして,30%が認められた。
・ 娘と家事を分担し,記事を雑誌に寄稿したり講演活動をしていた被害者につき,賃金センサスの女子学歴計65歳以上の平均80%を基礎に,当初100%,その後30%が認められた。
・ 求職中の主婦である長女夫婦と同居し,同人らのために掃除,買い物,クリーニングの依頼・受取,夕食の下ごしらえ等家事を補助していた被害者につき,賃金センサスの女子学歴計70歳以上の4割を基礎に,200日間が認められた。
・ 専業主婦につき,夫と2人暮らしであり,本件事故で夫が死亡し,事故後は他人のために家事を行う状況でなくなったところ,自分のためだけに家事を行う者に休業損害は認められないのが原則であるが,夫のために家事に従事しなければ,他で働いて収入を得る選択肢もあったと考えられ,夫を死亡させたのが加害者であることから,休業損害を認めないのは相当でないとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,89日間が認められた。
(2)兼業主婦の事例
・ 有職主婦につき,事故日から症状固定まで506日間,75%の労働能力の制限があったとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に認められた。
・ 育児休業中に事故に遭った会社員兼主婦につき,職場復帰予定日に復帰できなかった場合に,育児休業中は賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,復帰予定日から実際に復帰した日までは育児休業前の年収を基礎として認められた。
・ 英語教室開設兼主婦につき,症状が強度であること,事故後約3ヶ月後から英語教室を再開したが生徒数が減少して契約を打ち切られ教室を閉鎖したこと等から,入院期間は100%,退院後約1年は60%,その後症状固定まで35%が認められた。
・ 病院教授秘書兼主婦につき,有職部分付いては,代替する者がいなかったため無理して出勤し減収は無かったが,仕事の効率の低下を無報酬での残業や休日出勤により補っていたことから,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,事故日から52日間は40%,それ以後症状固定までは20%として認められた。
・ 生活保護とヒプノセラピストで生計をたて,息子,娘と同居し家事をしていた主婦につき,賃金センサスの女子高卒45歳から49歳を基礎として,当初90日間を90%,次の60日間を50%,残りを25%として認められた。
・ パート勤務につき,事故当時内縁の夫と同居し,主に内縁の夫の収入で生計を立てていたことから,症状固定後に内縁を解消したとしても事故時において家事従事者として,休業損害が認められた。
・ 老人ホームの介護職として就労する主婦につき,事故後約20日で復職しているが,体に負担がかかる仕事は他の職員に代わってもらうなどしていたことから,当初80%,その後40%,その後20%が休業損害が認められた。
・ クリーニング工場パート兼主婦につき,主婦として一家の家事全般に従事するとともに,週3回程度のパート勤務を行っていたことから,入院中は100%,その後は家族の援助のもとで炊事,洗濯等一定範囲の家事に従事していたことや高次脳機能障害の程度などを考慮し70%が認められた。
・ 夫が経営する複数のクリーニング店の業務に従事しながら,その本店に夫と住み込み家事労働にも従事する被害者につき,入院中は100%,その後リハビリ終了まで50%,その後症状固定日まで25%が認められた。
(3)男性の家事従事者の事例
・ ダンスインストラクターの被害者につき,基本的には内縁関係にある交際相手の稼働収入によって生活し,同人のために炊事や洗濯等の家事をしていた兼業主夫の状況にあったとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,通院実日数,1日あたり半日の限度で認められた。
・ 妻が正社員として働き,専業主夫として洗濯,掃除,料理等の家事労働を行っていた被害者につき,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,入院中は100%,通院中は25%として認められた。
・ フルタイムで仕事をする妻及び二女と同居していた無職者につき,日常的に家事労働に従事していたとして,賃金センサスの女子学歴計65歳以上から既存障害分を控除した金額を基礎として認められた。
・ 脊柱管狭窄症等を患っていた妻と同居していた被害者につき,主たる家事従事者と認め,賃金センサスの女子学歴計65歳から69歳を基礎に,通院期間の30%が認められた。
・ 寝たきりの妻の介護を行っていた被害者につき,妻の介護を行っていたことを家事労働と認め,賃金センサスの女子学歴計65歳以上の80%を基礎に,事故日から妻が死亡した日まで認められた。
・ 入退院を繰り返していた妻及び娘と同居し,妻に代わって家事の多くを分担していた被害者につき,家事労働を月額18万円と評価し,事故日から76日間は100%,それ以降症状固定までは75%を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
家事従事者の休業損害は保険会社に否定されることも多いですが,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,家事従事者の休業損害の請求事例が多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(3)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
1.有職者
(3)会社役員
会社役員が受け取る役員報酬には,実際の労務提供の対価としての報酬と,労働しなくてももらえる利益配当の実質をもつ報酬の2種類が含まれています。利益配当の実質をもつ報酬は,休業してももらえるため,減額されても休業損害ではありません。一方、労務提供の対価としての報酬は,減額されれば休業損害として認められます。
労働の対価としての報酬は,企業規模や報酬額,実際の仕事内容などによって算定されます。
会社役員で休業損害が認められた事例の一部を紹介します。
・ 建物解体工事・建材卸業等を目的とする会社の代表者につき,個人会社で被害者の職務内容も肉体労働が多いこと等から,役員報酬全額を労務の対価と認めた。
・ 会社役員であるが,名目的取締役で,従業員として労働に従事していた被害者につき,事故後報酬の全額が支給されていないことから,役員報酬部分についても労働の対価と認めた。
・ 鉄工業を目的とする会社の代表者につき,賃金センサス,他の役員報酬や従業員の賃金との比較等を併せ考えて役員報酬額の7割を労務の対価と認めた。
・ 父親の経営する印刷会社の監査役につき,会社の中心的な働き手として稼働していることから,会社から得る収入はその労務の対価として不相当なものとはいえないとして,事故前年年収全額を基礎とした。
・ 夫が代表取締役の同族会社でで肉体労働に従事していた専務取締役につき,休業中でも人員の増員はなく,売上・利益とも横ばいもしくは増加する一方,他の役員報酬が増加したり,復職後軽作業であることから,実質的な利益配当部分は少なくとも40%として,年収の60%を基礎とした。
・ 兄の経営する印刷会社の専務取締役につき,会社の規模,利益状況に加え,実質的な営業活動をしていたこと,事故後の役員報酬の減少状況,学歴等に照らし,控えめにみても報酬のうち労務対価性のある部分は70%とした。
・ 会社役員につき,事故後は業務に従事できず役員報酬が一切支給されなかったこと,復職後は業務量が事故前より30%程度減少しているにもかかわらず事故前と同水準の収入を得ていることから,役員報酬のうち労働と対価的関連性を有する部分を,一般的な労働者が得るであろう平均的な賃金の2倍程度とした。
・ 美容院を営む会社の代表者につき,同社で稼働していたのは代表者のみであることから,事故前3ヶ月の会社の売上から経費を控除した金額を基礎収入とした。
・ 印刷機器の販売等を業とする会社の代表取締役の休業損害につき,会社が1人会社であり,親族が経理事務を手伝うほかは,代表取締役が単独で業務を行っていたと認められるとして,役員報酬全てを労務提供の対価と認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,会社役員の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
賠償額が適正か分からない、示談交渉が不安…そんなお悩みに寄り添い、解決へ導くことが私たちの役目です。相談料・着手金0円で、安心してご相談いただけます。名古屋・三重・岐阜で交通事故のことでお困りの方は、ぜひご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(2)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
1.有職者
(2)事業所得者
現実の収入減があった場合に認められます。
基本的な算定方法は,基礎収入(事故前年の事業所得金額÷365日)×休業日数です。
事業所得金額に事業専従者控除額or青色申告特別控除額を加算する,寄与率を考慮する,完全休業の場合は固定費を加算する等,事故に遭われた方の状況によって,計算方法が変わります。
休業損害を請求するには確定申告書の控えを提出する必要がありますが,課税証明書等,事故前年の所得が証明できる資料で代用することもできます。
ア 認定例
右肩痛,右手の痺れがある理容師,右肩痛の左官職人など,傷害を負った部位が業務に不可欠な場合,長期間の休業が認められやすい傾向にあります。
映像コンテンツの企画,演出等の業務を行っていた事業所得者につき,事故により締め切りまでに出来ず契約を解除された場合,得られなかった演出料,著作権料,ロケハン等の費用が認められた事例があります。
一方,開業から一貫して大幅な赤字傾向にある場合,休業期間中の所得の減少は,事業の経済効率の悪さ,社会・経済状況の変動及び同業社との競合等による受注減少という可能性も否定できないとし,全額認められない事例もあります。
イ 申告所得を超える収入を認めた事例
修正申告した場合,過少申告していて確定申告額以上の所得があることが証明できる場合は,申告所得を超える収入が認められることもあります。
また,確定申告をしていない場合,過少申告で実際の所得額が証明できない場合は,借入金の返済状況や扶養家族の人数から,賃金センサスを基礎とする事例もあります。
ウ 減収はないが休業損害を認めた事例
妻や子などの協力によって減収がない場合,営業活動の効果により所得が増加した場合,事故前に受注した仕事をしていた場合等,減収がなくても休業損害が認められます。
また,年ごとの所得の変動が大きい業種で,事故後に減収が生じていないのが収入の喪失がなかったからなのか,景気の動向等を含むその他の要因によるものであるかを的確に認定することは困難だとして,一部認められた事例があります。
エ 固定経費に関する事例
事故により事業を完全休業したとしても,家賃,保険料,減価償却費などの負担を免れることはできません。これらの固定経費は,休業損害として加算して請求できます。
固定経費として認められたものとして,租税公課,損害保険料,利子割引率,地代家賃,諸経費,リース料,減価償却費,修繕費,管理緒費,諸会費,水道光熱費,通信費,研修費,販売促進費,会社控除,支払手数料などがあります。
接待交際費は,冠婚葬祭費,慶弔費,お見舞い金,お歳暮・中元の贈り物は固定経費と認められますが,飲食を伴う接待交際費は認められません。
また,事業廃止届を提出するなどして事業を廃止することが確定した以降は,経費を支出する理由はないとして,申告所得額を基礎とします。
オ 事業再開後の損害に関する事例
そば店経営者につき,出前に売上の7割を依存していたことから,休業期間経過後の売上減少による損害として100万円が認められました。
歯科医師につき,診療再開後も休診の影響から患者が減少し売上が減少したとして,診療再開後3ヶ月間の売上減少の8割が損害として認められました。
飲食店経営者につき,店舗再開後症状固定までの期間について,認定された後遺障害等級の喪失率を乗じた金額が認められました。
カ 廃業による損害に関する事例
事故後廃業した美容院経営者につき,事故に遭わなければ経営を継続していたとして,事故から約2年前の開業時に支出した費用の約5割が認められました。
キ 代替労働力に関する事例
事故により自身が就労できないために代替労働者を雇い,その人に給料や賃金を支払った場合,その支出分を被害者本人の休業損害として請求できます。
新聞配達員,一人で開業している歯科医師,内科開業医,ブリーダー,水道設備業者等で認められた事例があります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,様々な休業損害の請求事例がありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

名古屋の交通事故に寄り添う「しまかぜ法律事務所」
名古屋は交通事故が多く、被害に遭われた方々が不安を抱えています。しまかぜ法律事務所は、そんな方々の力になりたいという思いから、交通事故に特化したサポートを行っています。
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【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら
お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。
普段は電車やバス等を利用している方が,混雑を避けるために車を利用するなど,運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。
また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。
交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。
お怪我をされた場合,お盆期間中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じた方など,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。
また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

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【コラム】:消極損害その1 休業損害(1)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
休業損害とは,交通事故の被害者が,治療や療養のために休業したことによって得ることができなくなった収入・利益の損害のことです。
これ以上治療を続けても症状が良くならない状態に達したことを症状固定といいますが,症状固定時まで,休業損害は請求できます。
なお,後遺障害が認められ,将来にわたって収入が減少するであろう損害を逸失利益といいますが,簡単に言えば,症状固定前の収入減が休業損害,症状固定後の収入減が逸失利益です。
1.有職者
(1)給与所得者
事故前3か月の総支給額(社会保険料などを控除しない)を基礎収入とし,90日で割った日額に休業日数を乗じた金額が基本の算定方法となります。
請求するには,勤務先に記載してもらった休業損害証明書(休業日,事故前3か月の給与支払い状況等),事故前年の源泉徴収票を提出する必要があります。
ア 基礎収入の算定・賃金項目についての事例
入社して間もない場合や内定中の場合は,雇用契約書に記載されている基本給をもとに基礎収入を算出することがあります。
複数の職場で勤務している場合,それぞれの職場で休業があれば,職場ごとに休業損害を請求することができます。
事故により配置転換や降格があり,手当等が減額した場合は,減額された手当分を請求することができます。
事故による退職金減額分を,事故による休業に付随する損害ととして認めた事例もあります。
イ 昇給を考慮した事例
休業中に昇給,昇格のあった場合は,その後の収入を基礎とします。
また,休業により昇給,昇格が遅れた場合,賞与が減額,不支給となった場合の損害も認められています。
ただし,昇給が確実であることや,昇給金額など,勤務先の昇給基準などの証拠から具体的に昇給分を立証する必要があります。
ウ 賞与
賞与についても,勤務先に記載してもらった賞与減額証明書と就業規則,賞与規定を提出し,支給されるはずであった賞与の金額が事故によりどの程度減額されたのかを立証する必要があります。
エ 休業期間の認定
休業期間については,争いになることが多くあります。
症状固定時まで休業損害は請求できますが,実際には症状の程度や推移によって,認められる期間は異なってきます。
主治医に休業を指示されている場合,休業の必要性があると医学的に認められている場合は,認められやすい傾向があります。
また,タクシー乗務員につき,業務ができない状態ではなかったが,乗客の安全から中途半端な状態で復帰しないよう職場から申し渡され,認められた事例もあります。
オ 有給休暇
有給休暇を使った場合は現実の収入減はありませんが,有給休暇は財産的価値を有すべき権利であって,それが本件事故により費消させられたため,有給の財産的価値についても休業損害として請求できます。
なお,積立休暇についても,有給休暇と同様に財産的価値があるものと認められています。
また,事故による休業のため,出勤日数が全労働日の8割に満たなくなったことによる事故翌年度発生分,翌々年度発生分の各10日間の有給休暇減少分を認めた事例もあります。
カ 減収がなくとも認められた事例
金銭的な減収が直接生じていなくても,本人や同僚の特段の努力によって減収を回避した場合には,一定の割合で休業損害の発生を認めるのが公平に資するとして,休業損害に準ずる損害として30%が認められた事例があります。
キ 症状固定(治癒)前に退職した事例
症状固定(治癒)前に退職した場合,事故と退職に相当因果関係が認められれば,症状固定日までの休業損害が請求できます。解雇ではなく自主退職の場合でも,相当因果関係が認められれば,請求できます。
なお,相当因果関係が認められないものの自主退職した場合については,事故前の収入によらず,賃金センサスを基礎にして休業損害が認められた事例があります。
派遣社員についても,事故のために契約更新ができな買った場合,契約期間終了後まで休業損害が認められた事例があります。
事故による欠勤を理由に解雇された場合,傷害が治癒したからといって直ちに再就職できるものではないとして,治癒後も休業損害を認めた事例があります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
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