【コラム】:積極損害 11.後見等関係費用

2021-07-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

11.後見等関係費用
  交通事故による後遺症で,判断能力が低下し回復しない場合は,成年後見人等を選任する必要が生じることがあります。
  常時あるいは随時介護を要するような後遺障害(1級・2級に相当)が残った場合をイメージされる方が多いと思いますが,常時介護は必要でなくとも,判断力等の知的能力の低下がみられる場合も(3級~9級に相当),財産管理やその後の手続を行うために後見人(または保佐人・補助人)を選任する必要があることがあります。
その場合,成年後見開始の審判手続費用,後見人報酬などの費用が,必要かつ相当な範囲で認められます。
(1)後見等開始申立費用
後見開始申立費用として,申立手数料,郵券,鑑定費用,登録印紙代,成年後見用診断書作成料が認められます。
なお,後見申立手続を弁護士に依頼した場合の弁護士報酬については,手続自体は弁護士でなくともできることから,必ずしも相当因果関係があるとはいえず,損害賠償の対象にならないと考えられています。
(2)将来分を含めた後見人報酬等
   成年後見人の報酬は,管理する財産額によってかわります。成年後見人の職務の内容によっては,付加報酬が加算されることもあります。
   通常は月額2万円程度ですが,管理財産が5000万円を超える場合には,月額5万円程度になることもあります。
   裁判例では,平均余命まで,中間利息を控除した金額が認められています。
   
 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 交通事故によって後見人を選任する場合,後見人が職務を行う期間が長ければ,月額が少なくても,総額としては金額がかなり大きくなることがあります。適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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