【コラム】:「令和3年版交通安全白書」交通事故死者に占める高齢者の割合が56.2%

2021-06-21

 政府は令和3年6月15日の閣議で,令和3年版「交通安全白書」を決定しました。
 (https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r03kou_haku/index_zenbun_pdf.html

 令和2年の交通事故死亡者数は2839人で,現行の統計を取り始めた1948年以降最少となり,3000人を割ったのは初めてとなります。また,65歳以上の割合は56.2%となっており,高齢化に伴い,交通事故死者に占める高齢者の割合は大きくなっています。
 状態別・年齢層別交通事故死者の割合をみると,令和2年では,歩行中及び自転車乗用中の交通事故死者のうち,約7割を65歳以上の高齢者が占めています。また,75歳以上の高齢者は,歩行中の55.0%,自転車乗用中の46.5%を占めています。
 特に,令和4年からは,いわゆる「団塊の世代」が75歳以上に達し始めるため,75歳以上の高齢者の安全の確保が重要な課題となります。

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。

 しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.