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【コラム】:死亡事故の賠償内容について

2022-06-06

 愛知県警察によると,令和4年5月の交通事故死者数が15人となり,前年に比べ増加しています。特に名古屋市内では,5月12日~22日の10日間に3件3人の交通死亡事故が発生し,今年2回目の「交通死亡事故多発警報」が発令されました。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou220531.pdf

 6月は,梅雨入りし天候が不安定となります。天候が悪くなると視界が悪化しますので,ドライバーはスピードを控えるなど安全運転を心がけてください。また,歩行者や自転車の方も,ドライバーから見えていないかもしれないと考えて,安全な行動を取ることが大切です。

 もし,交通事故の被害に遭い死亡した場合,請求できるのは以下の項目です。
1.治療費
  救命治療などに要した治療費を請求できます。

2.葬儀関係費
  死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。ただし,若年で亡くなられた場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。

3.死亡慰謝料
  2500万円ほどで認定されることが多いです。
  もっとも,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって,更に増額しての解決をしています。

4.死亡逸失利益
  死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
 ① 基礎収入は,給与所得者は事故前年の収入です。若年労働者(概ね30歳未満)の場合は,全年齢平均の賃金センサスを用います。
   家事従事者は,女性労働者の全年齢平均の賃金センサスとなります。
② 生活控除率は,一家の大黒柱の場合,被扶養者1人で40%,被扶養者2人以上で30%です。
女性は30%,男性(独身,幼児等含む)は50%となっています。
③ 就労可能年数は,原則67歳までです。
ただし,67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者については,平均余命の2分の1を就労可能年数とします。

 自賠責では上限金額が3000万円となっており,保険会社から提示される賠償額も同じくらいの金額となることが多いですが,弁護士に依頼することで,保険会社からの賠償額を大幅増額して解決できることがあります。
 特に,死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,死亡事故について解決実績が豊富にありますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(25)

2022-05-27

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(25)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(3)てんかん
てんかんとは特有の発作を繰り返す脳の病気のことで,交通事故のように頭部に外傷を負ったことを原因として起きるてんかんを,外傷性てんかんといいます。
てんかんの主な症状(発作)は,けいれん,意識の消失,全身にわたる筋肉の硬直・脱力などがあり,一過性の発作が数秒から数十秒,長くて数十分で回復しますが,いくつかの発作が重なったりして2回以上反復的に起こります。
てんかんの後遺障害では,どのような発作が起きたか,またその頻度・回数はどの程度かによって5級~12級が認定されます。
なお,1か月に2回以上の発作がある場合,一般的に高度の高次脳機能障害とされ,後遺障害第3級以上の認定対象となることがあります。

  ① 認定例
契約社員(固定時36歳)の高次脳機能障害,症候性てんかん7級につき,ドライバーとして稼働していた被害者が,てんかんの発症を契機に自動車運転をすることができなくなり,実際にも勤務先の運送会社を退職し,職を失っていることからすれば労働能力喪失の程度は大きいとして,31年間56%を認めた。
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
  ・ タクシー運転手(固定時59歳,自賠責非該当,労災9級)につき,9級に該当するとし,自賠責の認定した右足関節痛(12級)との併合8級だが,就労の障害となるのは専ら外傷性てんかんであるとして,11年間35%の労働能力喪失を認めた。
・ 主婦兼美容師(固定時34歳,自賠責非該当)の外傷性の神経機能異常によるミオクローヌス様ないしジストニア様の上肢の不随運動につき,画像上の異常所見が見られないことが一般的であり,筋電図検査では異常ありとされていること,事故前まで社会適応良好で身体表現性障害の既往はなく,転換性障害を否定する鑑定結果も存在することから事故との因果関係を認め,5級相当として,33年間79%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 交通事故による外傷性てんかんは治りにくいと言われており,服薬期間も長く治療が長期に渡ることから,経済的な負担も大きくなります。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(24)

2022-05-20

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(24)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(2)高次脳機能障害
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
  ・ 中学生(固定時16歳,自賠責は5級)につき,少なくとも知的産業への就労はまず不可能であり,軽微な非知的産業への就労は全く不可能ではないが,記憶や注意力,新しいことを学習する能力,障害の自己認識,円滑な対人関係維持能力の著しい障害による社会生活への不適応性や,集団生活での監視の必要性等に照らし,一般就労が困難として3級3号に該当するとした。
・ 大学生(固定時21歳,自賠責は3級)につき,身体動作的には生命維持に必要な身辺動作についてほぼ自立しており,自宅内において常に家族等の声かけや看視を欠かすことができないとまではいえないものの,日常の生活範囲は自宅内にほぼ限定されており外出に際しては看視が必要であるとして,高次脳機能障害は2級とし,両眼視野狭窄,左足指用廃,右下肢醜状とで併合1級とした。
・ 会社員(固定時31歳,自賠責は高次脳機能障害7級,右動眼神経麻痺等併合11級相当,併合6級)につき,記憶力及び記銘力の障害の程度が強いことから,6級と5級のほぼ中間値75%の労働能力喪失を認めた。
・ トラック運転手(固定時43歳,自賠責は5級)につき,日常生活動作,意思疎通能力,問題解決能力,作業負荷に対する持続性・持久性,社会行動能力のほか,労災1級,精神障害者保健福祉手帳1級の各認定も考慮して,高次脳機能障害は3級とし,100%の労働能力喪失を認めた。
・ 大学院卒の有限会社代表取締役(固定時31歳,自賠責は非該当)につき,記憶障害,学習障害,注意障害,遂行機能障害,社会行動能力の低下,持続力の低下,知能低下の症状をびまん性軸索損傷に基づく高次脳機能障害の症状と認め,5級又は3級に相当するとして,左顔面から頸部にかけての不随運動,講音障害・講語障害,左上肢から頸部の筋萎縮の亢進と異常姿勢及び運動障害等のジストニアの症状と併せて併合2級相当として,100%の労働能力喪失を認めた。
・ 主婦(固定時33歳,自賠責は非該当)につき,現在の生活状況に照らして労働能力に影響を与える主たる症状は易疲労性であるが,全く家事労働に従事することができないわけではなく,掃除,洗濯,食事につき,一定限度従事することができていることから67%の労働能力喪失を認めた。
・ 会社員(固定時50歳,自賠責は非該当)につき,事故直後,軽度の意識障害があり,MRI画像によれば脳の病変や脳挫傷を疑う所見があり,物忘れ症状や新しいことの学習障害,複数の作業を並行処理する能力,集中力等の低下,易怒性,多弁といった性格上の変化がみられることから,高次脳機能障害7級と認定した。
・ プロゴルファーのキャディー(固定時33歳,自賠責は非該当)につき,事故直後の強い意識障害や画像所見における異常所見はないが,軽度外傷性脳損傷は遅発性に現れることもあり必ず画像所見に異常が見られるということでもないこと等から,事故により脳幹部に損傷を来した事実を否定することはできないとして9級にあたるとして,67歳まで35%の労働能力喪失を認め,心因的要因の影響から3割の訴因減額を行った。
・ 美容室勤務(固定時31歳,自賠責は非該当)につき,脳損傷について,画像所見から直ちにその旨の所見は認められないが,頭部に衝撃を受けており,事故直後の記憶がないこと及び事故直後の意識消失があり,意識障害の程度は低いが入院中一時記憶障害があり,事故後に隣人とトラブルになって傷害を負わせ措置入院されるなど精神症状が現れていることを総合し,高次脳機能障害7級と認定した。
・ 大工(固定時30歳,自賠責は非該当)につき,受傷直後の意識障害は軽度で持続時間も短いが,当初から記憶障害等の症状が現れており,びまん性脳損傷ないし軸索損傷を示唆する画像所見や認知能力が標準を下回ることを示す神経心理学的検査が存在し,複数の医師が高次脳機能障害との見解を示していることから,脳損傷を原因とする高次脳機能障害が残存したと認め,5級に相当するのとした。
・ アルバイト(固定時32歳,自賠責はびまん性脳損傷等による神経・精神の障害7級)につき,事故後居酒屋や喫茶店での勤務を試みたが仕事が覚えられない等の理由によりごく短期間で辞めている等の状況を踏まえ,35年間60%の労働能力喪失を認めた。
・ 大学生(固定時21歳,自賠責は非該当)につき,腰部及び右下肢の症状,頸部及び右上肢の症状並びに右上下肢の運動機能障害(右不全麻痺)及び脳機能に関する症状は,頭部外傷に起因するものであり,事故後の意識障害が確認できず,画像診断で有意な所見を見いだすことができないとしても,それらを絶対視して高次脳機能障害の存在を否定することは相当ではないとして,7級に該当するとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 高次脳機能障害が残ると,被害者のみならず介護を行う近親者の生活が,事故前とでは一変することになります。被害者だけでなく近親者の将来の不安を少しでも解消するためには,適正な後遺症の等級認定を受け,適正な賠償金を得ることが大切です。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(23)

2022-05-13

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(23)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(2)高次脳機能障害
   高次脳機能障害とは,交通事故によって脳が損傷することで,①記憶障害(覚えられない,思い出せない,すぐに忘れる),②注意障害(気が散りやすい,集中できない),③遂行機能障害(手順良く作業を行うことができない),④人格障害(怒りっぽくなる,疑いやすくなる),⑤コミュニケーション障害が生じることです。
   自賠責では1級~9級が認定されますが,認定基準は,①初診時に頭部外傷の診断があること,②頭部外傷後に意識障害があったこと,③治療中の診断書,後遺障害診断書に,高次脳機能障害,脳挫傷,びまん性軸索損傷,びまん性脳損傷の記載があること,④治療中の診断書,後遺障害診断書に,障害の具体的な症状が記載されていること,⑤CT,MRI画像により,初診時の頭部損傷,受傷後3ヶ月以内に脳室拡大や脳萎縮が確認されることです。
   上記の自賠責保険の認定基準を理解した上で,認定のために必要な検査を行い,後遺症の申請にあたって近親者が作成する日常生活状況報告表に書く内容(被害者が一日どう過ごして何に支障があるか、具体的内容、エピソードなど)を日頃からメモしておくことが大切です。

 ① 認定例
  ・ 高校生(固定時18歳)につき,事故後親が送迎して復学,大学へ進学(ただし,途中で授業についていけなくなった),携帯電話でのメール,ギター,近所での買い物等もでき,ある程度の認知,判断及び学習能力を備えているが,大学進学は担任教師の配慮であり,初めての場所で道に迷う,ストーブの火をつけたまま忘れるなどの物忘れ症状があり,学習にも大変な時間と労力を要すること,切れやすい状態で易怒性や易興奮性が認められ,新たな人間関係が構築されている様子は見られないこと等から,自賠責認定どおり5級の高次脳機能障害と認めた。
  ・ 大卒会社員(固定時36歳)の記銘力障害,笑い発作等(併合7級)につき,復職後収入は増加しているが,配置転換のうえ係長職を解かれたこと,知能指数が96となったこと,仕事を継続できているのは勤務先の理解と本人の多大な努力による部分が大きいこと,今後の昇進が相当に困難であることから,31年間56%の労働能力喪失を認めた。
・ 精肉店勤務(固定時25歳)の高次脳機能障害(3級),言語機能障害併合2級につき,一時的に元の職場に復帰し843日後に退職しているが,復職は社長の好意によるところが大きいとして,100%の労働能力喪失を認めた。
・ デザイン担当嘱託社員(固定時45歳)の高次脳機能障害(5級),嗅覚障害,味覚障害併合4級につき,事故後復職し,デザイン能力は低下しておらず会社も能力を高く評価していたが,記憶力や持続力の低下,協調性の問題などの人格変化によりトラブルが発生して退職している一方で,完全に就労不能とはいえず,嗅覚障害,味覚障害は労働能力に影響しないことから,85%の労働能力喪失を認めた。
・ 大卒の建築請負業者(固定時53歳)の頭部外傷(脳振盪型)につき,現在の医療検査技術で脳の器質的損傷を示す異常所見が見当たらないからといって,事故後の記憶障害,易怒性,意識低下等の症状が脳の器質的損傷によることを否定することは相当ではないことから,高次脳機能障害9級として,14年間35%の労働能力喪失を認めた。
・ バリスタの高次脳機能障害につき,知能低下,記憶障害,記銘力・集中力低下,学習障害が残っている反面,事故後ジャパンバリスタチャンピオンシップで優勝し,世界大会で10位を獲得し,講演会の講師を務めたこと,著述があること,並びにテレビ番組の出演があり,増収の事実があるが,体に刻まれた修練や経験,講演案文の第三者作成,ライターの援助などによるものであって,潜在的な労働能力の喪失を観念することができるとして9級10号に該当するとしたが,日常生活の支障が限定的であることを勘案し,労働能力喪失率は27%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 高次脳機能障害が残ると,被害者のみならず介護を行う近親者の生活が,事故前とでは一変することになります。被害者だけでなく近親者の将来の不安を少しでも解消するためには,適正な後遺症の等級認定を受け,適正な賠償金を得ることが大切です。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(22)

2022-05-09

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(22)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(1)遷延性意識障害(いわゆる植物状態)
 遷延性意識障害とは,重傷を負い,意識不明のまま寝たきりになっている状態のことで,一般的に植物状態と言われているものです。遷延性意識障害は,交通事故の後遺症の中でも,最も重篤な後遺症だと言われています。
 遷延性意識障害の定義については,日本脳神経外科学会による定義(1976年)が一般的で,以下の6項目が医療によっても改善されずに3ヶ月以上続いた場合を遷延性意識障害といいます。
 1 自力移動ができない。
 2 自力摂食ができない。
 3 し尿失禁がある。
 4 声を出しても意味のある発語ができない。
 5 簡単な命令には辛うじて応じることもできるが,意思疎通はほとんどできない。
 6 眼球は動いていても認識することはできない。
 遷延性意識障害になると常に介護を要するため,通常は後遺症等級1級が認定されることになります。
 しかしながら,CT画像,MRI画像,医師が診察して作成した後遺障害診断書などの適切な資料を用意しないと,適正な等級認定がされないこともありますので注意が必要です。

 <認定例>
  ・ 大学生(固定時22歳)の脳挫傷による植物状態(1級3号)につき,22歳男性の平均余命と認定し,22歳から67歳まで100%の労働能力喪失を認め,かつ生活費控除もしなかった。
・ 小学生(固定時8歳)の遷延性意識障害,射幹・四肢の運動麻痺等(1級3号)につき,8歳男性の平均余命と認定し,18歳から67歳まで100%の労働能力喪失を認め,かつ生活費控除もしなかった。
・ 男児(固定時3歳)の遷延性意識障害(別表1の1級1号)につき,3歳男子の平均余命と認定し,18歳から67歳まで100%の労働能力喪失を認め,かつ生活費控除もしなかった。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 遷延性意識障害になると常に身守りや介護が必要になりますので,遷延性意識障害の患者が暮らしやすい環境を整えるには,適正な後遺症の等級認定を受け,適正な賠償金を得ることが大切です。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:連休中の交通死亡事故に注意

2022-04-28

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成29年から令和3年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,5月は高齢者死者が多くなっています。また,当事者別では四輪車死者,事故類型別では単独事故が多発しています。最高速度違反,一時停止違反による死亡事故も平均と比較して高く,飲酒運転による人身事故も上半期最多となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/20220311point.pdf
 
 ゴールデンウィークをはじめ,帰省,レジャー,買い物等で外出する機会が増えますので,出かける際は無理のない運転計画を立て,スピードを控えるなど安全運転を心がけることが大切です。
 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,連休中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じたなど,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,「あおり運転」の被害に遭う可能性もあります。
 令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では,あおり運転を「妨害運転」として新たに規定されました。他の車両等の通行を妨害する目的での車間距離不保持や不必要な急ブレーキなど10類型が妨害運転となり,取り締まりの対象になります。
 もし,「あおり運転」の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,「あおり運転」の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によってケガをした場合は,損害賠償を請求することができます。
 「あおり運転」の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。最近は,フロントカメラのみの製品以外にも前後2カメラや360度撮影可能な製品など,様々な種類があります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,「あおり運転」に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(21)

2022-04-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(21)
7.口の障害
  口の後遺障害は,咀嚼機能障害,言語機能障害,歯牙傷害,味覚機能障害があります。
咀嚼の機能障害は,かみ合わせ障害,咀嚼筋の損傷,顎関節の損傷,開口障害によって,かみ砕く能力がなくなってしまうことです。咀嚼の機能障害は,同じ口の障害である言語機能障害との総合評価で等級認定されます。1級および3級の「咀嚼の機能を廃する」とは,味噌汁やスープ等,流動食以外は摂取できないもの,4級および6級の「咀嚼の機能に著しい障害を残すもの」とは,お粥,うどん,柔らかい魚肉またはこれに準ずる程度の飲食物でなければ噛み砕けないもの,9級および10級の「咀嚼の機能に障害を残す」とは,ご飯,煮魚,ハム等は問題がないが,たくあん,ラッキョウ,ピーナッツ等はかみ砕けないものをいいます。12級は,開口域が正常時の半分以下となり,咀嚼に相当の時間を要することです。
言語機能障害は,喉頭の損傷によって,声が出にくくなったり,発音できなくなることです。4種の語音(口唇音,歯舌音,口蓋音,喉頭音)を発音できるかどうかで判断され,1級~10級という重い等級が認められます。
歯牙傷害は,著しく欠損したか失った歯が3本以上になると,10~14級という等級が認められます。乳歯や親知らずは対象になりません。また,歯牙障害専用の後遺障害診断書に所見を記載してもらう必要があります。
味覚機能障害は,味覚を失ったり,低下することです。舌の損傷や顎周辺組織の損傷のほか,脳の機能障害が原因となることがあります。甘味,塩味,酸味,苦味の4味質のすべてが認知できない場合は12級,1~3味が認知できない場合は14級が認定されます。

(1)認定例
  ・ 有職主婦(固定時41歳)の咀嚼機能障害等労災併合10級につき,67歳まで27%の労働能力喪失を認めた。
・ 飲食店店長(固定時35歳)の歯牙欠損及び骨植不良,咀嚼障害及び開口障害,左口角,左鼻翼から頸部までの感覚消失,アロデニア併合9級につき,咀嚼障害は食材や酒類の調達で重い物を持ち上げる際や調理に支障を及ぼしうるといえ,顔面等の感覚消失や流涎も接客業にとって些細な障害とは言い難い等として,当初の5年間は35%,それ以降67歳までの27年間は20%の労働能力喪失を認めた。
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された例
  ・ 有職定時制高校生(固定時27歳)の声帯直下の気管部分形成による発声障害,左握力低下,左肩関節可動域減少等12級につき,会話機能が十分でなく対人折衝が困難,運動制限等から,40年間25%の労働能力喪失を認めた。
・ 聴覚障害者の主婦(固定時60歳,自賠責は右肩関節機能障害,右鎖骨変形障害,左手関節神経障害の併合11級)につき,手話は口語による意思疎通伝達手段に相当し,手,肩の後遺障害により手話に影響が及んだ場合は,意思疎通や手話能力の喪失程度を中心に個別判断するのが相当として,利き手である左手母指・小指の可動域制限,左手関節・右肩関節の可動域,表現しにくさ,長時間の手話による痛み・疲れ,手話能力は従前の60%との診断書の記載等を総合し,手話言語能力が12級程度失われたと認めた上で,他の障害と併合して11年間20%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 口の後遺傷害については,自賠責保険より高い等級や喪失率で逸失利益が認められた例もあります。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(20)

2022-04-15

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(20)
6.鼻の障害
  鼻の後遺障害は,後遺障害別等級表上では,9級5号の鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すものしかありません。外鼻の軟骨部の全部又は大部分を欠損し,鼻呼吸困難または嗅覚脱失の状態が対象となります。
  鼻を欠損せずに鼻の機能障害のみが残った場合,嗅覚脱失または呼吸困難は12級12号,嗅覚の減退は14級9号が準用されます。
また,鼻の欠損は,外貌の醜状障害として7級12号が認められる場合があります。鼻の欠損とならない一部欠損は,12級14号となります。
(1)認定例
  ・ 幼稚園教諭(固定時43歳)の軽度聴力障害,頭部外傷後けいれんの可能性,嗅覚脱失併合11級につき,嗅覚脱失が通常の職についている女性と比較し一層の支障を来しているとして,24年間20%の労働能力喪失を認めた。
・ 花屋経営(固定時30歳)の嗅覚脱失,脳挫傷後の精神・神経障害等併合11級につき,事故後に花屋を閉店し鼻関係のアルバイトをしているが錯覚臭が続くと体調が悪くなり,嗅覚がなく仕事上支障があること,料理,掃除等家事労働にも影響を受けているとし,他方で頭部の疼痛は慣れ等により労働に対する影響が逓減するとして,10年間20%,その後27年間14%の労働能力喪失を認めた。
・ 高校生(固定時16歳)の嗅覚減退及び異常(ある種のにおいをかぐと頭痛,吐き気が生じる,12級)につき,18歳から67歳まで14%の労働能力喪失を認めた。
・ 大学生(固定時24歳)の嗅覚脱失,頭部外傷による神経症状等併合9級につき,事故後大学及び大学院を卒業し,公立中学の臨時講師として同年齢者の平均収入額を大きく上回る収入を得て,学会でも評価されるような論文を共同執筆するなど学術的にも目を見張る業績を上げているものの,嗅覚脱失は中学技術家庭科の教師としては,ガス漏れ等の危険を察知して授業中の生徒を迅速・的確に避難させることができないとか,木材のにおいを授業で教えることができない等の不都合があり,大きなハンディキャップといえるとして,43年間14%の労働能力喪失を認めた。
・ 電池製造に携わる上場会社技術職会社員(固定時38歳)の脳挫傷等による嗅覚脱失12級につき,症状固定後復職し,減収も降格もなく,勤務会社も配転はないと回答しているものの,職務遂行上嗅覚に頼る状況が少なからずあり,将来嗅覚脱失の障害による経済的不利益が生じるおそれが高いとして,67歳まで14%の労働能力喪失を認めた。
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された例
  ・ 主婦(固定時59歳,自賠責は平衡感覚障害,嗅覚脱失,難聴併合14級)につき,後遺障害の内容と箇所が3ヶ所に及ぶこと,料理を作るに当たって嗅覚も重要であることを考慮し,10級に相当するとして,8年間27%の労働能力喪失を認めた。
・ 調理師・料理店経営(固定時59歳)の嗅覚脱失12級につき,味覚は素材の良否や完成した料理の風味いかんを見極める等,料理人の技術を発揮するうえで極めて重要な感覚のひとつであり,これを失ったことは料理人として致命傷に近い状態を評価すべきとして,平均余命の2分の1,20%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 鼻の後遺傷害については,自賠責保険より高い等級や喪失率で逸失利益が認められた例もあります。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(19)

2022-04-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(19)
5.耳の障害
  耳の後遺障害は,聴力障害(機能障害),耳殻の欠損(欠損障害),その他の障害に分けられます。
  聴力障害は,頭部外傷などによって,聴力を失ったり,聴力の低下が生じることです。標準純音聴力検査と語音聴力検査を行い,その結果により判定されます。等級は,4級(両耳の聴力を全く失ったもの)~14級(1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの)になります。
  耳殻の欠損は,耳殻の軟骨部の2分の1以上を欠損したもので,12級になります。両耳の耳殻を欠損した場合には,1耳ごとに等級を定めて,これを併合します。また,醜状障害として7級が認められることもあります。
  その他の障害は,耳鳴りや耳漏です。30dB以上の難聴を伴うことが条件となり,程度によって12級もしくは14級になります。
(1)認定例
  ・ 事務職会社員(固定時36歳)の右耳小骨離断に伴う右難聴,耳鳴りにつき,67歳まで5%の労働能力喪失を認めた。
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された例
  ・ タクシー運転手(固定時42歳,外傷性頸部頭部症候群,右肩捻挫,右肩腱板損傷14級)につき,左耳難聴,左耳鳴症は自賠責非該当であるものの,左耳の症状を10級5号とし,全体で併合10級として,25年間27%の労働能力喪失を認めた。
  ・ ホテルフロント・警備会社勤務(固定時63歳)の難聴・耳鳴りにつき,自賠責非該当であるものの,10年間14%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 会社員(固定時43歳,後頸部痛等14級)の難聴・耳鳴りにつき,自賠責非該当であるものの,難聴を9級7号,全体で併合9級とし,心因的要因の影響を受けている可能性は否定できないが,影響を受けているとまで認めることはできず,喪失期間を10年間に制限するのは不相当として,24年間35%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 耳の後遺傷害については,自賠責保険より高い等級や喪失率で逸失利益が認められた例もあります。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(18)

2022-04-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(18)
4.眼の障害
(1)認定例
  ・ 会社経営・団体職員(固定時50歳)の正面視以外の複視13級につき,固定後約1年半後のHessスクリーンテストでは後遺障害認定の基準を満たさないが,現に複視症状があり,パソコン画面を30分以上集中して見ることができず業務の作業効率が大幅に低下し,視神経に過度の負担をかけるため重度の肩こりに悩まされていることから,17年間,9%の労働能力喪失を認めた。
(2)自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された例
  ・ 洋菓子店勤務予定者(固定時26歳,14級は示談済)の頚椎捻挫等に起因する両眼の視力低下を中心とする両眼眼球の著しい調整機能障害等(非該当)につき,11級に相当するとして,示談済の5%分を控除して,41年間15%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 中学生(事故時15歳,頚部痛14級)の眼の調整機能障害(非該当)につき,11級とし,頚部の症状とあわせ,49年間20%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 消防士(固定時54歳)につき,自賠責が認定した歯牙損傷12級については労働能力喪失を認めず,左示指の中手指関節機能障害,深視力の喪失,左肩腱板損傷及び左肩関節機能障害はいずれも後遺症は認められないが,深視力喪失につき大型車輌免許を失い,左示指や左肩関節の後遺障害のために消防士を退職していることから,13年間15%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 看護師(固定時50歳)の両眼滑車神経麻痺による正面視の複視10級につき,自賠責保険の労働能力喪失率表は従事する職種等を考慮しない一般的なものであるから,被害者の職種等により労働能力喪失率が増減する場合もあるとし,看護師という職業に眼の異常が及ぼす影響は多大で退職を余儀なくされたこと,現在は生命保険のパート,コンビニでのアルバイトで収入を得るにとどまっていること等から,17年間40%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 会社員(固定時38歳)の頚椎捻挫後の眼の調整力傷害,外斜視,複視(非該当)につき,事故との因果関係を認め,減収は生じていないが,種々の苦痛を覚え,また実際上の不便が生じており,今後,減収や転職を余儀なくされることも予想されるとして,29年間5%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 会社員(固定時31歳)の左足関節機能障害,複視併合12級につき,左眼周辺の痛み,眼精疲労,左眼流涙症,左眼周辺不快感の症状が残り,パソコン操作や自動車運転がしづらい等の種々の支障が生じていること,就労時間が8時間から4時間程度に減少したことに伴い収入が減少していること等から,36年間20%の労働能力喪失を認めた。
  ・ 会社員(固定時26歳)の頭痛,後頭部痛14級につき,他覚所見としてSSEP検査による伝達時間の延長がみられること,上肢の症状,視野障害について治療経過に照らせば本件事故に起因して生じた症状と認められる等として,41年間20%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 眼の後遺傷害については,自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された例もあります。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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