【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(28)

2022-07-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(28)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(5)PTSDその他非器質性精神障害
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
   ・ 主婦(固定時29歳)の微熱,いらいら感,めまい,吐き気,抑うつ感等の症状(自賠責14級10号)につき,PTSDを否定し,器質的障害も認められないとしながら,十分な家事労働を行えず複数回自殺未遂もあることなどから9級10号として,10年間35%の労働能力喪失を認めた。
   ・ ツアーガイド(固定時21歳)の頚部疼痛等,PTSDの症状を呈する外傷性神経症(併合14級)につき,14級10号は超えないとしながら,被害者の症状に照らして10年間10%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 主婦兼看護助手につき,事故により中等度のPTSDで12級相当の後遺障害が残ったとし,PTSD以外の頸椎捻挫後の頸部痛,両上肢痛しびれ,頭痛等(14級),腰椎捻挫後の腰痛,両下肢痛等(14級)とあわせて,10年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社役員(事故時51歳)の不安・抑うつ気分,痙性斜頸等の精神症状につき,診断名はともかく9級と認め,身体的障害(併合11級)と全体で併合8級とし,身体的障害に器質的損傷が認められないこと,精神的障害はPTSDとまでは人展することができないこと,加害者の損害賠償義務を認めた判決により精神障害の回復が期待されることから,10年間45%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 専門学校生・アルバイト(固定時28歳)につき,PTSDは否定したが,鬱状態は9級10号に該当するとし,10年間35%,その後29年間14%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 会社員(固定時34歳)につき,抑うつ状態等は非器質性精神障害として9級10号に該当するとして10年間35%の労働能力喪失を認め,後遺障害認定はその内容と程度を診断名を参考としながら適正な等級を認定するものであり,要件内容の明らかでないPTSDへのあてはめはあまり意味を有しないとした。
   ・ 看護師(固定時31歳,自賠責は脊柱変形,精神障害の併合11級)につき,PTSDにより就労可能な職種が相当程度に制限されるとして,事故後の平成16年改正の認定基準に基づき9級10号(脊柱変形との併合8級)に該当するとしつつ,今後の症状改善が期待されるとし,症状固定から12年45%(8級),以降67歳まで20%(11級)の労働能力喪失を認めた。
   ・ 就職活動中の被害者(固定時32歳,自賠責非該当)につき,PTSDに罹患したと認定し,事故を連想するような場面に出くわすとフラッシュバックがよく起こり,不眠なども続いているという症状は,就職及び職務の実施にある程度の支障があり,11級相当として,10年間20%の労働能力喪失を認めた。
   ・ 看護職員(事故時32歳)の非器質性精神障害及び頸部痛等(自賠責併合14級)につき,事故後PTSDと診断されたこと,被害者の主観としては生命に関わるような大事故であったこと,労災認定基準では12級相当に該当する所見があることなどから併合12級と認め,10年間14%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 非器質性精神障害は,後遺障害が認定されない,もしくは低い等級で認定されることがあるものの,自賠責保険より高い等級や喪失率で逸失利益が認定された事例もあります。 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.