【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(35)

2022-09-02

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(35)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(7)局部の神経症状
  ② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例(3)
   ・ 消火設備の取付けや配管の設置を業務とする会社の代表取締役(固定時42歳)の頸部運動痛,背部痛,左中指から小指の冷感・しびれ感,腰痛,両足趾の冷感・しびれ感(併合14級)につき,仕事の特殊性から,10年間14%の労働能力喪失を認めた。
・ 土木建築業作業員(固定時48歳)の右頸部痛,両手の痺れ等(14級9号)につき,固定時の自覚症状は受傷直後から一貫しているが,椎間板ヘルニアの画像所見と神経学的所見及び症状との一致がないことから明らかな他覚的所見ありとするには躊躇があるとしつつも,残存する症状の内容・頑固さ等も考慮し,10年間8%の労働能力喪失を認めた。
・ 兼業主婦(固定時44歳)の頸部捻挫後の頸部痛(14級9号)及び腰部捻挫後の腰痛(14級9号,併合14級)につき,頭痛や吐き気を伴う痛みが持続していることなどから,10年間9%の労働能力喪失を認めた。
・ 胸髄損傷により体幹及び両下肢の機能全廃の既存障害(別表第1の1級1号)を有する印刷会社事務職の頸部痛等(自賠責非該当)につき,事故によって身体に一定程度の衝撃を受けたこと,頸部痛の訴えと整合する客観的な検査所見が存在すること,事故前は頸部痛などが存在しなかったこと等から,14級9号に該当するとし,5年間5%の労働能力喪失を認めた。
・ 主婦(固定時65歳,自賠責14級9号)の左臀部(大転子部)の疼痛につき,インプラント(髄内釘)が残置されていること,年齢に照らし負担が大きいため除去手術が行われなかったこと,医師が一貫してその突出部位の刺激が原因である旨診断していること等から,12級13号に該当するとして,賃金センサス女性学歴計65~69歳平均を基礎に,7年間14%の労働能力喪失を認めた。
・ 登録派遣社員(事故時23歳)の梨状筋症候群に由来する右大腿部痺れ,疼痛,右臀部の疼痛等の神経症状(自賠責非該当)につき,神経症状を裏付ける神経学的所見は認められないが,梨状筋症候群の手術を担当した医師が神経絞扼の期間が生下時からと長いために手術後も疼痛が残存することがあり得るとしていることから,14級相当の後遺障害を認め,7年間5%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 むち打ちや末梢神経障害では,後遺症が認定されないと思われている方も少なくないと思いますが,まったく違います。むち打ちや末梢神経障害であっても,12級または14級に認定されることはあります。特に,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,むち打ち案件で後遺症の申請(被害者請求)をした場合,大半が14級以上を獲得しています。
 適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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