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【コラム】:連休中の交通事故にご注意ください
愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成30年から令和4年までの5年間の大型連休中の交通事故の死者数は20人となっています。
年齢別で見ると高齢者が70%となっています。事故類型別では横断中及び単独事故が25%と高くなっており,単独事故では規制速度以上が6割となっています。通行目的では,買い物が25%と最多で,通勤,ドライブ等が15%と続いています。
連休中は,帰省,レジャー,買い物等で外出する機会が増えますので,出かける際は無理のない運転計画を立て,スピードを控えるなど安全運転を心がけることが大切です。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202305point.pdf
では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。
交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。
お怪我をされた場合,連休中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じたなど,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。
また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。
その他,交通量が増えることで,「あおり運転」の被害に遭う可能性もあります。
もし,「あおり運転」の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,「あおり運転」の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
車が損傷したり,事故によってケガをした場合は,損害賠償を請求することができます。
「あおり運転」の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,「あおり運転」に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(10)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
② 家事従事者(1)
家事従事者の基礎収入は,賃金センサスの産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額です。
有職の主婦の場合,実収入が上記平均賃金以上の時は実収入により,平均賃金より下回るときは平均賃金により算定します。
家事労働分の加算は認めないのが一般的です。
<裁判例>
・ 女性(34歳)につき,子育てのため事故の約3年前に看護師を退職したが復職準備中であり,復職すると退職前年の年収額の約90%を得られる蓋然性が認められるとして,これを基礎に33年間認めた。
・ 家事労働のほかに障害者である長女の介護もしていた女性(55歳)につき,事故後,夫は勤務時間を減らし,二女は会社を辞めて長女の介護にあたっていること,2人の収入がある程度減少したことから,賃金センサス全労働者全年齢平均を基礎に13年間認めた。
・ 息子と二人暮らしの女性(62歳)につき,36歳という息子の年齢に鑑みれば全面的に家事を母親に依存するというものではないとの反論を否定し,家事労働に従事していたとして,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,13年間認めた。
・ 女性(67歳)につき,家事に従事していたとして,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に10年間認めた。
・ 年金を受給し長男夫婦と同居する女性(68歳)につき,杖を使用する生活となってはいたが,大方の家事はこなし,長男の妻は専業主婦であったが被害者も家事の一部を担当していたこと,月に半分は長女宅で生活し,長女の2人の子の世をなどをしていたこと等から,賃金センサス女性学歴計60歳以上平均の50%を基礎に10年間認めた。
・ 見当識障害(方向や自宅への帰路がわからなくなってしまう障害)のような状況にあった女性(69歳)につき,仮に認知症の初期または中期であったとしても,被害者は洗濯等ある程度の家事労働ができる状況であったとして,賃金センサス女性学歴計全年齢平均の50%を基礎とした。
・ 6人家族(被害者のほか,夫,長女,長女の娘2人,老母)の炊事,千手苦闘の家事全般や老母の介護を行っていた女性(71歳)につき,300万円を基礎に9年間認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(9)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
ウ 会社役員
会社役員の報酬については,労務提供の対価部分は認められますが,利益配当の実質をもつ部分は認められなません。
<裁判例>
・ 企業主の死亡逸失利益は,企業収益中に占める企業主の労務その他企業に対する個人的寄与に基づく収益部分の割合によって算定すべきであるとした。
・ 父親経営会社の役員(26歳)につき,被害者が立ち上げた新規部署の利益率は高水準で被害者の貢献に依るところが相当程度あったこと,被害者が営業,倉庫業務といった日常業務にも携わっていたことなどを考慮し,当時の役員報酬の7割を基礎とした。
・ 名義貸しによるスパーマーケット経営会社の代表者(42歳)につき,経営判断や役員報酬の決定には関与しておらず,勤務実態等から事故前の報酬全額につき労務対価性をを認めたが,他方で会社内の立場等に鑑み将来減額可能性も相当程度あり得るとし,事故前3年間の平均報酬額を基礎とした。
・ 同族会社の代表取締役(45歳)につき,事故の当期及び前期とも損失が生じているにもかかわらず,年間合計1000万円を超える役員報酬が計上されていたことなどから,役員報酬の全額が労働対価とは認められないが,会社の規模,経営状態,役員報酬額,賃金センサスの平均等に鑑み,事故当時の当期の役員報酬の80%に相当する額を基礎とした。
・ 上場会社取締役(58歳)につき,63歳までは実収入を基礎に,以降67歳までは賃金センサス男性学歴計60歳から64歳の年収を基礎としたが,役員退職慰労金については内規が慰労金の上限を示したもので必ずしも支給がなされるものとは言えないとして退職慰労金差額を否定した。
・ 会社代表者(61歳)につき,就労期間を平均余命の2分の1(10年間)とし,このうち4年間はいわゆる雇われ社長として収入全額を労働の対価として,以降の6年間は賃金センサス大卒男性65歳以上平均を基礎とした。
・ 輪島塗の木地職人兼会社役員(81歳)につき,役員報酬は他人のための被害者の保証債務を会社が肩代わりしたことなどから会社への現実の貢献度を度外視して低く設定されたものであること,他の役員(被害者の家族ら)の報酬は実質的には被害者が得られる報酬を含むと見られること,被害者の稼働状況,健康状態等から,賃金センサス男性学歴計65歳以上平均を基礎とした。
・ 建設業A社及び工場建物賃貸業B社の各代表取締役(81歳)につき,両社の役員報酬とも実質的に利益配当に相当し,労務対価とは評価できない部分があるとした上で,両社の業務内容や労務量及び各役員報酬の金額を比較考量し,A社の役員報酬の7割,B社の役員報酬2割について労務対価性を認め基礎とした。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(8)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
イ 事業所得者
自営業者,自由業者,農林水産業者などについては,申告所得を参考にします。
申告額と実収入額が異なる場合には,立証があれば実収入額を基礎とすることができます。
所得が資本利得や家族の労働などの総体のうえで形成されている場合には,所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定します。
現実収入が平均賃金以下の場合,平均賃金が得られる蓋然性があれば,男女別の賃金センサスとします。
<裁判例>
・ 専門学校中退の内装工(27歳)につき,申告所得額に比べ内装業代金の振込額が倍程度あったことから平均賃金を得る蓋然性が高いとして,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 土木建設業(37歳)につき,確定申告における事業収入ではなく,領収書に基づく収入を認めたうえで,将来的な収入増加及び経費効率化の可能性などから経費を2割として控除した額を基礎とした。
・ 開業3年目の医師(38歳)につき,事故年度の確定申告額は医師の死亡による営業中止という特殊事情に由来する経費が計上されているとして,事故前年の確定申告額を基礎としつつ,事故年度の売上増加(前年比40%)や,事故後閉鎖したクリニックの建物の賃貸料を斟酌し,事故前年の確定申告額に10%加算した額を基礎とした。
・ 前年に新規事業(ミニコミ紙制作)を始めた元新聞販売店経営者(43歳)につき,新規事業収入が通算11ヶ月で赤字だったが,直近2ヶ月は黒字で今後増加する見込みがあり,死亡前3年間の平均収入額は賃金センサス男性学歴計年齢別平均を相当程度上回っていたとして,当該賃金センサスを基礎とした。
・ パブスナック経営者(46歳)につき,事故前の申告所得に妻の専従者給与を加算した額を基礎とした。
・ 開業医(56歳)につき,直近の過去3年間の平均所得申告額から30%の事業経費を控除した額を基礎に,生活費控除30%で70歳まで認めた。
・ 不動産業(68歳)につき,給与所得及び年金収入について認めたほか,不動産所得についても,賃貸不動産の修理等を自ら行うなどしていたこと等を考慮してその1割を基礎とした。
・ 事故まで半年ほど理容店を休業していた被害者(75歳)につき,特定の顧客に理容サービスを再開し,事故直前の年賀状では理容店の名前で理容の注文を受ける旨顧客に挨拶するなどしており就労の蓋然性が認められるとし,現実収入に青色申告控除,専従者給与の90%,車減価償却費,医療法人からの給与(出張利用サービス)を加算した休業前の3年間の平均を基礎とした。
・ 飲食店経営(76歳)の稼働分につき,年金(老齢基礎年金)収入について認めたほか,所得税の確定申告の有無・額は不明であるが,飲食店を50年以上経営し,格別の借財はなく自活していたことから,就労可能年数を7年,生活費控除率30%とし,賃金センサス女性学歴計65歳から69歳平均の70%を基礎とした。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化
改正道路交通法の施行により,令和5年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されます。
愛知県では既に2021年10月1日から自転車乗車用ヘルメットの着用が努力義務となっていますが,今後は,全国で努力義務化され,自転車の安全利用のための取り組みが強化されます。
愛知県内の令和4年度の自転車の死者は20人ですが,全員がヘルメット非着用となっており,ヘルメットを着用しないと死亡につながりやすいことが分かります。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/kakuteisuu202212ver2.pdf
自転車による交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故につながりやすくなります。死亡に至らなくても,頭部を損傷することで,遷延性意識障害や高次脳機能障害となることもあります。
遷延性意識障害とは,意識不明のまま寝たきりになっている状態のことで,一般的に植物状態といわれています。事故前のように,会話をしたり,一緒に食事をしたり,笑顔を交わすことさえもできなくなるため,家族の深い悲しみは想像するに余りあります。
遷延性意識障害になると,常に身守りや介護が必要になりますので,遷延性意識障害の患者が暮らしやすい環境を整えるには,適正な後遺症の等級認定を受け,適正な賠償金を得ることが大切です。
賠償項目としては,治療費,傷害慰謝料(入院慰謝料),付添看護費,後遺症慰謝料,逸失利益の他に,将来の介護費用,近親者の後遺症慰謝料,家屋のリフォーム代が認められます。
高次脳機能障害とは,脳が損傷することで,①記憶障害(覚えられない,思い出せない,すぐに忘れる),②注意障害(気が散りやすい,集中できない),③遂行機能障害(手順良く作業を行うことができない),④人格障害(怒りっぽくなる,疑いやすくなる),⑤コミュニケーション障害が生じることです。
高次脳機能障害は外見上異常がないため,周囲から理解されることが難しく,被害者や家族が精神的にも追い込まれることが少なくありません。
自賠責では,症状に応じて1級~9級が認定され,介護が必要となる1級,2級では,遷延性意識障害と同じように,将来の介護費用や家屋のリフォーム代が認められます。
このように,遷延性意識障害や高次脳機能障害となると,被害者のみならず介護を行う家族の生活が,事故前とでは一変することになります。
自転車利用時にヘルメットを着用することで,頭部への衝撃を減らすことができますので,ご自身や大切な人を守るため,安全基準を満たす自転車乗車用ヘルメットを着用しましょう。
なお,名古屋市では,市内在住の全年齢の方を対象に,自転車乗車用ヘルメットの購入の補助をしています。他の自治体でも同様の補助を行っている場合がありますので,一度ご確認ください。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000162565.html
弁護士法人しまかぜ法律事務所は,自転車の交通死亡事故や遷延性意識障害,高次脳機能障害の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(7)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
ア 給与所得者(6)
<裁判例>
・ 会社員(51歳,営業所長)につき,定年の60歳以降は賃金センサス男性学歴計平均を採用すべきという被告の主張を採用せず,事故前年度の給与収入を基礎に67歳まで認めた。
・ 大卒営業職契約社員(52歳)につき,死亡時から契約年齢の上限である65歳までは事故前年の年収額を,その後平均余命の2分の1までは賃金センサス女性大卒65歳以上平均を基礎とし,生活費控除率30%で認めた。
・ 飲食店勤務(52歳)につき,かつてスナックを経営し,その後アルバイトを経て,事故の8ヶ月前に飲食店に勤務し,事故当時の年収は約273万円であったが,スナック経営の経験を生かして今後増収する可能性があったとして,賃金センサス男性学歴計50歳から54歳平均と事故当時の年収との中間値を基礎とした。
・ 会社員(53歳)につき,年収が50歳代前半で最大額となり,その後減少し,60歳の定年退職後は退職時の保有資格や退職時までの勤務形態によって変動することから,事故時から60歳に達するまでは事故前年の収入と同額,60歳から67歳までは,事故前年の収入が賃金センサスの1.12倍であることから,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳平均の1.12倍を基礎とした。
・ 調理師(56歳)につき,これまで培った経験や技術を生かして,67歳以降も調理師として働く蓋然性があったものと認め,平均余命の2分の1まで,事故前年年収を基礎とした。
・ 大卒銀行員(57歳)につき,60歳の定年前に出向し,定年後も嘱託として65歳まで銀行員と同じ水準の収入を得られる見込みであったこと,65歳以降も大卒者の同年齢層の平均賃金が得られる蓋然性が高いと認められることから,65歳までは事故前収入,その後平均余命の2分の1までは賃金センサス大卒65歳以上平均を基礎とし,退職差額も認めた。
・ 資料関係会社の会社員(58歳)につき,家畜飼料の専門的知識,ペットブーム,関係会社が多いこと等から,退職後も在職時以上に働くことが予想されるとして,事故前年年収を基礎に,平均余命の半分認めた。
・ 大学教授(65歳)につき,事故の約3ヶ月後に定年退職する予定であったが,退職後の具体的な就職先が決まっていたという事情が見当たらず,事故前年の年収と同程度の収入を得る蓋然性は認めがたいが,大学院修士課程を修了し,助手,助教授,教授として教鞭を執った経歴を踏まえ,賃金センサス男性大卒・大学院卒年齢別平均を基礎とし,生活費控除率40%で9年間認めた。
・ 1年の有期雇用契約社員(66歳)につき,高い専門技術を生かして会社で重要な役割を担い,中長期的な研究開発等にも携わっており,本件事故がなければ雇用契約を更新していたということができるとして,事故年の年収を基礎に,平均余命の半分,生活費控除率40%で認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(6)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
ア 給与所得者(5)
<裁判例>
・ 警備員(37歳)につき,転職後28日で21万円余の収入を得ており,高卒の学歴,これまでに従事した職種,資格の有無のほか,異なる職種に転職活動をしていたことなどを考慮し,賃金センサス男性学歴計全年齢平均の8割を基礎とした。
・ 外資系診断薬・診断用医療機器の製造・販売メーカー勤務の大卒会社員(38歳)につき,昇給率2%として60歳定年時まで算定し,定年時には年収が1.5倍になっていたとして退職金差額も認めた。
・ 国内有数の大規模上場会社に勤める大卒会社員(43歳)につき,職階や年功による昇給は廃れていくとしながら,年14万円の範囲で昇給を認めた。
・ 証券会社の外務員(44歳)につき,その歩合給は景気変動に伴い相当の幅で変化するとして,死亡時の報酬額ではなく,過去5年間の平均値を基礎とした。
・ 会社員(45歳)につき,60歳定年までは事故年の収入を12ヶ月分に修正した額,その後67歳までは賃金センサス男性大卒60歳から64歳平均をそれぞれ基礎とし,生活費控除率30%で認めた。
・ 上場企業の会社員(48歳)につき,60歳定年退職までは事故前年収入を基礎とし,定年退職後67歳までは賃金センサス男性大卒60歳から64歳を基礎とした。
・ 長年の勤務先の倒産で離職し,約10ヶ月で再就職したが3ヶ月弱で死亡した会社員(50歳)につき,従前の真面目な勤務態度,労働意欲,簿記3級等の資格を有していたこと等から,事故時の月額より高い収入を得る可能性が十分認められるが,離職前の給与水準の維持は困難な場合が多いとし,賃金センサス男性学歴計全年齢平均の75%弱を基礎とした。
・ 小学校教員(50歳)につき,定年は60歳であるものの,大学を卒業してから約27年間にわたって小学校の教員として教職に携わり,職場の同僚の間でも高い信頼を得ていたこと等を考慮すれば,就労可能年齢である67歳までは事故前年の年収と同程度の収入を得られた蓋然性が認められるとして,事故前年年収を基礎に67歳まで認めた。
・ 会社員(50歳)につき,事故前年の収入を基礎に,67歳まで生活費控除率30%で認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(5)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
ア 給与所得者(4)
<裁判例>
・ 地方公務員の小学校教諭(33歳)につき,採用後,事故まで約5年間良好な成績で勤務し,標準的な昇給をしており,事故に遭わなければ,55歳に達するまで毎年定期昇給をし,定年時(60歳)に退職金を得て退職し,その後再任用されて,5年間勤務を続ける蓋然性があったとして,定年退職までの給与及び退職手当並びに再任用後の給与に係る逸失利益を認めた。
・ 勤務医(34歳)につき,事故当時精神科医5年目であり,事故前年の年収は650万円余であったが,事故の3年前には賃金センサス男性医師平均程度の収入を得ていたこと,精神科保健指定医取得後は地元での開業を検討しており収入の増加が見込まれていたことなどを考慮し,67歳までの33年間,賃金センサス男性医師34歳から67歳までの総年収から割り出した平均年収を取得する蓋然性があったとして,これを基礎とした。
・ 医師(34歳)につき,事故当時の年収は708万円余であったが,将来大学に残り,准教授,教授としてのキャリアを積む可能性もかなり高いと評価できるとして,賃金センサスの男性医師,大学教授,大学准教授の三種の全年齢平均賃金額を基礎とした。
・ 大卒チケット販売(35歳)につき,大学在学中から死亡時まで公認会計士の資格試験受験勉強中であったものの,30歳を超えてからは実際に受験をしていたかも不明であること,一応就労していた事実は認められ,被害者の年齢を踏まえると将来的に何らの収入も得ることができないというのは相当でないことから,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 上場企業から分社した子会社に移籍したWeb広告プロデューサー(36歳)につき,事故前年の収入は791万円余であるが,勤務先における売上高の30%を占めていた実績やその才能が高く評価されていたこと等を考慮して,60歳までは分社前の勤務先のチーフプロデューサーの平均年収である1075万円余,その後67歳までは賃金センサス男性大卒60歳から64歳平均を基礎とした。
・ 森林組合職員(36歳)につき,事故前年の年収は賃金センサス男性年齢別平均の58%の日給職員であったが,仕事内容について職場で一定の評価を得ていたこと,日給職員が月給職員に転ずることもあったこと,事故年に日給の基本給が昇給となっていることなどから,定期的に昇給する高度の蓋然性があったとして,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 会社員(36歳)につき,事故当時の全集は295万円余であったが,将来昇進の見込みがあったこと,母親・弟と同居し生活費の一部を負担しつつ,将来要する母親の医療費等に備えて給与から相当額を継続的に貯蓄していたこと等に基づき,被害者の収入によって家計が相当程度維持されていたと認め,賃金センサス女性大卒年齢別平均を基礎に,生活費控除率35%で認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:高齢者運転の死亡事故の割合が増加
警察庁によると,令和4年に自動車やバイクで75歳以上の運転者が起こした死亡事故は,前年に比べ33件増の379件で,死亡事故全体に占める割合が過去最高の16.7%となりました。
1947~49年生まれの「団塊の世代」が75歳になり始め,75歳以上の免許人口が増えた影響があると考えられています。
事故の原因は,ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなどの操作ミスが30.1%と多くなっています。事故の類型別では,電柱や標識などへの衝突が最も多く,人が横断中,道路外にはみ出すケースが続いています。
このように,高齢者の交通事故の割合が増えている中,もし,交通事故の被害に遭った際に,加害者が高齢者でかつ認知症だった場合,賠償はどうなるのでしょうか。
加害者が認知症であっても,自賠責保険や任意保険に加入していれば,認知症でない方と同じように,自賠責保険や任意保険から保険金を受け取ることができます。
ただし,認知症の加害者が無保険の場合,認知症の程度により責任能力がないと判断されれば,民法上の賠償責任は負いません。その場合は,自動車損害賠償保障法の範囲で,自動車の所有者が本人であれば本人が,所有者が家族であれば運行供用者として家族が賠償責任を負うことになります。
また,認知症の程度によっては,事故状況の確認が難しく,事故の目撃者がいない場合は,示談による解決が難しくなることもあります。適正な過失割合で事故の解決をするには,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにできる,交通事故に強い弁護士に相談することが大切です。
高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。
また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。
なお,治療の結果,後遺障害が残り,その後事故とは別の理由で亡くなったとしても,死亡の事実は考慮せずに,事故後生存している場合と同様に後遺障害逸失利益は請求できます。
弁護士法人しまかぜ法律事務所は,高齢者の交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(4)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(1)稼働収入
① 有職者
ア 給与所得者(3)
<裁判例>
・ 短大卒銀行員(29歳)につき,50歳までは昇給が見込まれるとして,29歳から39歳までは事故前年収入を基礎に,40歳から49歳まで及び50歳から59歳までは,賃金センサス女性高専・短大卒年齢別平均の40歳の年収額が同29歳の年収額の1.3倍であること,同50歳の年収額が1.36倍であることを考慮し,事故前収入に同増加率を乗じたものを基礎に,60歳から67歳までは専業主婦として算定し,退職金差額も認めた。
・ 特別地方公共団体である企業団勤務(30歳)につき,定年退職までの各年度は事故当時の制度に基づく収入を基礎とし,定年後67歳までは定年時の収入の半額を基礎として,生活費控除率40%とし,退職金差額も認めた。
・ 大規模上場会社勤務の大卒会社員(30歳)につき,モデル賃金は控えめな数値であること,被害者の事故前年の給与・賞与の合計がこれを上回っていることから,控えめにみてもモデル賃金の程度の給与を取得する蓋然性が認められるとして,モデル賃金にしたがって退職までの逸失利益を認め,退職金差額も認めた。
・ 鉄道会社車掌(31歳)につき,勤務先が鉄道最大手の企業で賃金規定上各年度に昇格があることから,60歳定年まで8819万円余り,60歳から65歳まで再雇用として274万円余り,その後67歳までは賃金センサス男性高卒平均賃金を基礎としてそれぞれ逸失利益を認め,生活費控除率は,被害者の経済的援助が家計の支えの一つになっていたこと,婚姻を考えていた女性がいたこと等から45%とし,退職金差額も認めた。
・ 大卒村役場職員(32歳)につき,条例及び昇格基準により昇給・昇格し,勤勉手当も年1.2ヶ月分支給される蓋然性が認められるとして,定年の60歳まで1年ごとの年収を積算し,定年退職後は賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,生活費控除率を定年前は男性と同様の給与を得ていたことから50%,定年後は30%で算定し,退職金差額も認めた。
・ 日本料理の調理師(32歳)につき,職種が技術の習得を要するものであることから,事故前収入は480万円余であるが,賃金センサス男性全労働者の30歳から34歳の平均とそれほど差異がなく,生涯を通じて全年齢平均程度の収入を得られる蓋然性が認められるとして,賃金センサス男性学歴計全年齢を基礎とした。
・ 大卒海事職公務員(32歳)につき,昇格・昇給がありえ男性と同様の給与を得たであろうとして,賃金センサス男性学歴計全年齢平均が同30歳から34歳平均の約8.79%増であることから,定年となる60歳までは事故前年の年収に同比率を乗じた金額を基礎に生活費控除率50%,定年退職後67歳までは賃金センサス女性大卒全年齢平均を基礎に生活費控除率30%として算定し,退職金差額も認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。