【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(25)

2023-10-06

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
6.中間利息控除
  死亡逸失利益は,利益が得られたであろう本来の時期以前にその全額が支払われるため,その後その時期までに利息が付くこととなります。そのため,その期間の利息を控除しないと,被害者はその間の利息分の利益を別途得ることになります。この利息による増額分は逸失利益から控除することになり,そのことを中間利息控除といいます。
中間利息は年5%の割合で控除するとされていましたが,現行民法417条の2は,中間利息控除に関する規定を新設し,控除される利息は損害賠償請求権が生じた時点における法定利率によるとしました。また,現行民法404条2項は法定利率は年3%と規定していますが,3年を1期として1期ごとに変動するものとしています。
このため,令和2年4月1日以降(当初3年間)に発生する交通事故の損害賠償請求について,中間利息控除に用いる利率は年3%となりました。なお,令和5年4月1日から令和8年3月31日までの期にかかる法定利率も,引き続き年3%となっています。
計算方法として,ホフマン式(単利計算)とライプニッツ式(複利計算)があり,最高裁はいずれも不合理ではないとしています。東京地裁,大阪地裁,名古屋地裁は,ライプニッツ式を採用しています。

7.幼児の養育費
  死亡した幼児につき,将来の養育費の支払いを免れた部分については,死亡逸失利益から控除しません。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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