【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(24)

2023-09-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
4.税金の控除
原則として控除しません。
 ・ 年収4082万余の高額所得者(内科医)につき,税金の控除をしなかった(但し,生活費控除率を50%とした)。
 ・ 年収2213万円の高額所得者(テレビ番組等の企画・制作会社代表者)につき,納税額の決定は立法政策上の問題で加害者とは無関係で賠償額とは別個の事項であるから,税額を控除すべきではなく,納税の事実は生活費控除の割合を決めるときの一つの事由であるとして,生活費控除率を45%とした。

5.就労可能年数
原則として67歳までです。67歳を超える者については,簡易生命表の平均余命の2分の1とします。67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる者については,平均余命の2分の1とします。
未就労者の就労の始期については,原則として18歳ですが,大学卒業を前提とする場合は大学卒業予定時とします。
但し,職種,地位,健康状態,能力等によって,上記原則と異なった判断がなされる場合があります。
年金の逸失利益を計算する場合は平均余命とします。
 ・ 箏曲師範(女・54歳)につき,就労可能年数を70歳までとした。
 ・ 開業医(男・56歳)につき,70歳まで稼働可能であるとした。
 ・ 医学部3回生(女・22歳)につき,就労可能年数を70歳までとした。
 ・ 定年制のない給与所得者(男・62歳,旋盤工)につき,平均余命2分の1の72歳まで就労可能であるとした。
 ・ 税理士(男・60歳)につき,税理士の業態は,事務員による作業の割合も大きく,通常の職種よりも長期にわたり稼働し得るとして,就労可能年数を75歳までとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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