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【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(25)

2023-10-06

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
6.中間利息控除
  死亡逸失利益は,利益が得られたであろう本来の時期以前にその全額が支払われるため,その後その時期までに利息が付くこととなります。そのため,その期間の利息を控除しないと,被害者はその間の利息分の利益を別途得ることになります。この利息による増額分は逸失利益から控除することになり,そのことを中間利息控除といいます。
中間利息は年5%の割合で控除するとされていましたが,現行民法417条の2は,中間利息控除に関する規定を新設し,控除される利息は損害賠償請求権が生じた時点における法定利率によるとしました。また,現行民法404条2項は法定利率は年3%と規定していますが,3年を1期として1期ごとに変動するものとしています。
このため,令和2年4月1日以降(当初3年間)に発生する交通事故の損害賠償請求について,中間利息控除に用いる利率は年3%となりました。なお,令和5年4月1日から令和8年3月31日までの期にかかる法定利率も,引き続き年3%となっています。
計算方法として,ホフマン式(単利計算)とライプニッツ式(複利計算)があり,最高裁はいずれも不合理ではないとしています。東京地裁,大阪地裁,名古屋地裁は,ライプニッツ式を採用しています。

7.幼児の養育費
  死亡した幼児につき,将来の養育費の支払いを免れた部分については,死亡逸失利益から控除しません。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(24)

2023-09-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
4.税金の控除
原則として控除しません。
 ・ 年収4082万余の高額所得者(内科医)につき,税金の控除をしなかった(但し,生活費控除率を50%とした)。
 ・ 年収2213万円の高額所得者(テレビ番組等の企画・制作会社代表者)につき,納税額の決定は立法政策上の問題で加害者とは無関係で賠償額とは別個の事項であるから,税額を控除すべきではなく,納税の事実は生活費控除の割合を決めるときの一つの事由であるとして,生活費控除率を45%とした。

5.就労可能年数
原則として67歳までです。67歳を超える者については,簡易生命表の平均余命の2分の1とします。67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる者については,平均余命の2分の1とします。
未就労者の就労の始期については,原則として18歳ですが,大学卒業を前提とする場合は大学卒業予定時とします。
但し,職種,地位,健康状態,能力等によって,上記原則と異なった判断がなされる場合があります。
年金の逸失利益を計算する場合は平均余命とします。
 ・ 箏曲師範(女・54歳)につき,就労可能年数を70歳までとした。
 ・ 開業医(男・56歳)につき,70歳まで稼働可能であるとした。
 ・ 医学部3回生(女・22歳)につき,就労可能年数を70歳までとした。
 ・ 定年制のない給与所得者(男・62歳,旋盤工)につき,平均余命2分の1の72歳まで就労可能であるとした。
 ・ 税理士(男・60歳)につき,税理士の業態は,事務員による作業の割合も大きく,通常の職種よりも長期にわたり稼働し得るとして,就労可能年数を75歳までとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(23)

2023-09-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
3.生活費控除率
(3)年金部分
・ 主婦(70歳)につき,家事労働分は賃金センサス女性学歴計70歳以上平均を基礎に生活費控除率を30%,年金収入分は,年金が生活保障を目的としていることに鑑み生活費控除率を40%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・68歳)につき,持ち家で家賃が不要であったこと,年金等による家計収入よりも相当程度少額の生活費で賄っていたことがうかがわれるとして,生活費控除率を40%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・87歳)につき,年金432万円余を基礎として,年金収入額及び妻と二人暮らしであったこと等に照らし,平均余命までの5年間,生活費控除率を40%とした。
・ 年金を受給し長男夫婦と同居する女性(68歳)につき,家事労働については,平均余命の2分の1(10年間),賃金センサス女性学歴計65歳以上平均の50%を基礎に生活費控除率30%,年金については平均余命の20年間,生活費控除率を50%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・79歳)につき,年金360万円余を基礎として,妻も年金を受給し,持ち家で家賃負担もないことから生活費控除率を50%とした。
・ 女性(80歳)につき,厚生年金174万円余を基礎に,生活費控除率を50%として11年間認めた。
・ 夫が経営に関与している会社3社で稼働する主婦(63歳)につき,就労可能な67歳までは会社給与所得が得られたであろうとして年金に関する生活費控除率を30%とし,68歳以降は会社での収入は得られなくなり,主婦業のみとなること,他方,死亡時には収入のある夫や息子2名と同居していたことなどから生活費控除率を50%とした。
・ 主婦(80歳)につき,共済年金と通算老齢年金との年額合計335万円余は生活費控除率を5割で9年間認め,簡易生命保険契約に基づく年金年額24万円余は生活費控除せずに9年間認めた。
・ 年金受給者(男78歳)につき,年金230万円余を基礎として,年金により生計を維持していたことや年金金額等を考慮して,生活費控除率を50%とした。
・ 会社員(49歳)につき,稼働収入分のほか,厚生年金保険法に基づく障害厚生年金及び国民年金法に基づく障害基礎年金から加給分を控除した167万円余を基礎とし,49歳から67歳までは生活費控除率50%,67歳から80歳までは60%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】愛知県内の交通事故死者数が100人に達する

2023-09-15

 愛知県警察によると,令和5年9月11日,愛知県内の今年の交通事故死者数が100人に達しました。昨年に比べ29日早く,愛知県警察では警戒を呼び掛けています。
 死者100人のうち,歩行者が38人と最多となっており,次いで四輪車25人,自転車16人,自動二輪13人,原付7人,その他1名となっています。また,年齢別では,65歳以上の高齢者が49人で,約半数となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou230913.pdf

 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
 
 また,交差点内や交差点付近で歩行者が横断中に事故に遭う場合,歩行者が横断歩道を横断しているかどうかで過失割合が変わってきます。
 歩行者は,横断歩道の付近においては,横断歩道によって道路を横断しなければならないとされています。一方,車は,横断歩道により横断している歩行者がある場合は,当該横断歩道の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げないようにしなければならないとされており,横断歩道により道路を横断する歩行者に対しては強い法的保護が与えられています。
 また,横断歩道外を横断している場合でも,おおむね横断歩道の端から外側に1mないし2m居ないの横断や,横断歩道が停止車両により閉塞されているときの当該車両の直前・直後の横断は横断歩道による横断と同視される可能性が高いです。
 それ以外の場所でおいては,横断歩道の付近(幹線道路であれば横断歩道の端から外側におおむね40mないし50m以内,それ以外の道路では20mないし30m以内)であれば横断歩道通過後なのか横断歩道の手前なのかによって過失割合が変わってきます。
 歩行者の事故の場合,事故態様によって過失割合が変わってきますので,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で解決することも非常に大切となります。

 死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,専門的知識と豊富な解決実績のある交通事故に強い弁護士に相談することが重要になります。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(22)

2023-09-08

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
3.生活費控除率
(4)兄弟姉妹のみが相続人のとき
   兄弟姉妹のみが相続人のときは別途考慮することもあります。

(3)年金部分
   年金部分についての生活費控除率は,通常より高くする例が多いです。
  ・ 老齢厚生年金,老齢国民年金及び遺族厚生年金(年額合計約241万円)を受給していた無職者(75歳)につき,生活費は逸失利益性を有しない遺族厚生年金(年額約200万円)のみで賄うことが可能であったとして,逸失利益性を有する老齢厚生年金及び老齢国民年金の受給合計額(年額約41万円)に対しては生活費控除を行わないとした。
・ 主婦(64歳)につき,受給していた特別支給老齢厚生年金以外に,死亡4か月後に給付が開始される予定の老齢基礎年金及び老齢厚生年金の合計62万余の逸失利益性を認め,同居の三男が542万余の年収を得ており,被害者も不動産賃料収入(年額372万円余)を得ていたことから,平均余命期間につき生活費控除率を30%とした。
・ 女性(81歳)につき,逸失利益性を有する老齢基礎年金年額9万円余に比べ,逸失利益性を有しない遺族厚生年金及び遺族共済年金年額155万余が遥かに高額であることを考慮し,生活費控除率を30%として,平均余命の10年間認めた。
・ 障害年金を受給している妻及び3人の子供を扶養し,自身も障害年金を受給している事故時の稼働収入461万円余の会社員(52歳)につき,障害年金から加給分を控除した147万円余りを基礎に,平均余命の27年間生活費控除率30%とした。
・ 老齢年金(年39万円余)の他,遺族共済年金(年183万円余)及び後期高齢者医療給付金を受給していた女性(88歳)につき,遺族共済年金及び後期高齢者医療給付金の存在に照らして生活費控除率を30%とした。
・ 主婦(80歳)の年金分につき,国民年金79万円余を基礎として,遺族年金(162万円余)によっても生活費がまかなわれていることから,生活費控除率を40%とした。
・ 障害者年金等を受給する大工(男・37歳)につき,稼働分の逸失利益は3年間の申告所得の平均を基礎に30年間,生活費控除率40%とし,年金分の逸失利益は障害補償年金及び障害厚生年金の合計152万円余を基礎に43年間,生活費控除率は40%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(21)

2023-09-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
3.生活費控除率
(2)女性(主婦,独身,幼児等を含む) 30%
   女子年少者の逸失利益につき,全労働者(男女計)の全年齢平均賃金を基礎収入とする場合には,その生活費控除率を40~45%とするものが多い。
  ・ 夫を扶養する兼業主婦(59歳)につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,事故後夫が死亡したが,その死亡は事故と相当因果関係がなく,損益相殺の法理又はその類推適用により控除すべき損失と利得との関係があるとは言えないとして考慮せず,生活費控除率を30%とした。
  ・ 小学校教員(50歳)につき,小学校教員である夫,農業に従事している両親,大学生及び予備校生の息子の6人で生活し,主婦として家庭生活を支えていたことから,生活費控除率を30%とした。

(3)男性(独身,幼児等含む) 50%
  ・ 女性と交際していた男性(25歳)につき,子をもうけるかは不確定だが,遅くとも30歳までには婚姻をするとして,生活費控除率を30歳まで50%,それ以降40%とした。
  ・ 大学3年生(23歳)につき,事故の2年前に父親が死亡し,卒業後は母親を扶養し一家の支柱となることが予定されていたとして,生活費控除率を40%とした。
  ・ 独身給与所得者(35歳)につき,小学5年生になる子がいる女性と1週間後に結婚式を挙げる予定であったことから,生活費控除率を30%とした。
  ・ 給与所得者(38歳)につき,離婚後2人の子に1人あたり月額1万5000円の養育費を支払っており,それによって子らが生計を維持していたとは認められないが,養育費支払義務を履行してきたことは事実であり,通常の独身男性とも異なる部分があるとして,生活費控除率を45%とした。
  ・ タクシー運転手(40歳)につき,独身で両親と同居し,収入のすべてを生活費として家庭に入れるとともに,身体障害者である母親の介護の中心的役割を果たしていたことから,一家の支柱と認めて,生活費控除率を40%とした。
  ・ 会社役員(30歳)につき,母親及び兄と同居し,兄と二人で母親を扶養していたことから生活費控除率を45%とした。
  ・ 土木作業員(61歳)につき,糖尿病性足潰瘍による右第1趾切断後で糖尿病網膜症等の弟が被害者の収入により生計を維持されていた者として勤務先に届けられていたことを考慮し,被害者を一家の支柱,弟を被扶養者に準ずるものとして,生活費控除率を40%とした。
  ・ 母と二人暮らしのとび職(20歳独身)につき,母はスナックを経営して収入があったが,結婚を約束していた女性がいて一緒に住む予定であったことを考慮して生活費控除率を40%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(20)

2023-08-25

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
3.生活費控除率
  もし生きていれば支出するはずだった生活費も支払わなくてよくなっているため,死亡逸失利益を算定するには,将来支払うはずだった生活費を控除します。
  生活費控除率は,被害者の性別,扶養者の有無,扶養者の人数等によって異なります。
(1)一家の支柱
  ① 被扶養者1人の場合 40%
   ・ 母と生活する自動車運転手(男・26歳独身)につき,一家の支柱と認定した上,30%とした。
   ・ アルバイト(男・23歳)につき,一家の支柱と認定した上,交際していた女性が出産した子との間で認知審判により親子関係が認められて子に対する扶養義務が確定しており,事故で死亡しなければ養育費等の取り決めがなされ,その履行がなされていったであろうことが窺われるとし,生活費控除率を40%とした。
   ・ 妻と二人暮らしだが別居中の高齢の養母がおり相応の不要の要があった会社員(男・57歳)につき,35%とした。
   ・ 単身赴任で妻を扶養していた上場会社である総合商社副社長執行役員(男・62歳)につき,被害者の収入が高額であって累進税率の適用による所得税・住民税等の負担が成人男性の平均を相当程度上回ることからすれば50%を下回らない旨の加害者の主張について,逸失利益の算定に当たって租税額を控除するのは相当ではないことから排斥し,被害者の年収,年齢,生活状況等に鑑みて40%とした。
  ② 被扶養者2人以上の場合 30%
   ・ 会社員(男・39歳)につき,離婚して2人の子供と別居し,看護養育を元妻に委ねていたが,週1,2回は面会交流し,マンションの住宅ローンや管理費を負担して子供に住居を提供し,遊興費を負担するなど経済的負担もしていたことから,親権者として扶養義務を負っていたばかりでなく,実際にも相応の経済的負担をして,生計上は同一世帯を形成し,主として世帯の生計を維持していたとして,生活費控除率を30%とした。
   ・ 会社員(男・58歳)につき,妻に加えて,ニューヨーク等海外及び東京を拠点としてフリーランスのピアニストとして活動する娘(31歳)について,演奏料収入は年間100万円に満たず,経費が収入を上回り,被害者からの仕送りを受けて生活をし,被害者の死亡後は帰国し生活をしているとの事情から,被害者の被扶養者であったと認めるのが相当とし,生活費控除率を30%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら

2023-08-04

 警察庁によると,令和5年上半期の交通事故交通事故死者数は1182人となっており,昨年より24人多くなっています。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R5kamihanki_bunseki.pdf

 状態別では、歩行中417人,自動車乗車中402人,二輪車乗車中212人が前年より増加,自転車乗用中143人が前年より減少しています。今年4月から自転車乗車中のヘルメット着用が努力義務となりましたが,自転車乗用中死傷者のヘルメット着用率は前年比で上昇しています。

 お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。警視庁は,行動制限が緩和されて人の動きが活発化したことが,上半期の事故死者増の背景にあるとみており,今年は例年以上に交通事故が増える恐れがあります。
 普段は電車やバス等を利用している方が,混雑を避けるために車を利用するなど,運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。特に,長時間運転をする予定のある方は,時間に余裕を持った計画を立て,適宜休憩をするなど体調管理を併せた安全行動を取ることが大切です。
 また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
 では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,お盆期間中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じた方など,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,あおり運転の被害に遭う可能性もあります。
 令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では,あおり運転を「妨害運転」として新たに規定されました。他の車両等の通行を妨害する目的での車間距離不保持や不必要な急ブレーキなど10類型が妨害運転となり,取り締まりの対象になります。
 もし,あおり運転の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,あおり運転の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によって怪我をした場合は,損害賠償を請求することができます。
 あおり運転の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,あおり運転に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(19)

2023-07-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
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消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(2)年金収入・恩給収入
  ③ 年金収入・恩給収入につき逸失利益を否定した事例
   ・ 障害年金の加給分につき,拠出された保険料とのけん連関係があるものとはいえず,社会保障的正確の強い給付であり,子の婚姻など,本人の意思により決定し得る事由により加算の終了することが予定されていて,基本となる障害年金自体と同じ程度にその存続が確実なものということもできないとして,逸失利益性を否定した。
   ・ 遺族厚生年金及び市議会議員共済会の遺族年金について,受給権者自身の生計の維持を目的とした給付であることなどを理由として逸失利益性を否定した。
   ・ 軍人恩給の扶助料について,受給権者自身の生計の維持を目的とした給付であることなどを理由として逸失利益性を否定した。
   ・ 戦傷病者戦没者遺族等救護法に基づく遺族年金及び国民年金法に基づく老齢福祉年金について,いずれも無拠出制の年金であるなど受給者の生存中の生計の維持を目的とするものであるとして逸失利益性を否定した。
   ・ 都道府県及び政令指定都市が条例に基づいて実施する心身障害者扶養共済制度(保護者が死亡し又は重度障害となった場合に心身障害者に年金を支給する制度)により被害者が受給していた年金について,その制度趣旨や社会保障的正確の強いものであること,年金受給権が受給権者の死亡に寄り消滅するとされていること等から,死亡逸失利益の対象とならないとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(18)

2023-07-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(2)年金収入・恩給収入
  ② 受給開始前の被害者につき将来の年金に対する逸失利益性を肯定した事例
   ・ 大卒大手企業会社員(43歳)につき,老齢年金の逸失利益は否定したが,退職年金については平成10年から12年までの同社の退職者の平均6割を基礎に認め,生活費控除率は老齢年金の支給もあることから40%で認めた。
   ・ 広告代理店取締役営業部長(50歳)につき,既に老齢厚生年金の受給資格を有しており,老齢厚生年金受給が事故の18年後で,その間に現在の年金制度に何らかの変更があったとしても,既に年金受給資格を有する者に対する年金支給が不確実とまではいえないとして逸失利益性を認め,67歳までは年金の支給が停止されるため否定し,68歳から80歳まで生活費控除率50%で認めた。
   ・ 会社員(50歳)につき,加入期間が25年(300か月)にわずかに満たない298か月だったことに鑑み,老齢基礎年金及び老齢厚生年金の死亡逸失利益を認め,就労中は支給停止となることから67歳までは否定し,67歳から81歳まで生活費控除散る60%で認めた。
   ・ タクシー乗務員(52歳)につき,事故当時受給資格を満たしていたとして60歳から80歳までの老齢厚生年金・厚生年金基金の逸失利益を認め,67歳までの就労による支給停止分を控除して,生活費控除率60%で認めた。
   ・ 会社員(57歳)の厚生年金法に基づく老齢厚生年金につき,受給資格を取得しているとして,60歳からの年金受給見込額(年額)から,67歳までの稼働収入分に関わる国民年金法等一部を改正する法律等による控除・減額をして23年間認め,生活費控除率は配偶者が老齢厚生年金の支給を受けられるようになる65歳まで40%,国民年金保険による老齢基礎年金の逸失利益を認めた。
   ・ 男性(58歳)につき,国家公務員等共済組合からの退職共済年金,国民年金保険による老齢基礎年金の逸失利益を認めた。
   ・ 主婦(59歳)につき,国民年金を298か月納付してきたことから,事故当時年金受給資格を取得していなくても老齢基礎年金について逸失利益を認めるのが相当であるとして,65歳になったときの年金見込み額を基礎とし,生活費控除率は65歳から就労可能な70歳までの5年間30%,以降15年間60%で認めた。
   ・ 夫を扶養する兼業主婦(59歳)につき,事故の約4か月後に受給権の発生する老齢年金の逸失利益を認め,生活費控除率は就労可能な72歳まで30%,以降86歳まで60%で認めた。
   ・ 男性(63歳)につき,事故時に国民年金の受給資格を得ており,65歳に達すれば国民年金を受給しえたとして逸失利益性を認め,満65歳から17年余りを認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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