【コラム】:慰謝料(12)

2024-02-16

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ③ 3級の事例
   ・ 主婦(固定時32歳,高次脳機能障害5級,複視14級相当,右眼視野欠損13級等の眼の障害13級相当,そしゃく障害10級,骨盤骨変形12級,外貌醜状7級,左下肢の瘢痕14級の併合3級)につき,2200万円を認めた。
   ・ 男性(事故時52歳,頸髄損傷に伴う四肢不全麻痺等3級)につき,傷害分294万円のほか,後遺障害分2200万円を認めた。
   ・ 無職年金生活者(事故時64歳,右下肢欠損傷害及び右股関節機能障害4級相当,左下肢関節機能障害10級の併合3級)につき,身体活動が大幅に制約されるに至ったことなどの事情も考慮し,傷害分350万円のほか,後遺障害分2100万円を認めた。

  ④ 4級の事例
   ・ 主婦(固定時45歳,心房破裂による心房縫合,腹壁瘢痕ヘルニア,腸閉塞等5級,胸椎圧迫骨折11級の併合4級)につき,胸部から下腹部にかけて縦走する瘢痕はV字形状にくぼんでえぐれ,臍や腹部はでこぼこしており,通常の感受性のある女性なら精神的苦痛を感じずにはいられないとして,傷害分440万円,後遺障害分1800万円を認めた。
   ・ 生活保護受給者(年齢不詳,左下肢喪失4級,右大腿醜状14級の併合4級)につき,長男が退院後再入院まで3ヶ月程度介護したことなどを考慮し,傷害分353万円,後遺障害分1750万円を認めた。
   ・ 非正規雇用従業員(固定時21歳,高次脳機能障害,てんかん,腓骨神経麻痺,視野欠損の併合4級)につき,必ずしも等級表で評価し尽くされるとはいい難い高次脳機能障害を伴うとして,傷害分300万円のほか,後遺障害分1840万円を認めた。
   ・ 事故時家庭教師,事故翌年から医学部に入学した大学生(固定時34歳,右下腿切断5級,右肩関節機能障害12級等の併合4級)につき,長期入院と数次の手術を余儀なくされ,幻肢痛に苦しんだこと,事故後約8年間の休学で学業及び将来の資格取得に多大な影響を受けていること,加害者が事故態様について事実に反する主張をして責任回避の姿勢に終始したことを勘案し,傷害分410万円のほか,後遺障害分2000万円を認めた。
   ・ 土木作業員(固定時59歳,神経系統の機能又は精神障害7級相当,胸腹部臓器の障害7級,脊柱運動障害8級,視力障害8級,聴力障害9級,外貌醜状12級)につき,障害が多方面にわたり,外貌醜状を除くいずれもが労働能力に深刻な影響を与えるものであること等から,通常の併合基準を適用すべきでないとして,4級に相当するとしたうえで,傷害分450万円のほか,後遺障害分1800万円を認めた。
  
 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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