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【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(6)

2021-12-06

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(6)
2.基礎収入
(2)家事従事者
家事従事者の基礎収入は,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額(令和元年の統計で,388万0100円)です。
兼業主婦(夫)の場合,実収入が賃金センサス以上のときは実収入により,賃金センサスを下回るときは賃金センサスにより算定します。

  ④ 認定例
・ パート勤務の主婦につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とせず,パート収入を考慮して,賃金センサス学歴計35歳から39歳平均を基礎とした。
・ 妻が実家の事業を継いだため職につかず家事全般に従事していた被害者男性につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ ピアノ講師兼主婦,右肩から上肢の疼痛としびれ等併合12級につき,家事に従事するほか,週3日1回あたり半日,ピアノ講師をして1ヶ月10万円の給与を得ていたことから,家事労働については賃金センサス女性45歳から49歳平均を基礎として週5.5日分,これに給与分を加算した年収を基礎にした。
・ 主婦の顔面を含む左半身のしびれ等の神経症状12級につき,事故当時,家事労働に従事しており,事故後息子が結婚予定の女性と同居するようになったことに伴い一人暮らしをするようになったとしても,事故当時,息子の別居が客観的に予定されていたなどの事情を認めるに足りる証拠はないとして,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,14年間認めた。
・ 主婦の顔面醜状,左手関節痛,腰痛等併合11級につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 四肢不全麻痺3級の被害者につき,婚約中で既に同居して家事をしていたほか,開店予定の蕎麦店の手伝いをして就労する予定があったこと等から,兼業主婦として稼働する蓋然性があったとして,賃金センサス女性学歴計30歳から34歳平均を基礎とした。
・ 主婦の非器質性精神障害12級,左股関節機能障害10級,左大腿部知覚鈍麻14級の併合9級につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 兼業主婦の高次脳機能障害1級につき,逸失利益は事故時に発生しており,事故後症状固定前に発生した夫の死亡を理由として加害者の負担が軽減する結果となることは,衡平の理念に反するから考慮しないとして,賃金センサス女性学歴計全年齢平均の85%を基礎に,平均余命の2分の1認めた。
・ 自宅で翻訳業を営み実収入を得るとともに,同居する両親の介護等をしていた被害者男性につき,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 家事従事者の逸失利益については争いとなることも多く,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:愛知県内の交通事故死者数が100人に達する

2021-11-26

 愛知県警察によると,愛知県内の今年の交通事故死者数が100人に達し,令和3年11月26日時点では102人となっています。亡くなった102人のうち67人が65歳以上の高齢者となっており,約4割が歩行中でした。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou211125.pdf
 過去5年間の分析によると,12月は年間で最も交通死亡事故が発生する月となるため,愛知県警察は,帰宅時間が重なって交通量が増える午後5~7時を「魔の時間」と呼んで,早めのライト点灯や反射材の着用を促しています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinnto12gatu.pdf

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合には,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(5)

2021-11-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その2 後遺症による逸失利益(5)
2.基礎収入
(1)有職者
  ④ 高齢者
就労している高齢者の場合には、基本的に実収入を基礎収入として逸失利益を計算します。

  <高齢者の基礎収入に関する裁判例>
・ 材木仕入業(事故時71歳),右膝の神経症状14級につき,事故前年の申告所得額は定額であるが,妻と孫2人との4人暮らしで,年額260万円余の債務返済をしていたことから,少なくとも年齢別平均賃金程度の収入はあったとした。
・ 仲居(固定時70歳),下肢関節機能障害12級につき,実収入を基礎とした。
・ シルバー人材センターでの仕事に従事していた被害者(固定時68歳),下肢関節機能障害10級につき,事故前年の同センターでの収入は定額であるが,妻には年745万円余の所得があり,それほど高いとはいえないが被害者にも寄与があり,その寄与に応じた収入が得られる蓋然性は肯定する余地はあるとして,賃金センサス男性学歴計年齢別平均の4割を基礎とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 高齢者で仕事をされている方が,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(4)

2021-11-16

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(4)
2.基礎収入
(1)有職者
  ① 会社役員
会社役員が受け取る役員報酬には,実際の労務提供の対価としての報酬と,労働しなくてももらえる利益配当の実質をもつ報酬の2種類が含まれています。
労務提供の対価部分は認められますが,利益配当の実質をもつ部分については消極的です。

  <会社役員の基礎収入に関する裁判例>
・ 鳶工事業の有限会社経営兼鳶職人,右膝動揺関節,右股関節機能障害併合9級につき,同族会社であり,被害者は職人の差配,現場監督のほか鳶として現場作業にも従事し,事故後休職中は給与の支払いを受けず,復職後も給与が減額されていること,他方で会社の売上,営業利益及び当期利益は事故前と事故後で大差のないこと等から,事故時の給与年額の65%を労働対価部分とした。
・ 土木工事の施工管理会社役員,左膝動揺関節8級につき,会社は被害者とその妻のみで他の従業員はおらず,実質的に被害者が全ての業務を行っていたこと,被害者自ら施工管理業務を遂行し,外注している技術者にも助言・指導を行っていたこと等から,役員報酬全額を労務提供部分とした。
・ ITコンサルタント会社代表,左足関節の機能障害,左足指の欠損障害6級につき,高度の専門性,経験,知識等を要求されるITコンサルタントとしても労務を提供していたが,事故後は歩行困難により顧客企業に出向いてのシステムの導入,サポート等の機動的な業務遂行や機敏な対応が不可能になった結果,会社の売上が相当減少しているとして,事故前の年収の80%を労務対価部分と認めた。
・ レーザー機器の研究開発会社代表者,頚部痛14級につき,経営者であると同時に中心的研究者であったこと,会社の規模・年商額等を考慮し,事故前年の役員報酬全額を労働の対価部分と認めた。
・ 会社代表取締役,神経症状14級につき,持ち株比率が被害者50%,妻30%の同族会社であること,従業員数が少ないことや他の従業員の給与,社員らの中で最も長時間勤務し,施工現場監督も行い,直接担当する顧客もあり,事故後に売上高,売上総利益,損益がいずれも低下ないし悪化したこと等から,役員報酬の全額を労働対価部分とした。
・ スポーツ用品販売等の会社代表の頚部痛,腰痛併合14級につき,役員報酬は事故のおよそ7年前から定額であること,事故前年は休業に数に応じた形で減額されていること,決算業務をはじめとして職責が大きいこと,株主配当が行われていないこと,症状固定後において為替差損による損害を理由に減額されており必ずしも提供労務量に比例していないこと等から,役員報酬額の7割を労務対価部分と認めた。
・ 印刷機器販売等会社代表者,右上肢変形障害,右股関節神経症状,頭部神経症状併合7級につき,一人会社であり,親族が経理事務等を手伝うほかは本人が単独で印刷機器の販売等を行っていたことから,役員報酬全額を労働対価部分と認めた。
・ 会社代表者,右足関節機能障害10級につき,会社の経費の一部が生活費に充てられ,実質的には収入になっていたとして,これらを加算した金額を営業活動等の労働対価部分とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 会社役員は,会社の規模や被害者がどの程度労務を行っていたか等,それぞれ状況が異なりますので,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(3)

2021-11-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その2 後遺症による逸失利益(3)
2.基礎収入
(1)有職者
  ② 事業所得者
自営業者,自由業者,農林水産業などについては,申告所得を参考にします。申告額と実収入額が異なる場合には,立証があれば実収入額を基礎とすることができます。
所得が資本利得や家族の労働などの総体のうえで形成されている場合には,所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定します。
また,現実収入が平均賃金以下の場合でも,平均賃金が得られる蓋然性があれば,男女別の賃金センサスが認められる場合があります。
現実収入の証明が困難なときには,各種統計資料によって算定することもあります。

  <事業所得者の基礎収入に関する裁判例>
・ 事故後建築士事務所を独立開業した1級建築士,左膝機能障害10級につき,資格が男女平等であり,性別の差が賃金センサス上の賃金のように顕著な差異を生ずるものではないとして,賃金センサス男性大卒年齢別平均を基礎とした。
・ 日給制で雇用されている塗装工,右肩関節の可動域制限10級につき,個人事業主としての申告所得は低額であったが,実際の経費は通信費および消耗品費程度であるとして,事故前年の年収から5%の経費を控除した金額を基礎とした。
・ 花屋経営の嗅覚脱失,精神神経症状等併合11級につき,事故前年所得は否定されたものの,顧客増加により事故前々年より売上が大幅に増えていたこと,花関係の会社に勤めていたときに平均賃金より高額を得ていたこと,健康であれば花屋を閉店して会社に正社員として復帰できる蓋然性もあることなどから,賃金センサス高専短大卒全年齢を基礎とした。
・ 米穀や灯油の卸・販売,設置配管工事業の右第3,4趾欠損13級につき,確定申告上は所得がマイナスで実際の所得も明らかではないが,現実に労働能力の一部を喪失し,これが事故後の事業の縮小と無関係とまではいえないとし,家族の寄与等を考慮して,各種商品小売業者全労働者平均の7割を基礎とした。
・ 建設自営業の精神神経症状等併合4級につき,事故前々年,事故前年の所得は賃金センサスより低額であったが,営業収入が高額であること,以前は賃金センサスを上回る所得があったこと,原価・経費計上分の一部に個人使用分が含まれていること等から,賃金センサス男性学歴計年齢別平均を基礎とした。
・ 弁理士の左下肢のしびれ・疼痛,左後頚部の疼痛・緊張等併合12級につき,事故前の弁理士業務による所得は変動があり安定しているとは言い難いから,基礎収入は5年間の営業所得の平均額とし,それに自らが経営する特許事務所補助業務の会社からの収入を加えた金額を基礎とした。
・ 高卒の自動車整備業・自動車販売業の四肢麻痺及び膀胱直腸障害9級につき,事故前の年収は低額であるが,独立から間もない時期であり,固定時の年齢が30歳であることをかんがみれば,将来は高卒全年齢平均賃金を得るであろう蓋然性が認められるとし,賃金センサス男性高卒全年齢を基礎とした。
・ 鉢花を生産する農業事業者の右半身麻痺,失語症,注意力障害等,右同名半盲併合2級につき,農業収入は農作物価格等によって変動するから,事故前年の金額を直ちに基礎収入とすることは相当ではない場合があるとし,専従者給与を控除した事故前々年度と前年度の平均を基礎とした。
・ 居酒屋営業の右膝可動域制限及び関節の動揺性,左足関節痛併合11級につき,開業約1ヶ月後の事故であり,また3ヶ月で廃業しており,この間に得た利益額は不明であるが,年齢に対応した平均賃金等に照らすと,開業以前の貿易会社勤務時の所得により算定することに一応の相当性が認められるとして,同所得を基礎とした。
・ 飲食業・農業の高次脳機能障害3級につき,青色申告控除前所得に,飲食店の手伝いをしていたが給料を渡さなかった義母の専従者給与の3分の2を算入し,同様に算入した3年間の平均を基礎とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 事業所得者は,事業内容や事業を開始してからの年数,確定申告の状況等,1人1人状況が異なりますので,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(2)

2021-10-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その2 後遺症による逸失利益(2)
2.基礎収入
(1)有職者
  ① 給与所得者
    給与所得者の基礎収入は,原則として事故前の収入を基礎とします。
現実の収入が賃金センサスの平均額以下の場合,平均賃金が得られる蓋然性があれば,賃金センサスが認められる場合があります。
また,若年労働者(事故当時概ね30歳未満)の場合には,全年齢平均の賃金センサスが基礎収入となります。

  <後遺症逸失利益の基礎収入に関する裁判例>
・ 症状固定後の最新の賃金センサスを基礎とした。
・ 副住職,若年,後遺障害1級(症状固定後79日後に死亡)につき,実収入は350万円であったが,被害者の年齢,学歴,将来の予定(将来は弟が寺を継いで被害者は理工学系の仕事あるいは研究に従事)から,賃金センサス男性大卒全年齢平均を基礎とした。
・ 会社員,併合14級につき,事故の翌年の年収は賃金センサスの約85%であったが,当該年度は治療等のため休業を余儀なくされていた状況下であったこと,事故当時まだ勤続年数が少なく,その先稼働を続けた場合には定期昇給等による年収増加が充分予想されることから,学歴,能力,勤労意欲等から,賃金センサス男性高卒全年齢平均を基礎とした。
・ 派遣会社員,併合11級につき,事故前3ヶ月の収入は平均賃金以下であったが,過去には平均賃金を超える収入を得ていた時期もあり,再就職の可能性もあることから,賃金センサス男性学歴計全年齢平均の7割を基礎とした。
・ 会社員,1級3号につき,事故年度の収入は平均賃金以下であったが,事故が転職間もない時期であったことから,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 銀行員,1級3号につき,同期入社社員の上昇率(5%)を参考に症状固定時の推定年収額を認定し,これを基礎として定年時までの逸失利益を算定した。
・ 会社員,若年,10級につき,事故後退職して専門学校で修学後,契約社員となり,減収はないが,疼痛を我慢していること,1年間の契約社員で継続雇用が不確定な状況から,事故時の収入は平均賃金以下であるが,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 会社員,併合4級につき,大学は2年半で中退しており,事故前年の年収はその年に就職したため平均賃金以下にとどまるものの,事故2年前,3年前の年収がいずれも賃金センサス男性大卒年齢別平均額を上回っていたことから,賃金センサス男性大卒全年齢平均を基礎とした。
・ 料理人,併合12級につき,事故前年の年収が賃金センサス男性年齢別平均額を上回っていたことから,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 救命救急士の資格を有する消防士,11級につき,学歴は高卒であるが,事故前年の年収は大卒男性年齢別平均額を6%上回っていたことから,賃金センサス男性大卒全年齢平均の6%増しを基礎とした。
・ 運転手,併合2級につき,本件事故前の休業損害証明書上の収入は平均賃金以下であったが,運送会社に就職したばかりであり,今後収入の増加が見込まれる長距離運送に従事することが期待できたこと,労働能力喪失期間の長さ等を考慮し,賃金センサス男女計学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ 運転手,併合11級につき,事故前年の年収は平均賃金以下であるが,勤務先会社の給与体系は基本給・考査給・各種手当てからなっており,勤続年数や経験に応じて号棒が順次昇格し考査給が昇級する可能性があり,班長に任命されれば班長手当も付加されること,まもなく昇格すると見込まれていたこと等から,班長職のトレーラー運転手の平均年収を基礎とした。
・ 宮大工見習い,併合12級につき,宮大工としての収入は平均賃金以下であったが,本件事故により転職を余儀なくされ,事故後は収入が増加していることから,賃金センサス女性大卒全年齢平均の95%を基礎とした。
・ 会社員,併合9級につき,事故前年の年収は平均賃金以下であるが,勤務先の会社の経営状態による可能性があるとし,資格を有していることや年齢を考慮して,賃金センサス男性学歴計全年齢平均の7割を基礎とした。
・ 派遣社員,14級9号につき,事故前年の年収は平均賃金に及んでいなかったが,事故当時に契約社員になる話が来ており,契約社員になれば年収の増加は容易に推認できることなどから,事故時の賃金センサス女性学歴計全年齢平均と同等程度の金額を基礎とした。
・ 高卒ガソリンスタンド勤務,12級につき,事故前年の収入は平均賃金以下であるが,危険物取扱者の資格を取っていることなどから,賃金センサス男性学歴計全年齢平均を基礎とした。
・ タクシー乗務員,68歳,10級につき,会社の就業規則では定年後65歳まで再雇用とされているが,満71歳の乗務員も在籍していることなどから,基礎収入を70歳までは事故時収入,その後は賃金センサス男性高卒70歳以上平均とした。
・ 使用期間中の事故により休業し,復職できないまま退職したトラック運転手,14級9号につき,事故に遭わなければ使用期間後正式採用される蓋然性があったとして,求人票の基本給や賞与の平均値等より算出した額を基礎とした。

 

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 就業後間もない方や会社の事情等で給与が減額されていたなど,被害に遭われた方の収入状況は1人1人異なりますので,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

【コラム】:11月は横断中の歩行者死者が年間最多

2021-10-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成28年から令和2年までの5年間の月別の横断中の死者数は,11月が最多となっています。また,死者の74.2%は高齢者となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinntoR3.11gatu.pdf

 日没前後は,辺りがだんだん暗くなり,視認性が悪い時間帯です。夕方の5時~7時は交通死亡事故が発生しやすい魔の時間とされていますが,11月の点灯時刻の目安はそれよりも早い午後4時となっています。ヘッドライトを早めに点灯し,前車がいない場合はハイビームを活用するなど,視認性を確保することが大切です。

 また,歩行者の方も,ドライバーの方から発見されやすいように,明るい服装を心がけたり,反射材を活用しましょう。夜間に車から歩行者が見える距離は,黒っぽい服装で約26メートル,明るい服装で約38メートル,反射材着用で57メートル以上になります。時速60キロメートルで急ブレーキをかけたときの停止距離は約44メートルといわれていますので,反射材を身につけることで交通事故に遭う可能性を減らすことができます。反射材は服につけるだけでなく,カバンや靴,傘,リストバンドなど,様々な種類がありますので,取り入れやすい物を選んで,活用していただくことができます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/topics/hannshazainoshoukai.html

 歩行者と四輪車・単車との事故の過失割合は,歩行者が信号を遵守して横断歩道を横断いる場合,信号機の設置されていない横断歩道を横断している場合は,歩行者に過失はありません。しかしながら,黄信号で横断を開始した場合や,横断歩道以外の場所を横断している場合には,当然,歩行者にも過失が発生します。
 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながり,賠償額が高額となることが多くあります。賠償額が高額となると,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,相手方も過失を主張し,争いになることが少なくありません。

 近年は,自動車側にドライブレコーダーが設置されていることも多くなっていますが,警察や保険会社へのドライブレコーダーの提出は任意となっているため,運転手に不利な状況が録画されている場合は,提出しない人もいます(裁判になれば,裁判所命令で提出義務が生じます)。
 ドライブレコーダーがなく,目撃者もいないと,適正な過失割合で事故の解決をするためには,裁判せざるを得ない場合もあります。裁判となると,専門的知識と経験のある交通事故に強い弁護士に相談することが大切になります。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は、保険会社から相手方:依頼者=0:100と提示されたにも関わらず,依頼者の言い分を根拠付ける資料を分析して主張することで,裁判において,相手方:依頼者=100:0と全面勝訴した事例もあります。過失割合にお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(1)

2021-10-15

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(1)
 逸失利益とは,交通事故に遭わなければ得られるはずであった収入など,交通事故によって失われた利益のことです。
 後遺症が後遺症が認定された場合,労働能力が低下して収入が減少するであろうと考えられ,以下の計算式で算定した逸失利益が請求できます。逸失利益の算定は,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮して行います。

<後遺症逸失利益の計算式>
 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間によるライプニッツ係数

(1)基礎収入
逸失利益算定の基礎となる収入は,原則として事故前の現実収入ですが,将来,現実収入額以上の収入を得られる立証があれば,その金額を基礎収入とします。
なお,現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても,将来,平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば,賃金センサスの平均賃金を基礎収入とすることができます。
家事従事者の方は,賃金センサスの女子全年齢平均賃金(令和元年の統計で388万0100円)で算定します。
(2)労働能力喪失率
   後遺症の等級に応じた労働能力喪失率が定められており,これが基準となります。もっとも,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断しますので,等級以上に労働能力が喪失されている場合は,その基準以上に認定されることがあります。
(3)労働能力喪失期間
① 労働能力喪失期間の始期は,症状固定日です。未就労者の就労の始期は原則18歳としますが,大学卒業を前提とする場合は大学卒業時とします。
② 労働能力喪失期間の終期は,原則として67歳です。症状固定時の年齢が67歳をこえる人は,原則として簡易生命表の平均余命の1/2を労働能力喪失期間とします。また,症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の1/2より短くなる人の労働能力喪失期間は,原則として平均余命の1/2とします。
ただし,労働能力喪失期間の終期は,職種,地位,健康状態,能力等により原則と異なる場合があります。
また,事案によっては,期間に応じた喪失率の逓減を認めることもあります。
③ むち打ち症の場合は,12級で10年程度,14級で5年程度に制限する例が多いですが,後遺障害の具体的症状に応じて判断されます。
(4)中間利息控除
労働能力喪失期間の中間利息の控除は,ライプニッツ式を採用しています。
中間利息控除の基準時は,症状固定時とする事例が多いですが,事故時とする裁判例もみられます。
なお,中間利息は,以前は年5%の割合で控除するとされていましたが,現行民法では,控除される利息を損害賠償請求権が生じた時点における法定利率によるとされています。
そのため,令和2年4月1日以降に発生する交通事故の損害賠償請求について,中間利息控除に用いる利率は年5%ではなく年3%となります。
(5)生活費控除の可否
後遺症逸失利益の場合は,死亡逸失利益の場合と異なり,原則,生活費を控除しません。
(6)計算例
※令和2年4月1日以降に発生した事故を想定し,利率は年3%とします。
① 有職者または就労可能者
症状固定時の年齢が50歳で,年収500万円の会社員男性が,後遺症により労働能力が35%低下した場合。
500万円×35/100×13.1661=2340万40675円
  ② 18歳未満の未就労者
10歳の男の子が,後遺症により労働能力が35%低下した場合。症状固定時の賃金センサスの平均賃金は550万円と仮定します。
550万円×35/100×20.1312=3875万2560円

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その1 休業損害(7)

2021-10-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その1 休業損害
4.その他
(1)将来の休業に伴う損害
症状固定時38歳の被害者につき,50歳以上で疼痛がさらに増強したときは人工関節置換術を行う必要があり,同手術により発生すると考えられる損害についても予め請求する必要があるとして,現在の収入を基礎に,通院予定期間6ヶ月分の休業損害を認めた。
(2)事故とは相当因果関係のない原因で症状固定前に死亡した事例
事故の6ヶ月半後に事故とは相当因果関係のない喀血による窒息が原因で死亡した場合に,事故時点において被害者は健康であり,その死亡が近い将来において客観的に予測されていたなどの特段の事情がないとして,事故による骨折の治癒が予測される期間,賃金センサスを基礎に,休業損害を認めた。
(3)間接被害者に関する事例
ア 役員等が受傷した場合の損害
・ 会社役員が傷害を受け,不就労の間も会社が役員報酬を支払った場合に,支払った報酬のうち労務対価部分につき,不就労の割合に応じた分を会社の損害として認めた。
・ 受傷した代表取締役が全額出資して設立し,受傷者本人と取締役であるその妻以外に実際に業務に従事している者がいない空調設備会社につき,受傷者本人が医師から現場作業を禁止された事故後約3ヶ月の間に会社が支出した現場作業の外注費を会社の損害として認めた。
・ 代表者が受傷した航空測量会社につき,事故前年は赤字であるが,技術者が代表者1名,従業員は2名で,航空測量には技術者が必要で技術者抜きでは営業も成り立たないとして,事故による現実の売上の減少があることなどから,代表者の役員報酬減額分の休業損害と別に,会社の休業損害を認めた。
・ 中古住宅をリフォームして販売する会社を一人で営む代表者につき,会社の機関として代替性がなく,会社と経済的に一体をなす関係にあるとして,代表者が事故後約3ヶ月間業務に従事できなかった間に,会社が他の会社に外注し支出した工事費用を会社の損害と認めた。
イ 受傷した被害者の近親者の損害
・ 事故により受傷した被害者の父母につき,その経営する浴場を休業した場合に,確定申告の年収をもとに休業損害を認めた。
・ 事故により死亡した被害者の娘(ツアーコンダクター)につき,英語学校役員に同行して東南アジアの現地関係者を紹介し学校開設交渉を整える等の業務を含む1年間の学校開設援助業務の依頼を受けていたところ,出発予定日の3日前に母が死亡して役員に同行できず契約されたことを事故による損害と認めた。しかしながら,業務が1年間遂行されることがほぼ確実であるとまではいえず,業務計画の頓挫には娘の個人的な体調不良の影響もるということで,半額を損害とした。
・ 事故により死亡した被害者の次女(ジャーナリスト)につき,葬儀等から雑誌記事の休筆や執筆者を後退せざるを得なかった場合に,次女が経営する会社の減収分もその実質は次女個人の損害として評価し得るとし,事故直後の期間(1,2週間)に限って事故と相当因果関係があるとした。
・ 居眠り運転の車両が集団登校中の小学生らに衝突した事例につき,歩合制給与の引越業の会社に勤務していた父親の減収分について,捜査機関の取り調べや刑事裁判への出席は必要であるとして,減収が休業によるものか仕事の減少による出来高低下のためかは明らかではないものの,事故前年からの減収額の8割を認めた。
・ 両親経営の料理店で看板娘として手伝いをしていた女児の死亡事故後,約3.7ヶ月店を休業した両親につき,火災整理のため休業したことがあるから,その全てを事故と相当因果関係があるとは認められないが,両親の悲しみは深く,相応の期間の休業はやむを得なかったとして,死亡日から翌日末まで1.2ヶ月分の固定経費分と店舗の休業補償分を損害と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,近親者の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その1 休業損害(6)

2021-10-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その1 休業損害
3.無職者
(2)学生,生徒等
原則として認められませんが,アルバイト等,収入があれば認められます。
また,就職遅れによる損害は,裁判では多く認められています。基礎収入は,就職が内定している場合はその就職先での給与額,内定していない場合は賃金センサスを用いて算出されます。

・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ卒業後に就労したと認められるとして,症状固定まで就労不可能であったとして,賃金センサス高卒年齢別平均を基礎に,年度ごとに休業損害を算定した。なお,症状固定日までの間に結婚しているが,家事労働を含めて算定している。
・ 短大生につき,事故後就職活動が行えなかったことなどから1年間の就職の遅れが生じた場合に,賃金センサス女性短大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 大学生につき,事故により留年し1年半就職遅れが生じた場合に,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,就職遅れの期間分認められた。
・ 大学浪人生につき,事故の翌年大学に入学した場合に,事故がなければ事故の年に入学していたものと認められるとして,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 着付けの免許をとるため専門学校へ通いながら店員アルバイトをしていた被害者につき,事故がなければ免許を取れたと認められるが,他方アルバイトの収入が月額7万円であったことから,賃金センサス女性年齢別平均の8割を基礎に29ヶ月分認めた。
・ 就職が内定していた修士課程後期在学生につき,事故により就職内定が取り消され,症状固定まで就業できなかった場合に,就職予定日から症状固定まで2年6ヶ月余の間,就職内定先からの回答による給与推定額を基礎に認めた。
・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ大学に入学・卒業していた蓋然性が高いとし,賃金センサス女性大卒20歳から24歳平均を基礎に,大学卒業年の4月1日から症状固定までを認めた。
・ 大学生につき,大学3年生になったばかりの時期で就職活動のために直ちにバイトを自粛しなければならない状況にはなかった等として,事故前日までの102日間の実収入を基礎に,症状固定まで認めた。
・ 専門学校生につき,事故がなければ翌々年4月から就労開始予定時から症状固定まで約40月分を認めた。
・ 高校生につき,事故当時のアルバイト収入及び事故後進学した大学の同級生のアルバイト収入を参考に,月額6万2000円を基礎に,症状固定まで認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,学生のアルバイト収入や,事故により就職が遅れた場合の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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