【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(23)

2023-09-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その3 死亡による逸失利益
3.生活費控除率
(3)年金部分
・ 主婦(70歳)につき,家事労働分は賃金センサス女性学歴計70歳以上平均を基礎に生活費控除率を30%,年金収入分は,年金が生活保障を目的としていることに鑑み生活費控除率を40%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・68歳)につき,持ち家で家賃が不要であったこと,年金等による家計収入よりも相当程度少額の生活費で賄っていたことがうかがわれるとして,生活費控除率を40%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・87歳)につき,年金432万円余を基礎として,年金収入額及び妻と二人暮らしであったこと等に照らし,平均余命までの5年間,生活費控除率を40%とした。
・ 年金を受給し長男夫婦と同居する女性(68歳)につき,家事労働については,平均余命の2分の1(10年間),賃金センサス女性学歴計65歳以上平均の50%を基礎に生活費控除率30%,年金については平均余命の20年間,生活費控除率を50%とした。
・ 妻と二人暮らしの年金受給者(男・79歳)につき,年金360万円余を基礎として,妻も年金を受給し,持ち家で家賃負担もないことから生活費控除率を50%とした。
・ 女性(80歳)につき,厚生年金174万円余を基礎に,生活費控除率を50%として11年間認めた。
・ 夫が経営に関与している会社3社で稼働する主婦(63歳)につき,就労可能な67歳までは会社給与所得が得られたであろうとして年金に関する生活費控除率を30%とし,68歳以降は会社での収入は得られなくなり,主婦業のみとなること,他方,死亡時には収入のある夫や息子2名と同居していたことなどから生活費控除率を50%とした。
・ 主婦(80歳)につき,共済年金と通算老齢年金との年額合計335万円余は生活費控除率を5割で9年間認め,簡易生命保険契約に基づく年金年額24万円余は生活費控除せずに9年間認めた。
・ 年金受給者(男78歳)につき,年金230万円余を基礎として,年金により生計を維持していたことや年金金額等を考慮して,生活費控除率を50%とした。
・ 会社員(49歳)につき,稼働収入分のほか,厚生年金保険法に基づく障害厚生年金及び国民年金法に基づく障害基礎年金から加給分を控除した167万円余を基礎とし,49歳から67歳までは生活費控除率50%,67歳から80歳までは60%とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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