【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(44)

2022-11-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(44)
12.上肢・下肢・及び手指・足指の障害
  上肢の後遺障害は,①欠損障害として1~5級,②機能障害として1~12級,③変形障害として7~12級があります。
下肢の後遺障害には,①欠損障害として1~7級,②機能障害として1~12級,③変形障害として7~12級,④短縮障害として8~13級があります。一般的には,受傷した方の脚が他方の脚より短くなりますが,年少者などにおいては逆に健全な脚より長くなる過成長になることもあります。その場合も短縮障害に準じる障害として扱われます。
手指の後遺障害は,①欠損障害として3~14級,②機能障害として4~14級があります。
足指の後遺障害は,①欠損障害として5級~13級,②機能障害として7級~14級があります。
機能障害の原因は器質的損傷(骨折後の癒合,関節拘縮,神経の損傷)であることを証明する必要があり,疼痛による可動域制限(痛いから曲げられない)では,神経症状と認定され,低い等級(12,14級)に認定されやすいです。

(1)認定例
 ・ 被害者(事故時9歳,固定時18歳)の左大腿骨変形癒合12級,左下肢瘢痕14級の併合12級につき,足に負担が掛かると考えられる美容師として稼働をしていること等に照らし,67歳まで14%の労働能力喪失を認めた。
 ・ 会社員(固定時28歳)の左膝痛等の症状を伴う左腓骨変形障害12級につき,足に大きな負担がかかる仕事を担当しており,受傷後の足の痛みや足関節の可動域の定価等の症状は,その仕事内容に具体的な影響を及ぼすものとして,67歳まで14%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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