【コラム】:過失割合について(四輪車同士の事故 6.同一方向に進行する車両同士の事故(2))

2019-03-25

交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。

 

6.同一方向に進行する車両同士の事故
(2)進路変更車と後続直進車との事故【153】
      車両は,みだりにその進路を変更してはならず,また,車両は,進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させるおそれがあるときは,進路を変更してはならないとされています。
      進路変更車と後続直進車との事故は,事故当時の道路状況や車線変更の原因,方法等によって過失相殺率が大幅に異なってきます。【153】は,あらかじめ前方にある車両が適法に進路変更を行ったが,後方から直進してきた他の車両の進路と重なり,両車両が接触したという通常の態様の事故を想定しています。隣の車線の前方を走行していた他の車両を追い抜いた直後に進路を変えて当該車両の進路前方に出たところ衝突した場合,進路変更の車線における前車との車間距離が十分ではなく,車線を変更した後,前車への追突を避けるためにあわてて車線変更したところ衝突した場合などは本基準の対象外です。
      【153】が想定している態様の事故は,双方の速度に差のあることが前提となっています。すなわち,後続直進車の速度が進路変更車より高速であるか,進路変更時に進路変更車が減速するか,又は後続直進車が加速中であるかのいずれかです。このような進路変更は,通常,後続直進車の速度又は方向を急に変更させることとなるから,基本的には後続直進車に有利に考えるべきですが,後続直進車としても,進路変更車があらかじめ前方にいるのであるから,その合図等により,進路変更を察知して適宜,減速等の措置を講ずることにより衝突を回避することは,前車が進路変更と同時に急制動をかけたような場合でもない限り,一般にさほど困難ではありません。
      したがって,【153】は,進路変更車が進路変更に当たって,道路交通法53条1項,2項,道路交通法施行令21条に定める合図を履行したこと,及び後続直進車に軽度の前方不注視があったことを前提としています。

 

 

 

 

     後続直進車:30 進路変更車:70
        進路変更を開始するか否かを判断するに当たって,後続直進車の速度違反があれば,適切な判断を期待できないことから,後続直進車の時速15km以上の速度違反は,修正要素となります。

   
愛知県内での交通死亡者数は,2003年から16年連続全国ワーストとなっています。
特に,高齢者の交通死亡事故が増加しており,約55%となっています。

死亡事故や重篤な後遺障害が残る事故の場合は賠償額が大きくなりますので,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。

しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,高齢者の交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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