【コラム】:積極損害 4.雑費

2021-05-07

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

4.雑費
(1)入院雑費
   入院中におむつ代やテレビカードを購入した場合,入院雑費が支払われます。
   領収書があれば1日あたり1500円程度,領収書がなくても1日あたり1100円は請求できます。
   入院雑費に含まれるものは,①日用雑貨費(寝具、衣類、洗面具、食器等購入費等)、②栄養補給費(栄養剤等),③通信費(電話代,切手代等),④文化費(新聞雑誌代,ラジオ,テレビ賃料等),⑤家族交通費等です。
   なお,家族交通費については,付添の必要性が認められる場合には,上記入院雑費とは別項目で実費を請求することができます。
(2)将来の雑費
   遷延性意識障害(植物状態)など,重度後遺症の場合,症状固定後であっても,おむつ代など雑費として,平均余命まで,月あたり5万円程度が請求できます。
   保険会社からは,付添費(介護費)と同様,遷延性意識障害の被害者は平均余命までの生存可能性は少なく短期間で算定すべきと反論されることが多いですが,最近の裁判例は平均余命まで認めることが多数です。
   将来の雑費に含まれるものは,健康な人の日常生活でも必要とされる費用に含まれないもので、かつ、将来にわたって支出する可能性の高いものです。たとえば,紙おむつ代などは認められる可能性が高いですが,食費や日用品の購入費は将来雑費とは認められません。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。入院が長期になる場合,将来に渡って介護が必要になる場合は,雑費の金額が高額となりますので,適正な雑費を請求することが大切です。
 しまかぜ法律事務所では,様々な交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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