【コラム】:消極損害その3 死亡逸失利益(19)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その3 死亡による逸失利益
2.基礎収入
(2)年金収入・恩給収入
③ 年金収入・恩給収入につき逸失利益を否定した事例
・ 障害年金の加給分につき,拠出された保険料とのけん連関係があるものとはいえず,社会保障的正確の強い給付であり,子の婚姻など,本人の意思により決定し得る事由により加算の終了することが予定されていて,基本となる障害年金自体と同じ程度にその存続が確実なものということもできないとして,逸失利益性を否定した。
・ 遺族厚生年金及び市議会議員共済会の遺族年金について,受給権者自身の生計の維持を目的とした給付であることなどを理由として逸失利益性を否定した。
・ 軍人恩給の扶助料について,受給権者自身の生計の維持を目的とした給付であることなどを理由として逸失利益性を否定した。
・ 戦傷病者戦没者遺族等救護法に基づく遺族年金及び国民年金法に基づく老齢福祉年金について,いずれも無拠出制の年金であるなど受給者の生存中の生計の維持を目的とするものであるとして逸失利益性を否定した。
・ 都道府県及び政令指定都市が条例に基づいて実施する心身障害者扶養共済制度(保護者が死亡し又は重度障害となった場合に心身障害者に年金を支給する制度)により被害者が受給していた年金について,その制度趣旨や社会保障的正確の強いものであること,年金受給権が受給権者の死亡に寄り消滅するとされていること等から,死亡逸失利益の対象とならないとした。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に死亡逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
保険会社から提示される金額は上記算定方法の金額を大きく下回りますので,適正な死亡逸失利益での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。