【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(33)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その2 後遺症による逸失利益(33)
8.神経系統の機能又は精神の障害
(7)局部の神経症状
② 自賠責保険より高い等級や喪失率が認定された事例
・ 下請縫製業者(固定時64歳)の頸部痛及び腰痛(12級10級)につき,振動の強い業務用ミシンの使用不可能を理由として,7年間50%の労働能力喪失を認めた。
・ ピアノ講師(固定時33歳)の頸椎捻挫,頸椎不安定症,右上肢のしびれ(14級10号)につき,事故と尺骨神経麻痺との因果関係を認め,後遺障害の部位,程度,等級,職業,性別,年齢等を勘案して,34年間10%の労働能力喪失を認めた。
・ 宮大工(固定時54歳,自賠責は左膝疼痛14級10号)につき,両手のしびれ,頭痛及び腰痛等は他覚的所見が明らかでないものの,左下肢に神経症状が残存し歩行が困難であるから,全体として9級10号に該当するとして,13年間35%の労働能力喪失を認めた。
・ 会社員(固定時33歳,自賠責は座骨神経痛等14級10号)につき,腰部,臀部,大腿部付近の神経症状を12級12号,頚部痛を14級10号と認定した上で,これらは身体の離れた異なる部位の神経症状が併存して競合しており,12級12号の後遺障害が一つだけ残存する事例とは異なり稼働能力が著しく制約される可能性が高いとして,12年間20%の労働能力喪失を認めた。
・ 鍼灸大学生(固定時25歳,自賠責は右前腕及び手関節の疼痛14級10号)につき,鍼灸師には筋力低下や可動域の制限が影響するとし,疼痛及び可動域制限を12級相当として,42年間14%の労働能力喪失を認めた。
・ 看護師(固定時38歳)の右臀部から下肢にかけての冷感・疼痛等座骨神経症状(12級)につき,事故後5年間(症状固定後も含む)にわたり400回超の神経ブロックによる治療を行っていること等から,28年間20%の労働能力喪失を認めた。
・ 眼科医(固定時33歳)の頚部痛・後頭部痛・眼精疲労・左手の振戦(14級10号)につき,左手の振戦のため手術ができなくなり研究職に転向せざるをえず,従前のアルバイト収入が得られなくなったことから,10年間12%の労働能力喪失を認めた。
・ 画家(固定時61歳)の右手指の神経症状(12級12号),右肩関節痛等(14級)の併合12級につき,画家としての能力を喪失していると認められ,年齢,経歴,後遺障害の程度を考えるt被害者が就くことができる職業もかなり限られるとして,9年間50%の労働能力喪失を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
むち打ちや末梢神経障害では,後遺症が認定されないと思われている方も少なくないと思いますが,まったく違います。むち打ちや末梢神経障害であっても,12級または14級に認定されることはあります。特に,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,むち打ち案件で後遺症の申請(被害者請求)をした場合,大半が14級以上を獲得しています。
適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。