【コラム】:積極損害 6.学生・生徒・幼児等の学習費,保育費,通学付添費
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
6.学生・生徒・幼児等の学習費,保育費,通学付添費
被害者の被害の程度,内容,子供の年齢,家庭の状況などに照らし合わせ,必要性があれば,妥当な範囲で認められます。
認定してもらうには,被害者側で立証する必要があります。入院の場合は,学校に通うことが物理的にできませんので,因果関係が認められやすいです。
ただし,事故以前から学業不良である,出席日数が足りないなどの事情がある場合には,交通事故に遭ったことと留年したこととの相当因果関係が認められないこともあります。
(1)進級遅れの場合の授業料や補習費
交通事故によって入・通院し,学校を休んだために勉強が遅れ,その遅れを取り戻すために補習を受けた場合の補習費が認められます。
(2)家庭教師,塾の費用等
交通事故によって学習の遅れが生じ,学習の遅れを取り戻す目的で家庭教師や通塾の必要性があれば,認められます。
(3)受傷等によって無駄になった支払い済み教育費(授業料),通学定期代等
学校だけでなく,自動車教習所の費用や資格専門学校の授業料等が認められた裁判例もあります。
(4)保育料
被害者の付添看護のため,他の子供の面倒を見ることが困難な場合,保育所の利用料が認められる場合があります。
(5)通学付添費等
車椅子の利用や,全身の痛みのため一人で通学できない場合,親の付添費が認められる場合があります。
(6)通学のため賃借したマンションの賃料等
受傷により自宅からの通学が困難となった大学生について,大学の近くに借りたマンションの賃料が認められた裁判例があります。
(7)家族の監護料等
家族の介護をしていた被害者について,受傷のため自ら介護を行うことができなくなった場合,施設の利用料が認められた裁判例があります。
また,主婦が入院したため,子の養育,看護を被害者の両親に依頼した場合,監護料が認められる場合があります。休業損害と重なる面がある場合は,調整されることがあります。
(8)復学のために要した費用
復学について大学と話し合いをするために要した交通費が認められた裁判例があります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。学生・生徒・幼児等の学習費,保育費,通学付添費の場合,請求できる内容は事案ごとに違ってきますので,詳しくお話をお伺いし,適正な金額を支払ってもらえるよう,必要な書類を揃えていきます。
しまかぜ法律事務所では,学習費,保育費,通学付添費を請求した交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。