Archive for the ‘コラム’ Category
【コラム】:18歳,男性,大学生に後遺障害14級9号が認定された場合
18歳,男性,大学生が交通事故により後遺障害14級9号が認定された場合,後遺症の慰謝料と逸失利益の賠償額ついて,説明させていただきます。
後遺症慰謝料は,14級9号の場合,110万円です。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定します。
事故当時アルバイト収入が年間100万円あった場合,学生時のアルバイトと卒業後に大きく分けて算定を行います。
Ⅰ学生時のアルバイト
①基礎収入
100万円です。
②労働能力喪失率
後遺障害14級9号は,5/100です。
③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数
学生時の4年間です。それに応じたライプニッツ係数は,3.5460です。
以上より,学生時のアルバイトの逸失利益は,①100万円×②0.05×3.5460=17万7300円です。
Ⅱ卒業後
①基礎収入
逸失利益は,将来における収入減をみなしで請求するため,基礎収入は,将来可能性のある収入額を基準とします。
後遺障害14級9号は,労働能力喪失期間を5年間と制限して認定することが多いため,卒業後に会社員となっても,その基礎収入は,大卒・全年齢の平均賃金とするのではなく,大卒・22~24歳の平均賃金とするのが通常です。
男性・大卒・22~24歳の賃金センサスである321万4500円(平成26年賃金センサス)が基礎収入です。
②労働能力喪失率
後遺障害14級9号は,5/100です。
③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数
後遺障害14級9号の労働能力喪失期間は5年間であるため,終期は23歳です(18歳+5年間)。卒業後の始期は22歳です。学生時4年間を考慮してライプニッツ係数を算定する必要があります。
23歳-18歳=5年間のライプニッツ係数 4.3295
22歳-18歳=4年間のライプニッツ英数 3.5460
卒業後のライプニッツ係数 4.3295-3.5460=0.7835
以上より,卒業後の逸失利益は,①321万4500円×②0.05×③0.7835=12万5928円です。
後遺症が認定された場合,後遺症慰謝料と逸失利益が請求できますが,その金額は高額となります。高額となるがために,保険会社は低く抑えた賠償額を提示してきます。
適正な後遺症慰謝料と逸失利益を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について (神経症状)
労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について,説明を連載させていただいていますが,第4回は,むち打ちによる神経症状です。
原則として,就労可能年数の始期は18歳,終期は67歳として,労働能力喪失期間を算定します。
しかし,むち打ちが原因で,首や腰の痛み,手や足のシビレが残存したような神経症状で後遺症が認定された場合は,それほど長期にわたって回復が困難とは言えないとして,多くの裁判例では,12級13号は10年間,14級9号は5年間として労働能力喪失期間を制限して認定しています。
保険会社は,上記以上に労働能力喪失期間を制限して主張してきます。例えば,12級13号は7年間,14級9号は3年間と主張してきます。
しまかぜ法律事務所では,主治医に対して,労働能力喪失期間の医療照会を行うなどして,交渉に有利な証拠収集を行います。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について (高齢者)
労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について,被害者の属性に応じて説明を連載させていただいていますが,第3回は,高齢者です。
原則として,就労可能年数の始期は18歳,終期は67歳です。67歳を超える高齢者はどのように労働能力喪失期間を算定するのでしょうか。
67歳を超える高齢者の労働能力喪失期間は,簡易生命表の平均余命の2分1とします。
簡易生命表は,「交通事故で後遺症を負った方へ」 をご覧ください。
また,症状固定日から67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者についても,平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
例えば,症状固定日において72歳の女性・高齢者に後遺症が残った場合のライプニッツ係数は,以下のとおり算出します。
簡易生命表(平成26年)女性・72歳の平均余命は18.10です。
したがって,労働能力喪失期間は9年間,これに応じたライプニッツ係数は,7.1078です。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について (若年者)
労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について,被害者の属性に応じて説明を連載させていただいていますが,第2回は,若年者です。
原則として,就労可能年数の始期は18歳,終期は67歳です。18歳未満の若年者の場合は,18歳になるまでを考慮して労働能力喪失期間によるライプニッツ係数を算出する必要があります。
例えば,症状固定日において12歳の若年者に後遺症が残った場合のライプニッツ係数は,以下のとおり算出します。
67歳-12歳=55年間のライプニッツ係数 18.6335
18歳-12歳=6年間のライプニッツ係数 5.0757
12歳被害者の労働能力喪失期間によるライプニッツ係数 18.6335-5.0757=13.5578
なお,大学卒業を前提とする被害者の始期は18歳ではなく,大学卒業予定である22歳となります。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の労働能力喪失期間によるライプニッツ係数について
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,③労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数について説明させていただきます。
労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第1回は,原則としての労働能力喪失期間によるライプニッツ係数です。
被害者が,若年者でも高齢者でもない場合,原則として,労働能力喪失期間は67歳までの期間です。
ライプニッツ係数は「交通事故で後遺症を負った方へ 」をご覧ください。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の労働能力喪失率について
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,②労働能力喪失率について説明させていただきます。
自賠責では,後遺症等級に応じた労働能力喪失率が定められており,これが基準となります。
※詳細は「交通事故で後遺症を負った方へ」をご覧ください。
もっとも,等級以上に労働能力が喪失されている場合は,その基準以上に認定されることがあります。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(無職者・失業者の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第6回は,無職者(失業者)の基礎収入です。
無職者(失業者)の基礎収入で問題になることが多いのは, 算定方法です。
無職者(失業者)の基礎収入は,失業前の収入を基準に算定します。
これまで就職したことがない場合や,失業前の収入が低額である場合は,賃金センサスによる平均賃金を基準に算定します。
なお,逸失利益(将来の休業損害)と比較するものとして,休業損害があります。
休業損害は現実に収入減があったことに対する損害ですので,無職者(失業者)の場合,原則として,休業損害は請求できません。
一方で,逸失利益は,将来における収入減をみなしで請求するため,無職者(失業者)であっても,逸失利益は請求可能です。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となりますが,保険会社は,無職者(失業者)の逸失利益を簡単には認めません。
無職者(失業者)の逸失利益でお困りの方は,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(学生・年少者の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第5回は,学生・年少者の基礎収入です。
学生・年少者の基礎収入で問題になることが多いのは, 算定方法です。
学生・年少者の基礎収入は, 男子であれば,男計・学歴計・年齢計の平均賃金を参考にし,平成26年賃金センサスでは,536万0400円です。女子 であれば,男女計・学歴計・年齢計の平均賃金を参考にし,平成26年賃金センサスでは,479万6800円です。
女子の場合は,男女計の平均賃金ではなく,女性のみの平均賃金とする裁判例もありますが,収入の男女差が小さくなっている傾向から,被害者が就労を開始する数年後には,現在より更に男女差が小さくなっている可能性が高いとして,男女計の平均賃金を基準にする裁判例は非常に多くみられます。
学生・年少者の場合,学歴計の平均賃金で算定することが多いですが,大学進学が確実である場合,大卒の平均賃金で請求します。また,親が開業医で医院を引き継ぐ予定など特定の職種になる可能性が高い場合は,特定の職種の平均賃金を基準にします。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(家事従事者が主夫や世帯の妻以外の場合)
家事従事者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,②主夫や,世帯の妻以外の算定方法について,説明させていただきます。
妻が仕事をしていたり,病気だったりと,夫や子が家事をすることも少なくありません。この場合,主夫や子は,家事従事者として逸失利益を請求できます。
主夫や子が,世帯の家事労働に従事していることを証明する必要があります。
妻が仕事をしていること(給与明細,タイムカードなど),妻が病気であること(診断書など),夫や子が仕事をしていない又は就労時間が短いこと(課税証明書,給与明細,タイムカードなど)を示すことで証明を行います。
主夫や子が家事従事者である場合も,家事従事者の算定方法でも説明したとおり,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を基準に算定します。平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。
主夫や世帯の妻以外が家事従事者である場合,保険会社が請求を拒絶することも少なくありません。
しまかぜ法律事務所では,適正な証明方法を依頼者ごとにアドバイスし,家事従事者としての逸失利益を交渉します。
家事従事者としての逸失利益でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(家事従事者の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第4回は,家事従事者(主婦)の基礎収入です。
家事従事者(主婦)の基礎収入で問題になることが多いのは, ①算定方法,②主夫や,世帯の妻以外の算定方法です。
まずは,①算定方法について説明させていただきます。
家事従事者の基礎収入は,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を参考にします。平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。
家事をしながら仕事をしている方も多いと思いますが,ほとんどの裁判例では,仕事での賃金額を加算せずに,家事従事者の年収である364万1200円(平成26年賃金センサス)として認定します。
これは,主婦業は24時間労働であり,その主婦業全体の経済的価値を家事従事者の年収で評価したのであるから,その一部の時間を利用して仕事をしたとしても,それは主婦業の一部が仕事に転化したに過ぎないという理由です。
仕事の年収が,家事従事者の年収を超える場合は,仕事の年収で算定します。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。