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【コラム】:慰謝料(35)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
① 労働能力喪失が認められないとされた事例
ア 外貌醜状等
(オ)自賠責法上の後遺障害に至らないか該当しない事例
・ 会社員(固定時20歳)につき,自賠責基準に達しない顔面の線状痕を残し逸失利益を請求しなかったが,傷害分130万円とは別途,慰謝料200万円を認めた。
・ 看護専門学校生(事故時29歳,歯牙障害14級)につき,顔面の線状痕2か所はいずれも単独では12級14号の基準には達しないがほぼこれに近い大きさを有し,特に上唇瘢痕拘縮が顔面のほぼ中央部の位置にあることから,逸失利益を請求しなかったが,結婚相手を探す上で全く影響がないとは言い切れないとして200万円を認めた。
・ 太平洋路線航空機内通訳業務に就く契約社員につき,上口唇部の隆起等が残存し,逸失利益を請求しなかったが,傷害慰謝料51万円とは別途,慰謝料100万円を認めた。
・ 被害者(10歳)につき,下肢の手のひらの大きさに至らない醜状痕のため逸失利益は否定されたが,慰謝料150万円を認めた。
・ 女児(事故時5歳)につき,前額部瘢痕(前額部左側に約3cm四方の軽度の隆起と1.7cmの瘢痕,前頭部やや左寄りに幅約0.6cm長さ14.3cmの線状瘢痕)は,逸失利益を請求しなかったが,自賠責12級14号程度とみるには疑問はあるが,年頃になればその存在を気にするであろうこと,頭蓋骨に穴が開き生涯にわたし頭内部に金属板が存在することを考慮し,傷害分150万円,後遺障害分200万円を認めた。
・ 洋服デザイン販売会社経営兼ファッションモデルにつっき,鼻根部の直径1.5cm大の外傷後色素沈着,毛細血管拡張性の症状は後遺障害等級に該当する程度に至らないとして逸失利益を否定したうえで,日常生活や精神面における影響は無視できないこと,モデルという容貌が殊更重視される職業で仕事を受けられなくなり本件事故後廃業したこと,明確には算定できないが逸失利益も否定できないことなどから,傷害分,後遺障害分200万円を認めた。
・ 中学生(固定時15歳,高次脳機能障害9級)につき,67歳まで35%の労働能力喪失を認めたうえで,額の上の生え際から1cmのところに4cmの線状痕の醜状が残ったことも考慮して750万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:秋の全国交通安全運動の実施
令和6年9月21日から同月30日までの10日間,秋の全国交通安全運動が実施されます。
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/530143.pdf
運動重点は,
・反射材用品等の着用推進や安全な横断方法の実践等による歩行者の交通事故防止
・夕暮れ時以降の早めのライト点灯やハイビームの活用促進と飲酒運転等の根絶
・自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底
となっています。
秋になると日没時間が早くなります。ドライバーから歩行者が認識しにくくなりますので,明るい色の服や反射材を付けて,自分の存在をアピールしましょう。一方,ドライバーは,早めにライトを点灯しましょう。
また,自転車,特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボードなど)に乗るときは,自分の命を守るため必ずヘルメットをかぶりましょう。外出先や旅行先などでレンタル利用する際は,ヘルメットを持って行くか,一緒にレンタルすることを忘れないようにしましょう。
歩行者や自転車が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
後遺障害の中で重篤なものとして,頭部を損傷することで生じる,遷延性意識障害や高次脳機能障害があります。
遷延性意識障害とは,意識不明のまま寝たきりになっている状態のことで,一般的に植物状態といわれています。事故前のように,会話をしたり,一緒に食事をしたり,笑顔を交わすことさえもできなくなるため,家族の深い悲しみは想像するに余りあります。
遷延性意識障害になると,常に身守りや介護が必要になりますので,遷延性意識障害の患者が暮らしやすい環境を整えるには,適正な後遺症の等級認定を受け,適正な賠償金を得ることが大切です。
賠償項目としては,治療費,傷害慰謝料(入院慰謝料),付添看護費,後遺症慰謝料,逸失利益の他に,将来の介護費用,近親者の後遺症慰謝料,家屋のリフォーム代が認められます。
高次脳機能障害とは,脳が損傷することで,①記憶障害(覚えられない,思い出せない,すぐに忘れる),②注意障害(気が散りやすい,集中できない),③遂行機能障害(手順良く作業を行うことができない),④人格障害(怒りっぽくなる,疑いやすくなる),⑤コミュニケーション障害が生じることです。
高次脳機能障害は外見上異常がないため,周囲から理解されることが難しく,被害者や家族が精神的にも追い込まれることが少なくありません。
自賠責では,症状に応じて1級~9級が認定され,介護が必要となる1級,2級では,遷延性意識障害と同じように,将来の介護費用や家屋のリフォーム代が認められます。
このように,遷延性意識障害や高次脳機能障害となると,被害者のみならず介護を行う家族の生活が,事故前とでは一変することになります。
特に自転車利用時は,ヘルメットを着用することで,頭部への衝撃を減らすことができますので,ご自身や大切な人を守るため,安全基準を満たす自転車乗車用ヘルメットを着用することが大切です。
弁護士法人しまかぜ法律事務所は,歩行者,自転車の交通死亡事故や遷延性意識障害,高次脳機能障害の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(34)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
① 労働能力喪失が認められないとされた事例
ア 外貌醜状等
(エ)14級の事例
・ 女児(事故時3歳,左足関節部内側の肥厚性瘢痕14級)につき,痒みや痛みがあること,将来の表皮移植手術費用は実施の有無,費用の算出等が確実なものではなく独立の損害項目として認められないこと,後遺障害の部位程度からみて労働能力に影響を与えると認めるのが困難であること等から,逸失利益が否定されることを斟酌し,傷害分60万円,後遺障害分350万円を認めた。
・ 高校3年生(下肢醜状痕14級)につき,慰謝料と弁護士費用のみを請求し,慰謝料400万円を認めた。
・ アルバイト(固定時23歳,頭部外傷後遺症14級,左肩から胸部の醜状痕14級の併合14級)につき,5年間喪失率5%で逸失利益を認めたうえで,20歳代の未婚女性であることを考慮して180万円を認めた。
・ 小学生(6歳,長管骨の変形12級,右下肢醜状14級の併合12級)につき,醜状障害は直ちに労働能力に影響するものではないが,右下腿の変形及び内側骨棘の程度等から14%の労働能力喪失を認めたうえ,将来手術の可能性や右下腿の長さ14cmの瘢痕等5か所の瘢痕による今後の精神的苦痛は軽視できないとして,傷害分220万円,後遺障害分350万円を認めた。
・ 男児(固定時8歳,左足背部の植皮術後の瘢痕14級)につき,醜状痕は労働能力に直接的な影響がないとして逸失利益を否定したが,精神的苦痛による影響が成長過程にある被害者にとって小さくないこと等を考慮し,傷害分105万円のほか,後遺障害分180万円を認めた。
・ 家事従事者(30代,右上肢の瘢痕14級)につき,労働能力への直接的な影響は認め難いものの対人関係や対外的な活動に消極的になる形で間接的に労働能力に影響をおよぼすおそれが認められ,これを慰謝料の加算事由として考慮し(70万円程度増額),後遺障害分180万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(33)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
① 労働能力喪失が認められないとされた事例
ア 外貌醜状等
(ウ)12級の事例(2)
・ 会社員(固定時26歳,左目窩部の4cmの線状痕12級,左膝動揺性12級,左頬のしびれ14級の併合11級)につき,線状痕はその長さの程度に照らし,労働能力に影響を与えないものの,慰謝料で考慮するとして,逸失利益を否定し,傷害分330万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 主婦(固定時70歳,顔面醜状12級)につき,逸失利益を否定したが,日常生活への影響,後遺障害等級に該当しない右肘頭骨折後の手術痕等が残存していることなどから,後遺障害分350万円を認めた。
・ 大学生(固定時22歳,左足関節機能障害8級,左足指第1乃至第5関節の機能障害9級,左下腿開放骨折等に伴う左下腿部及び左大腿部の瘢痕12級の併合6級)につき,左下肢の瘢痕は労働能力に影響を与えないが慰謝料として考慮するとして,労働能力喪失率を56%としたうえで,傷害分220万円のほか,150万円を増額して後遺障害分1330万円を認めた。
・ 男児(事故時7歳,右下腿術後瘢痕13cm,17cm,14cmの3ヵ所の12級相当)につき,将来の労働能力を一部喪失し,収入の減少を来すとまでは認めることができないものの,心理的な影響から就職範囲が限定されるなどして間接的に影響を及ぼす可能性があることを後遺傷害慰謝料で考慮するとして,傷害分296万円余のほか,後遺障害分440万円を認めた。
・ 被害者(固定時17歳,右足趾3本欠損12級,右足背から側面全域の瘢痕12級,左大腿の採皮痕14級の併合11級)につき,労働能力喪失率を14%としたうえで,右足背~側面全域の瘢痕及び左大腿の採皮痕は,将来に測りがたい影響を及ぼすおそれがあることから,傷害分250万円のほか,後遺障害分620万円を認めた。
・ ブラジリアン柔道場経営(事故時48歳,右眉の眉山付近から眉頭及び鼻の上部にかけて長さ3cm以上の線状痕12級,右膝痛等14級の併合12級)につき,外貌醜状の逸失利益を否定したが,線状痕のために道場の会員から顔をじっと見つめられていると何度も感じるなど,日常生じている精神的苦痛は大きいとして,傷害分240万円のほか,後遺障害分350万円を認めた。
・ 女児(事故時11歳,右ふくらはぎの線状瘢痕80mm×5mm,右下腿内側の線状瘢痕70mm,右下腿外側の線状瘢痕70mm,右足関節外踝の線状瘢痕2cm)につき,逸失利益を否定したが,自賠責で下腿の瘢痕が12級相当と認定されていること,生活の様々な場面において今後長期にわたって大きな精神的苦痛をもたらし続けることが容易に想像できること等から,傷害分180万円のほか,後遺障害分420万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(32)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
① 労働能力喪失が認められないとされた事例
ア 外貌醜状等
(イ)9級の事例
・ 会社員(固定時37歳,顔面醜状9級)につき,外貌醜状について逸失利益を認めないことを考慮し,900万円認めた。
・ アルバイト(固定時33歳,顔面醜状9級)につき,外貌醜状による逸失利益を認めないことを考慮し,後遺障害分830万円を認めた。
・ 小学生(事故時7歳,右前額部の線状痕9級)につき,逸失利益は認めなかったが,線状痕の部位及び程度からすれば,髪形の制限を受けること自体が精神的負担となりえ,具体的に労働能力への影響の蓋然性は認められないものの将来選択できる職業に一定程度の制約が生じることが否定できない等として,後遺障害分870万円を認めた。
・ 会社員(固定時22歳,顔面醜状9級,歯牙障害12級の併合8級)につき,後遺障害逸失利益を認めないことを考慮し1030万円認めた。
・ 事故時少なくとも28年以上の社会人経験のあるバス運転手(前頭部に長さ55ミリの線状痕9級)につき,逸失利益を認めないことを考慮して840万円を認めた。
(ウ)12級の事例
・ クラブママ(事故時41歳,顔面醜状12級,頭痛等14級の併合12級)につき,外貌醜状について逸失利益を認めないこと,患部にガラス片が残存していること等から950万円を認めた。
・ 被害者(固定時17歳,骨盤骨変形12級,外貌醜状12級の併合11級)につき,逸失利益は骨盤骨の変形障害による14%喪失としたうえで,550万円を認めた。
・ 接客業も行う会社員(固定時39歳,右下肢の機能障害11級,右下肢の醜状障害12級の併合10級相当)につき,労働能力喪失率を24%としたうえで,逸失利益の算定上必ずしも十分に反映されない醜状障害等から600万円を認めた。
・ 男児(5歳,顔面3箇所の線状痕12級)につき,具体的な線状痕が明らかでなく,将来唇のラインを整える手術をする予定があり,線状痕が改善されることも予想され,将来の労働労力に影響を与えると認めることはできないが,後遺障害の存在及び影響については慰謝料で斟酌するとして,傷害分72万円,後遺障害分440万円を認めた。
・ トラック運転手(固定時45歳,右頬部と右白唇の線状痕及びオトガイ部の瘢痕12級)につき,現時点で具体的な減収はないものの,抽象的な将来の減収の可能性があること,本件事故がいわゆるひき逃げであることなどから,逸失利益は否定したが,後遺障害分600万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(31)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
① 労働能力喪失が認められないとされた事例
ア 外貌醜状等
(ア)7級の事例
・ 専業主婦(30歳,顔面醜状7級)につき,家事能力が本件後遺症によって現実に低下したとは認められないと逸失利益を否定したが,これを斟酌して1200万円を認めた。
・ ホテル勤務(22歳,額全面の点状瘢痕等7級)につき,顔面醜状のためモデルになることを諦めたこと,前額部の醜状痕が肌の調子により浮き出た際,同僚からどうしたのかと聞かれて辛い思いをしていること,左上腕部の瘢痕を気にして半袖等の着用は控えていること,減収がないため逸失利益を認定しないこと等に鑑み,傷害分130万円,後遺障害分1450万円を認めた。
・ 被害者(女・固定時12歳,顔面に4本の線状痕7級)につき,逸失利益を労働能力喪失率25%として認めたうえで,後遺障害の内容・程度,女子の外貌醜状の場合は労働能力喪失が必ずしも逸失利益に反映されないこと等を考慮して,傷害分110万円,後遺障害分1350万円を認めた。
・ 主婦(事故時44歳,顔面醜状7級,左膝関節機能障害8級,左大腿部醜状14級,採骨による骨盤変形12級の併合5級)につき,治療期間約3年の傷害分600万円,顔面醜状は考慮しないで労働能力喪失率を60%としたことから,後遺障害分1700万円を認めた。
・ 症状固定の1年10か月後から看護師として就労した看護専門学校生(固定時28歳,顔面醜状7級,左足関節の可動域制限非該当,左足醜状痕非該当)につき,左足関節可動域制限について症状固定から5年間10%,その後5年間5%の逸失利益を認めたうえで,患者と間近で接しながら仕事することが多く,また手術帽をかぶることにより前額部の線状痕が露出すること,看護師という比較的足に負担のかかる職業に就いていること,左足醜状痕により相当の精神的苦痛を受けていること等から1220万円を認めた。
・ 有職主婦(固定時33歳,高次脳機能障害7級,外貌醜状障害7級,上下肢露出部醜状障害14級の併合5級)につき,歩行中に抱いていた娘は死亡し,自身も高次脳機能障害及び女性にとっては日常生活上,社会生活上大きな制約となる醜状が残ったほか,事故原因が酒気帯び運転による居眠りであるとして,傷害分295万円のほか,労働能力喪失率を60%とした上で,後遺障害分1600万円を認めた。
・ 女学生(事故時19歳,顔面部の線状痕7級,歯牙障害12級の併合6級)につき,コミュニケーション能力に相当な支障が生じており,性別及び年齢等を考慮して,67歳まで労働能力喪失率25%(10級弱)の1945万円余を認めた上,後遺障害慰謝料1189万円を認め,後遺障害の内容,程度,性別及び年齢等を考慮して,更に100万円の慰謝料を加算した。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら
警察庁によると,令和6年上半期の交通事故交通事故死者数は,1182人となっています。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R6kamihanki_bunseki.pdf
全体の55%に当たる650人が65歳以上ですが,75歳以上高齢運転者による死亡事故は減少しています。75歳以上高齢運転者は「操作不適」が多く,ブレーキとアクセルの踏み違いは前年同期比で約2.9倍に増加しています。
状態別では歩行者が445人で4割近くを占め,自動車が399人,二輪車が204人となっています。また,自転車,自動車とも携帯電話等を使用しての「ながら運転」での死亡・重傷事故が増加していますので,運転中のスマートフォンの利用は絶対にやめましょう。
お盆の休暇を利用して,帰省や旅行,海水浴や花火などのレジャーを楽しまれる方が多くいらっしゃると思います。お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。
運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。特に,長時間運転をする予定のある方は,時間に余裕を持った計画を立て,適宜休憩をするなど体調管理を併せた安全行動を取ることが大切です。
また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。
交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。
お怪我をされた場合,お盆期間中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じた方など,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。
また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。
その他,交通量が増えることで,あおり運転の被害に遭う可能性もあります。
令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では,あおり運転を「妨害運転」として新たに規定されました。他の車両等の通行を妨害する目的での車間距離不保持や不必要な急ブレーキなど10類型が妨害運転となり,取り締まりの対象になります。
もし,あおり運転の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,あおり運転の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
車が損傷したり,事故によって怪我をした場合は,損害賠償を請求することができます。
あおり運転の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,あおり運転に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(30)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(1)積極損害の算定が困難または不可能な場合
・ 水道工事現場監督(固定時34歳,右股関節脱臼骨折による右下肢短縮,股関節機能障害等8級)につき,将来股関節の人工関節置換手術が必要であるが,時期・費用が不明で,手術により失われる労働能力の程度も判然としないため損害額を算定することが不可能なので慰謝料で考慮するとし,本来の後遺障害分700万円のほかに800万円の慰謝料を認めた。
・ 板金士(固定時36歳,右脛骨の変形癒合12級,右第4指DIP関節機能障害14級,右前腕回外制限等14級の併合12級)につき,傷害分300万円,後遺障害分270万円のほか,将来の抜釘術に伴う損害は独立の損害項目として認められないが,抜釘術に伴う危険や各種の損害が発生する可能性があるとして,130万円を認めた。
・ 保険会社パート社員(固定時41歳,RSDによる左上肢を中心とした機能障害,疼痛,知覚障害等7級)につき,症状固定後も通院しアロディニアによる疼痛緩和のため手袋を着用する必要があるが,治療行為としての必要性,通院の回数,買換の回数,価格,使用頻度等に不確定的な要素が多いことから慰謝料として斟酌し,障害分120万円,後遺障害分1500万円を認めた。
・ 飲食店アルバイト(固定時23歳)につき,外傷性大動脈損傷の傷害を負い胸部下行大動脈人工血管置換術を受けており,将来,再手術の可能性もあるが,現時点では異常所見や身体の不調が認められず,後遺障害が残ったとは認められないが,合併症を予防するために就労生活及び日常生活に制約を受けている事情,合併症が生じる頻度,合併症が生じた場合の治療方法,事故前後の就労及び収入の状況などを考慮して,慰謝料1000万円を認めた。
・ アルバイト(固定時29歳,右俣関節機能障害12級,右下肢感覚障害12級,併合11級)につき,将来的に大腿骨骨頭壊死等を生じ人工関節手術が必要になる可能性があり,定期的に通院して診察等を受ける必要があるほか,仮に手術が必要になった場合には相応の費用を要するなど不安を抱えての生活を余儀なくされているとし,傷害分200万,後遺障害分520万円を認めた。
(2)休業損害の算定が困難または不可能な場合
・ 照明器具デザイナー(年齢不詳)につき,左膝可動域制限,歩行等各種動作に支障があり,等級非該当ではあるが14級に準じる神経症状が残ったこと,休業損害は認められないがギブス固定や松葉杖を使用しながらの就業に相当の苦労が伴ったであろうこと,テニスをすることができなくなったことなどを考慮し,傷害分102万円,後遺障害分100万円を認めた。
・ 左第一中手骨骨折,骨盤骨折等の傷害を負った理容師につき,症状固定後の休業損害を認め難いものの,症状固定から一定期間左手母指のしびれ等(等級非該当)が仕事の能率に影響し減収につながった可能性は否定できないことを増額理由として,38日入院,通院期間130日(実日数91日)の傷害分165万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:慰謝料(29)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
⑦ 7級の事例
・ 主婦(72歳,左下肢短縮による歩行障害等7級)につき,傷害分300万円のほか,本人分800万円,被害者が生命を害された場合にも比肩しうる面があるとして夫(82歳)100万円,後遺障害分合計900万円を認めた。
・ 会社員(事故時23歳)につき,当初自賠責12級を前提に示談が成立したが,その後けいれんを発症し自賠責7級4号高次脳機能障害の認定を受けた事案につき,当初示談金とは別に傷害分90万円のほか後遺障害分710万円(1000万円のうち290万円は当初示談の効力の範囲内として控除),父母固有の慰謝料として各45万円を認めた。
⑧ 11級の事例
・ 給与所得者(固定時30歳,左鎖骨の変形障害12級,右上腕の疼痛,右橈骨神経領域しびれ等の後遺障害12級,併合11級)につき,傷害分250万円,後遺障害分420万円を認めたほか,夫の死にも比肩し得べき精神的損害を被ったとして妻分100万円を認めた。
(4)後遺障害を負った被害者が死亡した事例
・ 兼業主婦(65歳,高次脳機能障害9級)が,脳損傷に起因する希死念慮を伴ううつ病に罹患して事故と相当因果関係のある自殺をした場合に,傷害慰謝料240万円,後遺障害慰謝料690万円のほか,死亡慰謝料につき,2200万円を認めるのが相当とした上で,2200万円から690万円を控除した1510円について自殺に対する寄与度減額(50%)を行い,755万円を認めた。
・ 会社代表者(固定時65歳,高次脳機能障害等別表第1の1級1号),事故後1か月で肝細胞癌の疑い,事故後4か月で肝転移を伴うステージⅣの胃癌と診断され,事故後9か月(固定後2か月)で肝癌により死亡につき,傷害分280万円のほか,本人分2800万円,妻200万円,子2名各100万円の後遺障害分合計3200万円を認めた。
(5)その他
・ 有職主婦(固定時43歳,左膝関節及び左足関節用廃6級,左足指全廃9級等)につき,併合して5級と評価すると序列を乱すことになるので,6級相当と評価するにとどめつつも,1300万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:7月は飲酒運転による人身事故が年間最多
愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,令和元年から令和5年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,7月は飲酒運転による人身事故が年間最多月となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202407point.pdf
過去5年間の飲酒運転人身事故の発生数が月平均69件のところ,7月は78件と多くなっています。そのうち,死亡事故が6件,重傷事故が3件と,重大な事故につながっていることが分かります。
また,地域別では名古屋が多発しており,時間帯別は夜9時~0時,午前3時~6時が多くなっています。曜日別では金,土,日が多く,7月はレジャーやイベントの開催によって飲酒の機会も増えていることが,飲酒運転をする要因になっていると考えられます。
飲酒後は,安全運転に必要な情報処理能力,注意力,判断力等が著しく低下し,交通事故を引き起こす危険が極めて高くなります。
飲酒運転は,運転している当事者の自損事故だけではなく,他のドライバーや通行人を巻き添えにし,さらに死亡事故や重篤な後遺症が残るような悲惨な事故につながることが多くなります。
死亡事故や重篤な後遺症が残る事故の場合は賠償額が大きくなりますが,飲酒運転の場合はさらに慰謝料の増額が認められる場合もあります。また,飲酒運転の発覚を恐れて,救護活動をせずに加害者が逃亡した場合も,さらに高額の慰謝料が認められる場合があります。
過失割合の面でも,酒気帯び運転は著しい過失,酒酔い運転は重過失となり,原則,著しい過失は10%,重過失は20%修正されます。
賠償額が大きくなればなるほど,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で事故の解決をすることが大切です。
飲酒運転を根絶するためには,運転するなら酒を飲まない,酒を飲んだら運転しない,運転する人に酒をすすめない,酒を飲んだ人に運転させないを徹底しすることが大切です。 なお,自動車だけではなく自転車や電動キックボードも飲酒運転禁止となります。
弁護士法人しまかぜ法律事務所は,飲酒運転の交通事故の解決実績が豊富にありますので,飲酒運転の被害に遭われたら,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。