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【コラム】:慰謝料(29)

2024-07-25

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ⑦ 7級の事例
   ・ 主婦(72歳,左下肢短縮による歩行障害等7級)につき,傷害分300万円のほか,本人分800万円,被害者が生命を害された場合にも比肩しうる面があるとして夫(82歳)100万円,後遺障害分合計900万円を認めた。
・ 会社員(事故時23歳)につき,当初自賠責12級を前提に示談が成立したが,その後けいれんを発症し自賠責7級4号高次脳機能障害の認定を受けた事案につき,当初示談金とは別に傷害分90万円のほか後遺障害分710万円(1000万円のうち290万円は当初示談の効力の範囲内として控除),父母固有の慰謝料として各45万円を認めた。

  ⑧ 11級の事例
   ・ 給与所得者(固定時30歳,左鎖骨の変形障害12級,右上腕の疼痛,右橈骨神経領域しびれ等の後遺障害12級,併合11級)につき,傷害分250万円,後遺障害分420万円を認めたほか,夫の死にも比肩し得べき精神的損害を被ったとして妻分100万円を認めた。

(4)後遺障害を負った被害者が死亡した事例
・ 兼業主婦(65歳,高次脳機能障害9級)が,脳損傷に起因する希死念慮を伴ううつ病に罹患して事故と相当因果関係のある自殺をした場合に,傷害慰謝料240万円,後遺障害慰謝料690万円のほか,死亡慰謝料につき,2200万円を認めるのが相当とした上で,2200万円から690万円を控除した1510円について自殺に対する寄与度減額(50%)を行い,755万円を認めた。
・ 会社代表者(固定時65歳,高次脳機能障害等別表第1の1級1号),事故後1か月で肝細胞癌の疑い,事故後4か月で肝転移を伴うステージⅣの胃癌と診断され,事故後9か月(固定後2か月)で肝癌により死亡につき,傷害分280万円のほか,本人分2800万円,妻200万円,子2名各100万円の後遺障害分合計3200万円を認めた。

(5)その他
・ 有職主婦(固定時43歳,左膝関節及び左足関節用廃6級,左足指全廃9級等)につき,併合して5級と評価すると序列を乱すことになるので,6級相当と評価するにとどめつつも,1300万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:7月は飲酒運転による人身事故が年間最多

2024-07-19

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,令和元年から令和5年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,7月は飲酒運転による人身事故が年間最多月となっています。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202407point.pdf

 過去5年間の飲酒運転人身事故の発生数が月平均69件のところ,7月は78件と多くなっています。そのうち,死亡事故が6件,重傷事故が3件と,重大な事故につながっていることが分かります。
 また,地域別では名古屋が多発しており,時間帯別は夜9時~0時,午前3時~6時が多くなっています。曜日別では金,土,日が多く,7月はレジャーやイベントの開催によって飲酒の機会も増えていることが,飲酒運転をする要因になっていると考えられます。

 飲酒後は,安全運転に必要な情報処理能力,注意力,判断力等が著しく低下し,交通事故を引き起こす危険が極めて高くなります。
 飲酒運転は,運転している当事者の自損事故だけではなく,他のドライバーや通行人を巻き添えにし,さらに死亡事故や重篤な後遺症が残るような悲惨な事故につながることが多くなります。
 死亡事故や重篤な後遺症が残る事故の場合は賠償額が大きくなりますが,飲酒運転の場合はさらに慰謝料の増額が認められる場合もあります。また,飲酒運転の発覚を恐れて,救護活動をせずに加害者が逃亡した場合も,さらに高額の慰謝料が認められる場合があります。

 過失割合の面でも,酒気帯び運転は著しい過失,酒酔い運転は重過失となり,原則,著しい過失は10%,重過失は20%修正されます。
 賠償額が大きくなればなるほど,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で事故の解決をすることが大切です。

 飲酒運転を根絶するためには,運転するなら酒を飲まない,酒を飲んだら運転しない,運転する人に酒をすすめない,酒を飲んだ人に運転させないを徹底しすることが大切です。 なお,自動車だけではなく自転車や電動キックボードも飲酒運転禁止となります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,飲酒運転の交通事故の解決実績が豊富にありますので,飲酒運転の被害に遭われたら,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(28)

2024-07-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ④ 4級の事例
   ・ 嘱託社員(固定時45歳,高次脳機能障害5級,嗅覚障害12級,味覚障害12級の併合4級)につき,本人分1700万円,妻200万円の合計1900万円を認めた。
   ・ 男児(固定時10歳,高次脳機能障害5級他併合4級)につき,年少者であり,長期に亘って重度の後遺障害を抱えることになり,両親には少なからぬ負担があること,両親は本件事故直後から本人の重篤な状態に悩まされ,将来の手術の必要性が生じること等から,傷害分250万円のほか,本人分1670万円,両親各50万円の後遺障害分合計1770万円を認めた。

  ⑤ 5級の事例
   ・ 大学院生(固定時26歳,頭部外傷に起因する神経系統の機能又は精神の障害5級)につき,傷害分374万円のほか,記憶力の低下や易激怒性などの状況を呈し,食事の準備,食器洗い,洗濯,掃除などができず,父母が買い物,洗濯,掃除,ゴミ捨てなどを代行していることなどから,本人分1700万円,父母各50万円,後遺障害分合計1800万円を認めた。
   ・ 小学生(固定時10歳,高次脳機能障害等5級)につき,傷害分200万円のほか,父親が近い将来会社を退職し支援を行う決意であること,母親が外傷性ストレス障害等で一定期間通院したことなどを考慮し,本人分1400万円,父母各250万円,後遺障害分合計1900万円を認めた。
   ・ 小学生(事故時6歳,高次脳機能障害5級)につき,傷害分256万円のほか,小児で受傷して後遺障害を負ったこと,近親者との関係性における葛藤や将来不安などの多大な精神的負担を考慮して,本人分1700万円,父母各100万円の後遺障害分合計1900万円を認めた。

  ⑥ 6級の事例
   ・ 非常勤嘱託職員(固定時55歳,高次脳機能障害7級,左鎖骨の変形12級,左耳難聴12級相当の併合6級)につき,本人分1300万円,長らく単身赴任だった被害者が早期退職して同居を再開した矢先の事故により暴言や暴力を行う被害者との生活を余儀なくされた妻100万円の後遺障害分合計1400万円を認めた。
   ・ アルバイト(固定時23歳,高次脳機能障害7級,醜状痕12級の併合6級)につき,能力が11歳程度で,軽易な労働しか服せず,日常の家事等を一切行えず,結婚も難しく,母親が娘に描いていた将来は断たれたも同然で,将来的な扶養の必要も生じたとして,傷害分247万円のほか,本人分1210万円,母親100万円の後遺障害分合計1310万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(27)

2024-07-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ② 2級の事例
  ・ 兼業主婦(固定時35歳,高次脳機能障害3級,嗅覚障害14級,醜状障害12級の併合2級)につき,本人分2300万円,介護のため多くの負担を余儀なくされ歯科クリニックの収入も減少した夫300万円,子2人各100万円,合計2800万円を認めた。
  ・ 高校生(固定時20歳,高次脳機能障害3級等の併合2級)につき,傷害部分500万円のほか,本人分2200万円,被害者の暴言・暴力に曝されている父母各300万円,後遺障害分合計2800万円を認めた。
  ・ トラック運転手(固定時40歳,高次脳機能障害,右下肢短縮等併合2級)につき,傷害分400万円のほか,妻は精神状況が大きく変化した夫を将来も看護しなければならないこと,子2人も強いショックを受けたと推認できることから,本人分2370万円,妻200万円,子2人各100万円,後遺障害分合計2770万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時27歳,右下肢欠損4級,高次脳機能障害7級,右股関節機能障害10級,左大腿部醜状12級相当,背部醜状14級相当の併合2級)につき,傷害分321万円のほか,本人分2500万円,父母各100万円,姉妹各50万円,後遺障害分合計2800万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時65歳,高次脳機能障害別表第1の2級1号)につき,傷害分400万円のほか,本人分2500万円,介護を余儀なくされた妻及び同居の子1人に各150万円,同居していない子1人に100万円,後遺障害分合計2900万円を認めた。

  ③ 3級の事例
   ・ 会社員(固定時31歳,びまん性軸索損傷等による高次脳機能障害3級)につき,傷害分345万円のほか,本人分2000万円,実際に介護をしている母親に200万円,提訴後に死亡した父親分100万円(母親が単独相続),後遺障害分合計2300万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時28歳,高次脳機能障害3級)につき,傷害分400万円のほか,食事の摂取や清潔維持のために援助が必要であり,性格変容により家庭内等で暴言や暴力をふるい医療保護入院が必要になる状況にあることなどを考慮し,本人分1850万円,父母各200万円の後遺障害分合計2250万円を認めた。
   ・ 男児(事故時4歳,高次脳機能障害3級)につき,傷害分310万円のほか,本人分1990万円,父母各150万円の後遺障害分合計2290万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(26)

2024-06-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
   重度の後遺障害の場合には,近親者にも別途慰謝料請求権が認められます。
  ・ 死亡の場合でなくとも,死亡に比肩するような精神的苦痛を受けた場合には,近親者にも慰謝料請求権が認められるとした(最判昭33年8月5日 民集12・12・1901 判事157・12)

 ① 1級の事例
  ・ 小学生(固定時8歳,植物状態1級)につき,傷害分424万円,後遺障害分2800万円のほか,未婚の母として単身被害者を養育しその成長を楽しみにしていたが,事故で被害者の進学等の夢を奪われ,老いるまで被害者の看護にあたらなければならず,被害者の将来に不安を抱くこと等を総合して,母に800万円を認めた。
  ・ 主婦(固定時57歳,凶暴性を伴う高次脳機能障害1級)につき,本人分2800万円,夫及び長男各250万円,次男及び三男150万円,合計3600万円を認めた。
  ・ 兼業主婦(固定時45歳,四肢不全麻痺等1級)につき,傷害分360万円のほか,本人分2800万円,夫400万円,子2人各200万円,父母各100万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 財団職員(固定時45歳,全身緊張,排泄・意識障害等1級)につき,傷害分417万円のほか,本人分2700万円,妻及び子3人各300万円,後遺障害分合計3900万円を認めた。
  ・ 中学生(固定時15歳,脳挫傷後の後遺障害1級)につき,傷害分400万円のほか,本人分2800万円,子の将来の成長への楽しみを奪われ将来に不安を抱きながら介護する生活を余儀なくされた父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 主婦(固定時60歳,脳挫傷後の寝たきり状態1級)につき,傷害分266万円のほか,本人分2800万円,夫300万円,長女及び養子となった長女の夫各200万円,後遺障害分合計3500万円を認めた。
  ・ 高校生(固定時23歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害分700万円のほか,本人分2800万円,父母各400万円,後遺障害分合計3600万円を認めた。
  ・ アルバイト(固定時25歳,高次脳機能障害1級)につき,傷害分350万円のほか,本人分2800万円,父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 新聞配達員(固定時67歳,食事,整容,上半身の更衣,車椅子での移動,昼間の自己導尿,ベッド上での自己体転は可能である胸腰椎部以下の完全麻痺,両側下肢全廃1級)につき,傷害分400万円のほか,本人分2800万円,妻400万円,子2人各200万円の後遺障害分合計3600万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時39歳,胸髄損傷による両下肢麻痺等1級)につき,傷害分370万円のほか,本人分3000万円,父250万円,法律上の母ではないが,事故当時既に父と同居して内縁関係にありその後法律婚し,現にかつ将来にわたって介護に当たる事実上の母に250万円,合計3500万円を認めた。
  ・ 被害者(固定時35歳,失語,発語困難,四肢体幹不全麻痺,嚥下障害,精神症状等1級)につき,事故類型からもドライブレコーダー等の証拠からも過失責任は明らかであるが,加害者が過失責任を一切否認したこと等も考慮し,傷害分440万円のほか,本人分2800万円,父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 中学生(固定時17歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害分435万円のほか,本人分3000万円,父母各400万円,姉と兄に各200万円の後遺障害分合計4200万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(25)

2024-06-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(2)既存障害のある被害者の事例(2)
  ・ 社会不安障害(9級)の既存障害を有する無職(固定時23歳,高次脳機能障害,左右股関節の機能障害,左顔面神経麻痺に伴う口のゆがみ等,左側頭骨骨折後の左聴力低下別表第1の2級1号)につき,傷害分312万円のほか,本人分2100万円,父母各100万円,後遺障害分合計2300万円を認めた。
  ・ 事故の2年前から腰部痛(労災12級),左手指巧緻障害及び左手の知覚障害(併合14級)の既存障害を有する公務員(固定時46歳,脊髄損傷不全麻痺5級)につき,傷害分220万円のほか,後遺障害分1440万円を認めた。
  ・ 9年前の交通事故による右肩・上肢から手指先の疼痛等(12級)の既存障害を有する新聞配達員(固定時68歳,高次脳機能障害5級)につき,傷害分330万円のほか,後遺障害分1300万円を認めた。
  ・ 第二腰椎変形(11級)の既存障害を有する会社員(固定時54歳,第12胸椎脊柱変形障害6級,右膝痛12級の併合5級)につき,後遺障害の制約の下で思うように就労ができなかったことを考慮し,傷害分175万円のほか,後遺障害分1180万円を認めた。
  ・ 前頭側頭葉変性症のうち失語症群である意味性認知症(3級)の既存障害を有する会社員(固定時55歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害慰謝料340万円のほか,後遺障害分2800万円,妻と2人の娘に各100万円,父親に50万円の合計3150万円を認めた。
  ・ 右眼失明及び左眼の視力0.04(3級)の既存障害がある飲食店経営者(固定時74歳,軽症の左眼外傷性視神経症を発症し,両眼失明別表第2の1級1号,右足膝下切断による5級の併合1級)につき,糖尿病の既往症による寄与を左眼失明につき5割,右足膝下切断につき8割として,後遺障害慰謝料1500万円を認め,事故前は日常生活の介助も不要で居酒屋の調理等も行っていたが,事故後稼動不能となり,外出や食事等にも介助を要するようになったことを理由に既存障害を斟酌しなかった。
  ・ 14歯の既存障害歯(10級)を有する派遣社員(銀行支店長付運転手,来客対応),新聞配達(固定時51歳)につき,事故による2歯喪失は加重障害とはならないが,義歯を装着すれば外観に影響せず,発語やそしゃくに支障がなくなるとしても,歯の喪失による精神的苦痛が生じないとはいえず,既存障害歯,喪失歯の数,メンテナンス等に一定の費用や手間がかかると推認されること,逸失利益は認められないことも考慮し,後遺障害分160万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(24)

2024-06-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(2)既存障害のある被害者
  ・ 鍼灸マッサージ自営業(固定時50歳,左上肢及び左膝の神経症状併合14級)につき,傷害分138万円のほか,仕事内容,事故前後の眼の障害内容の推移(多少あった視力を完全に喪失したが自賠責の後遺障害等級としては考慮されず)等を勘案して後遺障害分330万円を認めた。
  ・ 前事故でも外貌醜状7級の後遺障害を残している特別養護老人ホーム寮母(25歳,外貌醜状7級)につき,逸失利益が認められない点を考慮し,さらに前の顔面醜状は減額要素とはならないとして1100万円を認めた。
  ・ 左膝人工関節置換術により8級に相当する既往症を有していた主婦(固定時68歳)につき,同手術により膝の疼痛から解放されていたにも関わらず事故によって再び左膝関節の疼痛に苦しめられるようになったこと等を考慮して,左膝疼痛12級の後遺障害に基づく逸失利益を認めたほか,後遺障害慰謝料300万円を認めた。
  ・ 建設作業員(25歳,高次脳機能障害5級)につき,本件事故前から別件事故によって高次脳機能障害5級の認定を受けており,自賠責では加重障害に至らないとして非該当であったが,傷害の内容及び程度,入通院状況,残存した後遺障害の程度及び内容と本件事故によって生じたものと同種の後遺障害が残存していたこと等の事情から500万円を認めた。
  ・ 自己が創業した会社勤務の被害者(85歳)につき,従前から右足が不自由であり歩行が困難であったが,歩行困難の障害が本件事故によってどの程度重症化し,日常生活に支障が生じることになったかは必ずしも明確ではないが,杖をつくような状態になっていることが認められ,ある程度の症状が悪化したことは確かであるとして,傷害分60万円のほかに,後遺障害分60万円を認めた。
  ・ 股関節機能障害10級の既存障害を有する主婦(固定時80歳)の右膝関節機能障害12級相当と骨盤骨変形障害12級相当につき,既存障害を含む加重障害とした上で既存傷害分を差し引く手法と,既存障害を考慮せずに本件事故による後遺障害の程度を検討しそれに対応した後遺障害慰謝料額を試算し,いずれか大きな方を採用するのが合理的として,12級と評価すべき独立の後遺障害2つを併合した11級の慰謝料の方が上回っているとして,後遺障害分400万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:6月は小学生、中学生、高校生の事故が増加

2024-06-07

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると、令和元年から令和5年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果、6月は小学生、中学生、高校生の事故が増加する傾向があることが分かりました。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202406point.pdf

 小中高生の歩行者の死傷者の実態としては、6割以上が横断中の事故で、そのうち約8割が信号のない場所での事故となっています。
 信号のない場所で横断するときは、手を挙げて車に気付いてもらう行動を取る、車が停止したことを確認してから渡る、渡っているときも左右の安全を確認することが大切です。

 次に、小中高生の自転車死傷者の実態としては、出合頭の事故が約7割となっています。一時停止の規制がある場所では必ず停止する、左側通行を徹底することで、出合頭の事故を防ぐことができます。
 また、ヘルメットの非着用が約8割となっています。自転車による交通事故は衝撃が生身に伝わるということもあり、ヘルメットを着用しないと死亡につながりやすく、死亡に至らなくても、頭部を損傷することで、遷延性意識障害や高次脳機能障害となることもありますので、ヘルメットは必ず着用しましょう。

 連日、小中高生が交通事故の被害に遭う悲しいニュースを耳にします。新生活も2ヶ月が経過し、通学に慣れが生じやすい季節となりますので、一時停止などの基本的なルールを守るなど、正しく安全な交通行動を実践し事故を防ぎましょう。
 ドライバーの方も、朝・夕の出退勤時間が登下校時間と重なることから、交通事故の危険を予測し、見通しの効かない交差点や横断歩道手前での安全確認を確実に行うようにしましょう。

 では、小中高生が交通事故の被害に遭った場合どうすれば良いでしょうか。
 小中高生が交通事故に遭った場合も、大人と同じように症状固定日までの治療費や慰謝料等が支払われます。
 また、入院付添費や、症状により一人での通院が困難な場合は通院付添費が認められることがあります。付き添いのために付添者が仕事を休んだ場合は、付添者の休業損害が支払われる場合もあります。
 その他、長期間の休学等によって進級遅れが生じた際の授業料や補習費、家庭教師、塾の費用等が損害として認められる場合もあります。
 
 後遺障害が認定された場合は、逸失利益が支払われますが、労働能力喪失期間は原則18歳からとなります。大学卒業を前提とする場合は、大学卒業時となります。
 また、基礎収入は、若年労働者(事故時概ね30歳未満)として、全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となっています。
 
 小中高生が交通事故の被害に遭ったら、大人に比べ身体が小さい分、受ける衝撃は大きく、死亡事故につながったり、重篤な障害が残ることも多くあります。
 死亡事故や重篤な障害が残った場合は、賠償額が高額となりますので、適正な賠償額を加害者から受け取るためには、実績のある交通事故専門の弁護士が交渉することが不可欠です。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は、こどもの交通事故について解決実績が豊富にありますので、小中高生の交通事故についてお困りの方は、ぜひ、ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(23)

2024-05-31

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(2)
   ・ 厨房機器用品の販売等(事故時26歳)につき,下口唇外側の長さ1cmの凹凸を伴う線状瘢痕は非該当だが,顔面の正面で一目で判別できる程度に盛り上がり赤く変色していること,事故前後に接客,営業等を行う職に就き精神的苦痛を被っていることから,男子であるとはいえ慰謝料により慰謝するのが相当な程度に至っているとして,傷害分36万円,後遺障害分60万円を認めた。
   ・ ガソリンスタンド及び宅配従業員(17歳)につき,14級には該当しない程度の上半身及び後頭部に複数の瘢痕等が残存しており,瘢痕は衣服等により隠れる部位であり,労働能力や日常生活に直ちに影響を及ぼすものではないが,プールや銭湯等の利用において相当程度の精神的苦痛を与えるものであるとして,後遺障害慰謝料50万円を認めた。
   ・ 高校1年生(固定時18歳,右小指可動域制限(用廃)13級6号)につき,右小指中節骨開放骨折等により入院5回(計82日)含む治療期間32.5か月(実通院95日)と入院通院期間が高校生活のほとんどを占めたこと,加害車両が事故後停車せず立ち去ったこと等から傷害分350万円を認めた。また,醜状痕(右小指から手背への傷跡10×65mm・5×30mm),右小指の変形,右肘の傷跡70×35mmは,労働能力を喪失させるものとはいえず,慰謝料で考慮されるべきものとして,後遺障害分230万円を認めた。
   ・ 病院勤務(事故時24歳)につき,右上瞼外側の線状痕(約7×1mm程度)は非該当だが,顔面の瘢痕であり,金銭的慰謝が相当というだけの精神的苦痛が生じたとはいい得るものの,大きさに照らし,顕著な精神的苦痛を伴うものとは評価できないとし,後遺障害分20万円を認めた。
   ・ 被害者(年齢不明)につき,長管骨変形に該当しない左手尺骨茎状突起の所見,左手関節の関節可動域の一部制限及び左手の痛み等は,それぞれ後遺障害等級に該当するとまではいえないものの,今後の職業選択にも一定の制限がありうること等を理由に,傷害分150万円,後遺障害55万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(22)

2024-05-24

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(1)
   ・ 消防士(固定時54歳,歯牙障害12級(14級の加重))につき,自賠責基準に達しない手指及び肩関節の機能障害,自賠責認定基準のない深視力(立体視能力)も喪失しており,労働能力喪失率15%,傷害分235万円,後遺障害分300万円を認めた。
   ・ 頸椎後縦靱帯骨化症で通院治療中の無職(66歳,頸椎捻挫,右肩打撲非該当)につき,逸失利益の請求はなかったが,事故後神経症状が悪化し,生活等への支障も生じていること,本件事故が医師から禁止されていた首への強い衝撃であることから,神経症状悪化を後遺障害として評価するのが相当として,後遺障害慰謝料110万円を認めた。
   ・ 小学生(固定時8歳)につき,加害車両に右大腿部を轢過されたことによる右大腿骨骨折後の下肢醜状が,自賠責後遺障害等級上の外貌には該当しないものの,軽視できない苦痛を与え続ける醜状痕であるとして,傷害分250万円のほか,外貌醜状の標準的な慰謝料額の3分の1程度を認めるべきとして,100万円を認めた。
・ クラブホステス(事故時30歳,神経症状14級,醜状障害下顎付近に2ミリ×2.5センチ,頸部4ミリ×1.5センチで非該当)につき,傷害分160万円,後遺障害分140万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時32歳,右前頭部線状痕の外貌醜状非該当,左大腿部痛・腰痛の神経症状12級,股関節機能障害12級の併合11級)につき,顔面の線状痕は労働能力喪失率の算定では考慮できないが,周囲の視線が気になるなど対人関係等に消極的になる可能性は否定できず,後遺障害慰謝料の増額事由として斟酌し,傷害分297万円,後遺障害分500万円を認めた。
   ・ 被害者(年齢不明)につき,14級には該当しない程度の身体(首,肩,腰)の痛み及び精神症状(不安,不眠,交通状況による不安と回避等)の症状は症状固定後もなお残存するから後遺障害だとし,症状経過(治療開始約8ヶ月20日)や程度等から,後遺障害分50万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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