【コラム】:物損(30)

2025-11-13

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

9.家屋・店舗,設備に関する損害
(1)修理費,評価損等
・ 車がガソリンスタンドに飛び込んだ事案につき,破損(全損状態)した給油計量機の損害額を,ほぼ同等機種の再調達価格に定額法による償却率を控除した率を乗じた金額に,応急処置費用を加算して算定した。
・ 8年経過のレストランに大型貨物車が飛び込み損壊した事案につき,修理により耐用年数が延長され価値の増加で不当利得をあげたような場合であれば格別,相当な範囲の修理を施しただけの場合には原状回復そのものにすぎず,改めて経過日数を考慮し減価償却をするのは相当でないとして,修理費,看板取付,食器等・冷蔵庫・カラオケ装置購入費用,休損,弁護士費用合計1059万8506円を認めた。
・ 大型貨物自動車が紳士服量販店に飛び込んだ事案につき,店舗修理,一部休業期間中の店舗,商品等の警備費用46万円余を認めた。
・ 普通乗用自動車がレンタルビデオショップに飛び込んだ事案につき,全体の損傷状況等の調査のため,外部高所での作業の必要から,共通仮設工事ならびに外部改修工事費用を認め,また,不特定多数の顧客が出入りするので,美観に対する配慮も重要な要素であるとし,全面施工による内装仕上げ工事費用も認め,現場管理費,諸経費を含めて合計450万8420円を認めた。
・ 普通乗用自動車が和菓子屋の賃借する建物に突っ込み,店舗の入口,自動ドア,排煙装置等が大破した事故につき,後日算定された,より安価な方法・単価で可能であった可能性があることだけで,実際に行われた修理内容と費用が不相当なものとは言い切れないとして,工事費499万2120円を損害として認めた。
・ 新築建売物件(事故当時販売予定価格3480万円,事故後販売価格2980万円)への乗用車が衝突した事故につき,修理工事によって安全面や機能の点では特に問題がなくなったものの,大規模な修理が必要な損傷を受けたことは不動産の評価に当たり考慮されるべきであり,心理的な要因,新築建物の損傷という点からもその価値の低下へ軽視できず,修理費の約40%である270万円を評価損と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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