【コラム】:物損(23)

2025-09-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
事故のために営業車(緑ナンバー等)が使用できなくなった場合には,相当なる買替期間中もしくは修理期間中,休車損が認められます。
  休車損が認められるには,遊休車がないことの証明(代わりの営業用車両がなかったか),その車両がいくらの利益を出していたかを証明することが必要ですが,これら証明は容易でなく,一般的に休車損の請求は難しいといわれています。
(1)遊休車・代替車両の存在と損害の発生
・ タクシーにつき,無線配車分の売り上げは1台の事故車が休車中であっても他車に配車されることで8割がカバーされるとして,休車損を算定した。
・ タクシー会社であるから代替車両が存在するのが通常であるのに,休車損の発生について主張立証もないとして,休車損を否定した。
・ 貸切大型バスにつき,遊休車を有していても当該事故車両と同格の遊休車が多数存在しこれを代替することが容易にできる場合を除き,所有者に遊休車を利用してやりくりすべき義務を負わせるのは相当でないとした。
・ タクシー会社につき,事故当時,車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のために稼働させることが出来ない車両を除く全ての車両を常時稼働させていたことが認められることから,被害車両の稼働を他の車両の運行によって補うことが出来たとはいえないとして,運賃収入から,燃料費,修理代,乗務員人件費等の諸経費を引いた額について,4.5日分の休車損を認めた。
・ 被害車両(4tロングトラック)につき,全国展開する引っ越し運送業者であっても,実質的に支社ごとの独立採算制を採用し,配車も支社単位で行われている場合,他支社の遊休車を使用して配車調整をすべきとはいえず,休車損はあるが,事故前の稼働率や利益状況が年度や繁閑の時期によって必ずしも同様でなかったこと等から,民訴法248条の趣旨も含め,休車損の日額を2万3000円とした上で,時価額内で修理が可能な業者を探していたため入庫が遅れた期間を除いた事故後23日間を修理着手までの相当期間として,修理期間45日間と合計した68日間と合計した68日分156万円余を認めた。
・ 事業用自動車(10tユニック車)につき,被害者が他に保有していた積載量(3t,4t,7t,8t)の車で代替できたとは認められないとして,事故前3か月の平均稼働率に稼働1日あたりの収益(運賃収入から人件費,燃料代,修繕費及び道路使用料を控除した金額)を乗じた金額を基礎とし,代替車両納車前日までの52日間につき休車損130万円余を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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