【コラム】:慰謝料(14)

2024-03-09

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑥ 6級の事例
   ・ 生保外務員(36歳,外貌醜状7級,右眼球障害12級の併合6級)につき,逸失利益において労働能力喪失率40%を20年間,同14%を11年間認めた上で,傷害分200万円,後遺障害分として認定外の歯牙障害も考慮し1300万円を認めた。
   ・ 早期退職・転職直後の非常勤嘱託社員(固定時55歳,高次脳機能障害7級,左鎖骨の変形障害,左耳難聴12級の併合6級)につき,長い単身赴任のため別居していた家族との同居生活,趣味等,退職時の希望をほとんど全てかなえられなくなったこと等から,傷害分150万円のほか,後遺障害分本人分1300万円,妻100万円合計1400万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時37歳,脳外傷等頭部外傷,右膝関節靱帯損傷,上下顎骨骨折,顔面骨折による顔面部の醜状障害等併合6級)につき,逸失利益を労働能力喪失率67%で30年間認めた上で,傷害分400万円のほか,外貌醜状があることを考慮して後遺障害分1300万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時37歳,右前額部の線状痕7級,骨盤骨折の変形11級の併合6級)につき,逸失利益を労働能力喪失率35%で30年間認めた上で,醜状及び分娩の際に障害を生じる可能性のある産道狭窄を考慮し,傷害分350万円,後遺障害分1300万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時46歳,右膝関節機能障害,右足関節機能障害併せて7級相当,右下腿開放骨折後の変形癒合12級,右下腿等瘢痕12級相当の併合6級)につき,症状固定後も髄膜炎が再発するなどし,将来的に右下肢を切断することになるかもしれないとの不安を抱えながら生活していること等を考慮し,傷害分400万円のほか,後遺障害分1300万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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