【コラム】:慰謝料(9)

2024-01-18

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ① 1級の事例
   ・ 障害者の夫と姑の介護をしながら農業に従事している主婦(60歳,痴呆・尿失禁等の精神障害2級2号,視力障害2級1号,併合1級)につき,傷害分400万円のほか,本人分3200万円,近親者2名分580万円の後遺障害分合計3780万円を認めた。
   ・ 大学生(21歳,第五胸髄以下完全麻痺1級)につき,傷害分300万円のほか,本人分3000万円,父母各250万円の後遺障害分合計3500万円を認めた。
   ・ 独身会社員(事故時21歳,高次脳機能障害等1級3号,1眼摘出8級1号,併合1級)につき,生死の境をさまよい6回の大手術を受けたこと,若くして重大な障害を負ったこと,外貌にも著しい醜状が残ったこと,両親の介護の負担も極めて重いこと等を考慮して,傷害分480万円のほか,本人分3200万円,父母各400万円の後遺障害分合計4000万円を認めた。
   ・ 博士課程在学の大学院生(固定時27歳,高次脳機能障害1級3号)につき,傷害分600万円のほか,本人分3000万円,父母各400万円の後遺障害分合計3800万円を認めた。
   ・ 高校生(固定時17歳,遷延性意識障害等1級1号)につき,傷害分350万円のほか,本人分3000万円,父母各400万円の後遺障害分合計3800万円を認めた。
   ・ 大学生(固定時25歳,高次脳機能障害,右片麻痺,体幹失調等2級1号,複視12級相当,併合1級)につき,傷害分350万円のほか,本人分3000万円,父母各300万円の後遺障害分合計3600万円を認めた。
   ・ 脳挫傷等で299日入院したアルバイト(37歳,遷延性意識障害等1級3号)につき,傷害分350万円のほか,状態が重篤であること,加害者が酒気帯びで制限速度超過だった等その態様が悪質であることから,本人分3200万円,父母各300万円の後遺障害分合計3800万円を認めた。
   ・ 大学生(固定時22歳,遷延性意識障害)につき,傷害分306万円のほか,本人分3000万円,父母各300万円の後遺障害分合計3600万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時26歳,遷延性意識障害1級1号)につき,傷害分400万円のほか,本人分3000万円,介護に人生の大半を費やす父母各300万円の後遺障害分合計3600万円を認めた。
   ・ 単身独居者(固定時85歳,植物状態)につき,後遺障害の内容,年齢,生活状況,本件事故の態様,介護の可能性を総合的に判断して,3000万円を認めた。
   ・ 生命保険外交員(固定時54歳,四肢の拘縮,意思疎通障害,食事・排泄等自律的に行えない等別表第1の1級1号)につき,傷害分480万円のほか,本人分3000万円,夫300万円,2人の子各300万円の後遺障害分合計3900万円を認めた。
  
 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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