【コラム】:過失割合について(四輪車同士の事故 7.転回車と直進車との事故)

2019-04-05

交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。

7.転回車と直進車との事故
    本基準でいう転回は,1回の操作で短時間内にこれを完了するUターンを指します。一般には,転回とは従来の進行方向とは逆の方向に進行する目的をもって行われる方向転換をいい,Uターンのみならずスイッチターンも含まれますが,スイッチターンは,従来の進行方向の路上において一旦停止し,付近の小路の出口等に後退した上,従来の進行方向とは逆方向に入るために右折するという複雑な動きを含むものであるから,事故の状況に応じて後退や道路外出入車の基準を参考にして個別に過失相殺率を検討するのが相当です。
    車両は,歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは,転回してはならず,また,道路標識等により転回が禁止されている道路の部分においては転回してはならないとされていますが,転回の方法については,30m手前から合図をしなければならないとされるほか,特に規定はなく,また,交差点や道路外への出入りのための右左折の場合等と異なり,合図をした車両に対して他車がその進路変更を妨げてはならないとの趣旨の規程もありません。
    「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがある」とは,同一方向又は反対方向からの車両等がそのため一時停止し,徐行し,又はその進路を変えなければ引き続き進行することができなくなるような状態になることをいうものと解されていますが,これは,一般の進行妨害よりも更に厳格な要件と考えれるので,転回車はその転回を完了するまでは原則として直進車に対して劣後の立場にあるものと解されます。
(1)転回中の事故【155】

 

 

 

 

   直進車:20 転回車:80
    転回危険場所とは,見とおしがきかない道路,交通が特に頻繁な道路をいいます。
    転回禁止場所とは,道路標識等により転回が禁止されている道路の部分をいいます。
      
(2)転回終了直後の事故【156】

 

 

 

 

   直進車:30 転回車:70
    転回車が転回を完了している場合とは,方向が転回する前と完全に逆を向いているか,あるいはそれに近い状態となっていることを要するため,衝突の形態から見ると追突になります。
      直進車の速度違反,前方不注視が重なって追突したことが明らかな場合には,追突の事故態様と考えるべきで,本基準の対象外となります。
   
愛知県内での交通死亡者数は,2003年から16年連続全国ワーストとなっています。
特に,高齢者の交通死亡事故が増加しており,約55%となっています。

死亡事故や重篤な後遺障害が残る事故の場合は賠償額が大きくなりますので,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。

しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,高齢者の交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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