【コラム】:過失割合について(駐車場内の事故 1.四輪車同士の事故(2))
交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。
1.四輪車同士の事故
(2)通路を進行する四輪車と駐車区画から通路に進入しようとする四輪車との事故【335】
駐車場内の通路は,当該駐車場を利用する四輪車が当該駐車場内を移動するために不可欠の設備であるから,四輪車が駐車場内の通路と駐車区画との間を出入りすることは当然に予定されているということができます。
したがって,通路進行車は,駐車区画に駐車していた四輪車が通路に進入してくることを常に予見すべきであり,駐車区画退出車との関係においても,同車の通行を予見して安全を確認し,当該通路の状況に応じて,同車との衝突を回避することができるような速度と方法で通行する義務を負うとされます。
他方で,駐車区画退出車は,通路に進入する前の段階では駐車区画内で停止しているのであるから,通路進行車よりも容易に安全を確認し,衝突を回避することができます。また,駐車区画退出車は,通路への進入に際し,通路における他の四輪車の進行を妨げることになるのであるから,道路と道路外との間の出入りに関する法令上の規制を受けない場合であっても,通路に進入する際の注意義務として,進入しようとする通路の安全を確認し,通路進行車の通行を妨げるおそれがある場合は通路への進入を控える義務を負うとされます。
双方四輪車が負う基本的な注意義務の内容は上記のとおりですが,駐車区画退出車により重い注意義務が課されるため,事故が発生した場合は,原則として駐車区画退出車が相対的に重い過失責任を負います。
なお,通路進行車の過失の有無自体が問題となるもの,通路を進行する四輪車同士の衝突と考えられるものは,本基準によらず,具体的な事実関係に即して個別的に過失相殺率を検討すべきとされています。
通路進行車:駐車区画退出車=30:70
通路進行車,駐車区画退出車の前進,後退の別は問いません。
通路進行車が,通路を進行する他の車両の通常の進行速度を明らかに上回る速度で進行していた場合や,標識又は路面標示等で指示される順路(通行方向)に反して通路を進行していた場合には,著しい過失ありとなります。
駐車場内に道路標識等に倣った最高速度の標識又は路面標示がある場合には,当該標識又は標示で示された上限速度を上記の「通常の進行速度」の目安として,速度超過の程度に応じて著しい過失又は重過失による修正をします。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
駐車場の事故の場合,低速で走行しているため,車両の損傷は大きくないものの,どちらの車両が通路へ先入していたか,一方の車両が停止していたか否かなど,事故態様が争いになることが多くあります。
しまかぜ法律事務所では,双方車両のドライブレコーダー映像や商業施設等の防犯カメラ映像を分析し,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
駐車場内の事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。