【コラム】:物損(31)

2025-11-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

9.家屋・店舗,設備に関する損害
(1)修理費,評価損等(2)
・ 車が接触し桜の枝が破折した事案につき,事故発生時措置費用2万円(枝の処分費及び殺菌剤の塗布等の費用),樹皮が再生するまでの3年間の保全措置費用22万円余(事故により生じた傷口からの腐朽菌の侵入予防等のための定期的な殺菌剤塗布,薬剤散布,腐食・枯れ枝除去の費用)を損害と認めた(桜の枝が法令に抵触して道路上空に張り出していたこと等から過失相殺60%)。
・ 側壁の上部に家屋があり,家屋玄関の土間コンクリートと側壁の天端コンクリートが一体成型され,家屋が側壁の安息角30度の範囲内に存在する側壁の修復費用につき,側壁は,事故前,現在の水準に照らして強度・安定性が十分ではなく,そのような損傷箇所の修復費用を被告らに全額負担させるのは相当ではないとして,側壁の損傷の内容・箇所・程度及び従来の側壁の安全性を考慮し,見積額576万2340円の75%の範囲で認めた。
・ 大型コンテナトラックが,電鉄会社所有の防護桁に衝突し損傷させた場合の復旧工事費につき,防護桁が公共工事において設置されたものであること,交通量の多い公道上の設置物であって,その掛け替え等の復旧工事を行う際には工事の安全性が強く重視されることに照らして,原告が私企業であること及び本件復旧工事が公共工事そのものではないことを考慮しても,復旧工事費の見積もりに際して公共工事の積算基準が用いられたことは相当であるとして,原告の請求額939万6000円を認めた。
・ 普通乗用車がガレージシャッター,コンクリートブロック塀及び間知石を損傷させた事案につき,シャッターについては減価償却分を控除するのは相当とはいえないとしてメーカー価格の337万3000円,ブロック塀の修復工事代121万4171円,シャッターの開閉を可能にするための応急措置工事4万3200円,シャッター修理の可否を判断するためのメーカー担当者の出張費4320円,駐車場代2万9120円,工事の開始・終了に伴う自動車の回送や工事期間中の通勤のための交通費3万1610円を認めた。
・ 普通貨物自動車がビル地下駐車場の出入口に設置されたシャッターに接触した事案につき,オフィス及び高級賃貸マンションの複合した大規模な建物であり,24時間365日の有人管理を保証していることからすると,事故がなければシャッターを閉鎖していた平日の夜間12時間及び土日祝日の24時間,駐車場出入口付近に警備員を配置する必要があったとして,シャッター修理費100万7640円のほか,警備員配置費326万9808円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目4番12号 アレックスビル3階
Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.