【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(40)

2022-10-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(40)
9.外貌醜状等
(4)14級の事例
・ 小学生(事故時9歳)の右下肢露出面の醜状痕(14級)につき,同級生から傷跡の指摘をされ,プールや公衆浴場の使用を避けたり,受診時に傷を見られることを嫌がったり等,醜状痕が被害者の行動を制限しているとし,将来を考える上で,本件事故による醜状痕によって行動や発想の制限を受け,職業について自由に考え選択することができないと認め,賃金センサス女性学歴計全年齢平均を基礎に,就労後5年間5%の労働能力喪失を認めた。
・ 派遣社員(固定時37歳)の右大腿内部瘢痕の下肢醜状(14級)につき,派生する機能障害・知覚異常等も認められることから,事故前3ヶ月間の収入から算出した年収を基礎に,20年間5%の労働能力喪失を認めた。

(5)非該当の事例
・ 主婦兼女優・ホステス(固定時40歳)の肩甲部痛,上肢シビレ,頸部背部痛,三叉神経麻痺,歯牙障害(併合11級,眼瞼下垂は自賠責非該当)につき,頸部痛,眼瞼下垂,右上肢知覚障害は就労先の選択を狭め職務内容にも制限が伴い,殊に女優やホステスとしての稼働に眼瞼下垂は重大な支障を生じさせるとして,当初5年間は日額2万円余を基礎に35%,次の15年間は賃金センサス全労働者全年齢平均を基礎に20%,その後7年間は賃金センサス女性全年齢平均を基礎に14%の労働能力喪失を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 醜状は時間の経過とともに薄れていくため,醜状障害の後遺症申請は,事故後6ヶ月で早急に行うことが重要になります。また,医療技術の進歩によって,傷跡を目立たなくすることは可能になってきており,醜状障害を理由とする後遺症が認定基準は厳しくなりつつあります。(1)事故後6ヶ月で早急に後遺症申請をするのか,または(2)保険会社の治療費対応で形成手術を行って後遺症申請は行わないという選択をするのか,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,被害者の傷跡を確認し,もっとも最適な方法をアドバイスしていきます。
 逸失利益は賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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