【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(5)

2021-11-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その2 後遺症による逸失利益(5)
2.基礎収入
(1)有職者
  ④ 高齢者
就労している高齢者の場合には、基本的に実収入を基礎収入として逸失利益を計算します。

  <高齢者の基礎収入に関する裁判例>
・ 材木仕入業(事故時71歳),右膝の神経症状14級につき,事故前年の申告所得額は定額であるが,妻と孫2人との4人暮らしで,年額260万円余の債務返済をしていたことから,少なくとも年齢別平均賃金程度の収入はあったとした。
・ 仲居(固定時70歳),下肢関節機能障害12級につき,実収入を基礎とした。
・ シルバー人材センターでの仕事に従事していた被害者(固定時68歳),下肢関節機能障害10級につき,事故前年の同センターでの収入は定額であるが,妻には年745万円余の所得があり,それほど高いとはいえないが被害者にも寄与があり,その寄与に応じた収入が得られる蓋然性は肯定する余地はあるとして,賃金センサス男性学歴計年齢別平均の4割を基礎とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 高齢者で仕事をされている方が,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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