【コラム】:損益相殺・損害の補填等(14)
被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります。
4.人身傷害(補償)保険
(2)人傷保険会社による自賠責保険金受領(いわゆる人傷一括の問題)
人身傷害保険金を支払った保険会社が,加害車の自賠責保険に求償して保険金を受領した場合,人身傷害保険会社が受領した自賠責保険金を,被害者の加害者に対する損害賠償額算定においてどのように扱うかについては見解が分かれている。
・ 被害者が人身傷害保険から保険金を受領した後に,加害者に損害賠償請求を行い,被害者に1割の過失が認められた事案において,人身傷害保険金として支払われた金額のうち,損害賠償金の填補の対象となるのは,被保険者である被害者の過失に対応する損害額(過失相殺により減額される金額)を上回る部分に限られ,損害のうち被害者の過失に対応する損害額及び上記の「上回る部分」を控除した残額は,人身傷害保険会社が自賠責保険から回収したか否かにかかわらず,全額が被害者に支払われるべきであるとした。
・ 人身傷害保険会社が代位の範囲を超えて自賠責保険金を受領したとしても,それは人身傷害保険会社の単なる不当利得にすぎず被害者らには何の利得もないから,被害者らが自賠責保険金を受領した場合と同視することはできず,同金額を損益相殺の対象とすることは相当でないとした。
・ 被害者が損害賠償請求権は直接請求権を含め受領した人身傷害保険金を限度として人身傷害保険会社に移転することを承諾する旨の協定書を提出し,保険会社が代位可能な範囲を超えて自賠責保険金を受領した事案で,協定書等の説明内容は,代位条項に基づき保険代位できることを確認あるいは承認する趣旨のものと解するのが相当であり,被害者が保険会社に対して自賠責保険金の受領権限を委任する趣旨を含むものと解することはできないとし,保険会社による支払金は,全額が人身傷害保険金として支払われたものといえるから,その後に保険会社が自賠責保険金の支払を受けたことは,被害者の損害賠償請求権の有無及び額に影響を及ぼすものではないとし,代位可能な範囲を超える部分の控除を否定した。
・ 死亡事故について,人身傷害保険会社が,被害者の遺族に対して6000万円を支払ったうえで,加害車2台の自賠責保険から同額を回収した事案で,遺族から加害者らに対する損害賠償額の算定において,人身傷害保険の保険金額(3000万円)までの支払は,人身傷害保険金が支払われたものであり,人身傷害保険会社が遺族の加害者に対する損害賠償請求権を代位する範囲を超えて控除できないが,同保険金額を超えた3000万円は,自賠責保険金(損害賠償額)の立替払として払われたものだとして,その全額を控除できるとした。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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