【コラム】:損益相殺・損害の補填等(11)
被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
3.社会保険給付等がある場合の控除
(3)充当の方法
控除を認める場合でも,控除すべき金額につき,①事故日から支払日までの間に発生している遅延損害金に充当した後の残額を元本から控除する場合と,②全額を元本から控除する場合がある。
近年の裁判例には,自賠責から受領した保険金・損害賠償額を,判例(最判平16.12.20)に従わず損害元本に充当するものが散見されるが,いずれも,被害者が損害元本への充当を主張したため,裁判所がそれに従って判断したものである。
① 遅延損害金から充当した例
・ 事故後,自賠責保険から損害賠償額として支払いを受け,その支払額が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは,遅延損害金にまず充当されるべきものであるとした(最判平16.12.20)。
・ 3回にわたり支払われた任意保険金につき,事故日から各支払日までに発生した遅延損害金にまず充当してからその残額を損害金元本に充当し,その後支払われた自賠責保険金についても,遅延損害金,元本の順に充当した。
・ 任意保険金の各支払のうち,文書料,治療費としての各支払については,損害費目との結びつきが明確であり,元本充当の黙示の合意(これによって消滅する元本に対する遅延損害金を免除する旨の合意を含む。)が存在するものと解するのが相当として,元本に充当したが,内払いとして支払われた各金員については,損害費目との結びつきが明確ではなく,他にその明確な結びつきを認めるに足りる証拠はないとして,遅延損害金に充当した。
・ 被害者の遺族が既に医療機関に支払った治療費相当額の任意保険会社からの支払いについて,元本充当の黙示の合意があるとはいえないとして,まず既発生の遅延損害金に充当し,その残額を元本に充当した。
・ 内払金として支払われた任意保険金につき,保険会社が具体的な費目について内払い金を支払ったと認めるには足りず,内払金と費目の結びつきが明確にされていたものと認められないとして,遅延損害金から充当するのが相当であるとした。
・ 運転者と車両保有者が共に責任を負う場合(不真正連帯債務)における,先になされた一方の和解金の支払いを,他方の損害にどのように充当するかにつき,元本からではなく,事故日から和解金支払日までに発生した遅延損害金から充当した。
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