【コラム】:慰謝料(44)

2024-12-13

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(1)加害者に故意もしくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらに信号無視,薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合
  ② 後遺障害事例(2)
   ・ 中学生(14歳,遷延性意識障害等別表第1の1級1号)につき,加害者が事故前,飲酒するのを分かっていながら自動車を運転して宴会場に行って自制せずに飲酒し,帰宅時には代行か家人を呼んで帰るように言われていたにもかかわらず運転したことから,傷害分500万円のほか,本人分3000万円,両親各400万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
・ 第一腰椎圧迫骨折で入院期間128日,通院期間338日の特許事務職員(固定時48歳,11級7号)につき,加害者が捜査段階において,事実と異なる自らにとって有利な内容の調書が作成されたことを認識しながらこれを放置していたとの適切さを欠く対応をし,被害者が加害者に対して不信感,不快感を抱かざるを得ない状況にしたこと,加害者が遅れながらであるが病院の個室利用料の差額の一部等を支払っていること等を考慮し,入院期間を基にする通常の慰謝料額より加算した315万円とするのが相当とした。
・ 生活保護受給者(73歳,遷延性意識障害等別表第1の1級1号相当,事故の302日後に死亡)につき,約10ヶ月の入院慰謝料306万円のほか,加害者は救助せず逃走し,刑事公判手続でも事故を起こしたことを否認し,飛んできた段ボールの箱にぶつかったなどど被害者を冒涜するような不合理な弁解をして反省の態度を見せていないこと,そのため被害者は任意保険による被害弁償を一切受けられなかったことなど不誠実な対応を加味すると,相応の増額がされてしかるべきであるとして,本人分3000万円,非同居の子2人の固有慰謝料各100万円,後遺障害分合計3200万円を認めた。
・ 兼業主婦(固定時47歳,高次脳機能障害9級,顔面等の醜状等併合9級の併合8級相当)につき,加害者が飲酒運転発覚を免れるため職務質問を無視して発進し,追跡を振り切るため時速約135km(法定速度時速60km)で走行したという極めて危険な運転をし,故意にも比肩すべき重過失があること,衝突後もアクセルを踏み続け逃走を図ろうとしたと窺われ,何らの救護措置もとらなかったことから,傷害分277万円のほか,症状痕に対する逸失利益を認めないこと,加害者の悪質性を考慮し後遺障害分1100万円を認めた。
・ 立体駐車場保守点検業(固定時55歳)につき,加害者が飲酒した上,ゲームをプレイするためにスマートフォンを脇見していた悪質性により,傷害慰謝料(入院期間9日間,通院期間511日)を226万円とし,同悪質性に加え,頚部等の痛み等,嗄声構音障害等という系統を異にする14級相当の後遺障害が2つあることから,後遺障害分180万円を認めた。
・ 会社員(固定時49歳,両目視力障害等併合2級,しびれ,吐き気,痛み,全身倦怠感等3級,右眼右側組織陥没7級,心機能障害等併合10級ほかから併合1級,入院中に一時心肺停止)につき,加害者が無免許かつ覚醒剤を使用した状態で事故を引き起こした上,救護義務を果たさずに逃走したという事故の悪質さ等考慮し,傷害分400万円のほか,本人分3300万円,妻200万円,娘100万円,後遺障害分合計3600万円を認めた。を

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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