【コラム】:慰謝料(28)

2024-07-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ④ 4級の事例
   ・ 嘱託社員(固定時45歳,高次脳機能障害5級,嗅覚障害12級,味覚障害12級の併合4級)につき,本人分1700万円,妻200万円の合計1900万円を認めた。
   ・ 男児(固定時10歳,高次脳機能障害5級他併合4級)につき,年少者であり,長期に亘って重度の後遺障害を抱えることになり,両親には少なからぬ負担があること,両親は本件事故直後から本人の重篤な状態に悩まされ,将来の手術の必要性が生じること等から,傷害分250万円のほか,本人分1670万円,両親各50万円の後遺障害分合計1770万円を認めた。

  ⑤ 5級の事例
   ・ 大学院生(固定時26歳,頭部外傷に起因する神経系統の機能又は精神の障害5級)につき,傷害分374万円のほか,記憶力の低下や易激怒性などの状況を呈し,食事の準備,食器洗い,洗濯,掃除などができず,父母が買い物,洗濯,掃除,ゴミ捨てなどを代行していることなどから,本人分1700万円,父母各50万円,後遺障害分合計1800万円を認めた。
   ・ 小学生(固定時10歳,高次脳機能障害等5級)につき,傷害分200万円のほか,父親が近い将来会社を退職し支援を行う決意であること,母親が外傷性ストレス障害等で一定期間通院したことなどを考慮し,本人分1400万円,父母各250万円,後遺障害分合計1900万円を認めた。
   ・ 小学生(事故時6歳,高次脳機能障害5級)につき,傷害分256万円のほか,小児で受傷して後遺障害を負ったこと,近親者との関係性における葛藤や将来不安などの多大な精神的負担を考慮して,本人分1700万円,父母各100万円の後遺障害分合計1900万円を認めた。

  ⑥ 6級の事例
   ・ 非常勤嘱託職員(固定時55歳,高次脳機能障害7級,左鎖骨の変形12級,左耳難聴12級相当の併合6級)につき,本人分1300万円,長らく単身赴任だった被害者が早期退職して同居を再開した矢先の事故により暴言や暴力を行う被害者との生活を余儀なくされた妻100万円の後遺障害分合計1400万円を認めた。
   ・ アルバイト(固定時23歳,高次脳機能障害7級,醜状痕12級の併合6級)につき,能力が11歳程度で,軽易な労働しか服せず,日常の家事等を一切行えず,結婚も難しく,母親が娘に描いていた将来は断たれたも同然で,将来的な扶養の必要も生じたとして,傷害分247万円のほか,本人分1210万円,母親100万円の後遺障害分合計1310万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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