【コラム】:慰謝料(27)

2024-07-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ② 2級の事例
  ・ 兼業主婦(固定時35歳,高次脳機能障害3級,嗅覚障害14級,醜状障害12級の併合2級)につき,本人分2300万円,介護のため多くの負担を余儀なくされ歯科クリニックの収入も減少した夫300万円,子2人各100万円,合計2800万円を認めた。
  ・ 高校生(固定時20歳,高次脳機能障害3級等の併合2級)につき,傷害部分500万円のほか,本人分2200万円,被害者の暴言・暴力に曝されている父母各300万円,後遺障害分合計2800万円を認めた。
  ・ トラック運転手(固定時40歳,高次脳機能障害,右下肢短縮等併合2級)につき,傷害分400万円のほか,妻は精神状況が大きく変化した夫を将来も看護しなければならないこと,子2人も強いショックを受けたと推認できることから,本人分2370万円,妻200万円,子2人各100万円,後遺障害分合計2770万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時27歳,右下肢欠損4級,高次脳機能障害7級,右股関節機能障害10級,左大腿部醜状12級相当,背部醜状14級相当の併合2級)につき,傷害分321万円のほか,本人分2500万円,父母各100万円,姉妹各50万円,後遺障害分合計2800万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時65歳,高次脳機能障害別表第1の2級1号)につき,傷害分400万円のほか,本人分2500万円,介護を余儀なくされた妻及び同居の子1人に各150万円,同居していない子1人に100万円,後遺障害分合計2900万円を認めた。

  ③ 3級の事例
   ・ 会社員(固定時31歳,びまん性軸索損傷等による高次脳機能障害3級)につき,傷害分345万円のほか,本人分2000万円,実際に介護をしている母親に200万円,提訴後に死亡した父親分100万円(母親が単独相続),後遺障害分合計2300万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時28歳,高次脳機能障害3級)につき,傷害分400万円のほか,食事の摂取や清潔維持のために援助が必要であり,性格変容により家庭内等で暴言や暴力をふるい医療保護入院が必要になる状況にあることなどを考慮し,本人分1850万円,父母各200万円の後遺障害分合計2250万円を認めた。
   ・ 男児(事故時4歳,高次脳機能障害3級)につき,傷害分310万円のほか,本人分1990万円,父母各150万円の後遺障害分合計2290万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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