【コラム】:愛知県内令和3年年交通事故の特徴

2022-01-28

 警察庁によると,令和3年中の全国の交通事故死者数は2636人となり,これは警察庁が保有する昭和23年からの統計で,5年連続で最少となります。
https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220104001jiko.html
 愛知県内の死者数は117人で,昨年より37人減少し,3年連続でワースト1を回避しました。しかしながら,今なお多くの尊い命が交通事故で失われ,多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいらっしゃいます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/kisyahappyour312.pdf

 

 死者数を年齢層別にみると,65歳以上の高齢者は74人となり,死者数全体の63.2%を占めています。
 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。

 また,当事者別,事故類型別にみると,歩行者の横断中の事故が多くなっています。
 歩行者の交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故につながりやすくなります。
 愛知県では,歩行者の交通事故を減少させるため,ドライバーに対しては「横断歩道は歩行者優先」を呼び掛け,歩行者に対しては,自らの命を守るため,手を挙げて道路を渡る意思と感謝を示す「ハンド・アップ運動」を実施しています。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/handup.html
 
 歩行者は,横断歩道上では絶対的に近い保護を受けるので,信号機の設置されていない横断歩道上の事故については,原則として,歩行者の過失を問題とすることはありません。
 しかしながら,車の直前での横断・渋滞車列の間や駐停車車両の陰からの横断,夜間くらい場所における横断,車が高速で走行しているような幹線道路又は交通頻繁な道路の横断の場合には,歩行者としても左右の安全確認義務違反に基づく若干の過失相殺がされることがあります。死亡事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる賠償額が大きく変わってきます。
 歩行者は,横断歩道を横断する際は,手を挙げ,車が止まってもすぐには渡らず,止まってくれた車の対向車も止まっているか,後続の車が追い抜いてこないか等,左右の安全を十分に確認し,安全に渡ることが大切です。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,高齢者や歩行者による交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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