後遺症の等級について
交通事故の被害に遭われケガをされた場合、一定の期間治療を続けても治らない場合があります。このように、治療を続けたにもかかわらず完治せず、将来的に回復が見込めない身体的または精神的な症状が残ったことを後遺症といいます。
自賠責保険では、その程度に応じて、後遺症の1級~14級として認定を行います。
このページの目次
<部位別の後遺症例>
・全身
“植物状態”
→遷延性意識障害として、1級という重い等級が認められます。
詳しくは「その他の後遺症について(
・頭(脳)
“認知障害、日常生活ができない、物忘れ、新しいことを覚えられない、集中力の低下、言葉が出てこない、感情のコントロールができない”
→大脳に障害が残っている(高次脳機能障害)可能性があります。高次脳機能障害として、1級~9級という重い等級が認められます。
詳しくは「高次脳機能障害」をご覧ください。
“手、足の麻痺”
→脳の損傷によって、四肢麻痺(両手および両足)、片麻痺(左右いずれかの両手および両足)、単麻痺(左右いずれかの手または足)が生じると、1級~12級という重い等級が認められます。
“てんかん”
→脳の損傷によって、てんかんが発症すると5級~12級という重い等級が認められます。
“頭痛”
→脳や血管の損傷によって、頭痛が生じると、9級~14級という等級が認められます。
“めまい、ふらつき”
→脳の損傷によって、めまいや、平衡機能障害が発症すると、3級~14級という重い等級が認められます。
“立っていると頭痛がひどく、横になると楽になる”
→脳脊髄液が漏れ出すことによって、起立性頭痛が生じると、低髄液圧症候群(脳髄液圧減少症)として、14級という等級が認められます。
・脊髄
“手、足の麻痺”
→脊髄の損傷によって、四肢麻痺(両手および両足)、片麻痺(左右いずれかの両手および両足)、対麻痺(両手または両足)、単麻痺(左右いずれかの手または足)が生じると、1級~12級という重い等級が認められます。
詳しくは「脊髄損傷」をご覧ください。
・交感神経
“手、足の焼けるような痛み、腫れ、皮膚の変化、骨の萎縮、発汗の異常”
→交感神経の異常によって、手または足に痛み、腫れ、皮膚の変化、骨の萎縮、発熱の異常が生じると、CRPS(複合性局所疼痛症候群)として、7級~12級という重い等級が認められます。
なお、CRPSタイプⅠ(神経損傷が不明確)で代表的なものがRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)、CRPSタイプⅡ(神経損傷あり)で代表的なものがカウザルギーです。
詳しくは「CRPS(RSD、カウザルギー)」をご覧ください。
・脊柱およびその他の体幹骨
“脊柱の奇形、運動障害”
→脊柱(頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨)の圧迫骨折や脱臼によって、奇形や可動域が制限されると、6級~11級という重い等級が認められます。
“鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤の変形”
→鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤の骨折によって、奇形が生じると12級という重い等級が認められます。
“骨折したところが痛い”
→骨折部位の痛みが続くと、14級という等級が認められます。
・目
“失明、視力の低下”
→眼球の損傷によって、失明または視力の低下が生じると、1級~13級という重い等級が認められます。
“ピントが合わない”
→水晶体の損傷によって、ピントが合わなくなると、11級~12級という等級が認められます。
“斜視、二重に見える”
→外眼筋の麻痺によって、斜視または複視(二重に見える)が生じると、11級~12級という等級が認められます。
“視野が狭い”
→網膜、視神経~大脳視中枢という伝達路の損傷によって、視野が狭くなると、9級~13級という等級が認められます。
“まぶたが欠けた、閉じない、開かない”
→まぶたが欠けたり、視神経や外眼筋の損傷によってまぶたが閉じたり開かなくなると、9級~14級という等級が認められます。
“まぶしい、涙が出る”
→瞳孔の損傷によって、まぶしさが生じると、12級~14級という等級が認められます。
涙小管断裂によって、常に涙が出ると、14級という等級が認められます。
・耳
“聴力を失った、難聴”
→頭部外傷などによって、聴力を失ったり、聴力の低下が生じると、4級~14級という等級が認められます。
“耳が欠けた”
→耳が欠けると、11級~12級という等級が認められます。醜状障害として7級が認められることもあります。
“耳鳴り、分泌液が流れる”
→耳鳴りや、鼓膜から分泌液が流れると、12級~14級という等級が認められます。
・鼻
“嗅覚を失った、低下した”
→嗅覚を失ったり、低下すると、12級~14級という等級が認められます。
“鼻が欠けた”
→鼻が欠けると、9級という等級が認められます。醜状障害として7級が認められることもあります。
・口
“かめない、口が開かない”
→かみ合わせ障害、咀嚼筋の損傷、顎関節の損傷、開口障害によって、咀嚼に障害が生じると、1級~12級という重い等級が認められます。
詳しくは「その他の後遺症について(
“声が出にくい”
→喉頭の損傷によって、声が出にくくなったり、発音できなくなると、1級~10級という重い等級が認められます。
“歯がなくなった”
→歯が失われると、10~14級という等級が認められます。
“味覚を失った、低下した”
→味覚を失ったり、低下すると、12~14級という等級が認められます。
・首
“首が痛い、手が痺れる”
→頸椎ヘルニアによって、首の痛みや手が痺れると、12級~14級という等級が認められます。
頸椎ヘルニアに至らなくても、首の痛みが続くと、14級という等級が認められます。
詳しくは「むち打ち(末梢神経障害)」をご覧ください。
・肩、肘、手、指
“腕を切断した”
→腕を切断すると、1~5級という重い等級が認められます。
“指を切断した”
→指を切断すると、3~14級という重い等級が認められます。
“肩や肘、手首が動かなくなった、運動障害”
→肩や肘、手首の骨折によって、関節が動かなくなったり、可動域が制限されると、1級~12級という重い等級が認められます。
“指が動かなくなった、運動障害”
→指の骨折によって、指関節が動かなくなったり、可動域が制限されると、4級~14級という重い等級が認められます。
“腕の骨がくっつかない”
→骨が癒合せず、関節でないのに曲がってしまう偽関節となると、7級~12級という重い等級が認められます。
“腕の骨の変形”
→腕の骨が変形して癒合すると、12級という等級が認められます。
“人工関節を入れた”
→人工関節を入れると、8級~10級という重い等級が認められます。
“骨折したところが痛い”
→骨折部位の痛みが続くと、14級という等級が認められます。
・腰
“腰が痛い、足が痺れる”
→腰椎ヘルニアによって、腰の痛みや足が痺れると、12級~14級という等級が認められます。
腰椎ヘルニアに至らなくても、腰の痛みが続くと、14級という等級が認められます。
詳しくは「むち打ち(末梢神経障害)」をご覧ください。
・股、膝、足、足指
“足を切断した”
→足を切断すると、1~7級という重い等級が認められます。
“足指を切断した”
→足指を切断すると、5~13級という重い等級が認められます。
“股や膝、足首が動かなくなった、運動障害”
→股や膝、足首の骨折によって、関節が動かなくなったり、可動域が制限されると、1級~12級という重い等級が認められます。
“足指が動かなくなった、運動障害”
→指の骨折によって、指関節が動かなくなったり、可動域が制限されると、7級~14級という重い等級が認められます。
“足の骨がくっつかない”
→骨が癒合せず、関節でないのに曲がってしまう偽関節となると、7級~12級という重い等級が認められます。
“足の骨の変形”
→足の骨が変形して癒合すると、12級という等級が認められます。
“人工関節を入れた”
→人工関節を入れると、8級~10級という重い等級が認められます。
“足が短くなった”
→足の骨が短くなると、8級~13級という重い等級が認められます。
“股や膝、足首の関節がグラつく”
→股は膝、足首に動揺関節(グラつき)があると、8級~12級という重い等級が認められます。
“骨折したところが痛い”
→骨折部位の痛みが続くと、14級という等級が認められます。
・臓器
“臓器を失った、機能障害”
→臓器の障害として、1級~13級という重い等級が認められます。
・醜状
“身体に傷跡が残った”
→醜状障害(人目につくような瘢痕、線上痕、色素陥没、色素沈着による黒褐色の変色、色素脱失による白斑など)として、7級~14級という重い等級が認められます。
詳しくは「醜状について」をご覧ください。
しまかぜ法律事務所では、後遺障害適正等級診断サービスを無料で実施しております。被害者の症状をお聞かせいただければ、何等級に該当するのか診断いたしますので、費用を気にせず、お気軽にお問い合わせください。
後遺症の等級程度に応じて、後遺症慰謝料および逸失利益の金額が算定されますので、“何級に認定されるか”がとても重要になります。
詳しくは、後遺症慰謝料については「後遺症の慰謝料を自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)で比較」を、逸失利益については「交通事故で後遺症を負った方へ」をご覧ください。
しまかぜ法律事務所は、被害者請求(異議申立含む)による後遺症等級認定の実績が多数あります。しまかぜ法律事務所では、代表弁護士井上昌哉が責任をもって、適正な等級認定、適正な賠償額で解決できるように、最後まで全面的にサポートしていきますので、ぜひ、お任せください。
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