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【コラム】:休業損害について(学生で請求可能な場合)

2016-07-01

被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。

第5回は,学生休業損害です。

学生休業損害で問題になることが多いのは, 請求可能はどのような場合かです。

請求可能はどのような場合かについて説明させていただきます。

休業損害は,原則として,現実に収入減があったことに対する損害です。そのため,現実に収入減がない場合は休業損害を請求できません。
その意味では,将来における収入減をみなしで請求する逸失利益と異なります。逸失利益は現在収入がなくても,みなし算定するため請求可能です。

したがって,学生であっても逸失利益は請求できますが,休業損害を請求可能な場合は,現実に収入減があるときに限られます。
例えば,アルバイトを休業して減給された場合です。大きな事故で就職遅れが発生した場合は,就職による給与推定額を基準に休業損害を請求できます。

 

学生休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(家事従事者が主夫や世帯の妻以外の場合)

2016-06-27

家事従事者休業損害について問題になることの多い,主夫世帯の妻以外が請求できるかを,説明させていただきます。

妻が仕事をしていたり,病気だったりと,夫や子が家事をすることも少なくありません。この場合,主夫は,家事従事者として休業損害を請求できるでしょうか。

主夫が,世帯の家事労働に従事していることを証明できれば,家事従事者として休業損害を請求できます。
妻が仕事をしていること(給与明細,タイムカードなど),妻が病気であること(診断書など),夫や子が仕事をしていない又は就労時間が短いこと(課税証明書,給与明細,タイムカードなど)を証明する必要があります。

主夫家事従事者である場合も,家事従事者の算定方法でも説明したとおり,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を基準に算定します。平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。

主夫や世帯の妻以外家事従事者である場合,保険会社が請求を拒絶することも少なくありません。
しまかぜ法律事務所では,適正な証明方法を依頼者ごとにアドバイスし,家事従事者としての休業損害を交渉します。
家事従事者としての休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(家事従事者の算定方法)

2016-06-19

被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。

第4回は,家事従事者主婦)の休業損害です。

家事従事者主婦)の休業損害で問題になることが多いのは, 算定方法,②主夫や,世帯の妻以外は請求できるかです。

まずは,算定方法について説明させていただきます。

算定方法は大きく2つありますが,どちらも正しい方法であり,どちらで認定する裁判例もあります。
実通院日数を基準とする算定方法,❷喪失率に応じた逓減方式とする算定方法です。
順に説明させていただきます。

実通院日数を基準とする算定方法
日額×ⅱ実通院日数として算定します。

日額
家事従事者日額につき,自賠責保険は5700円です。保険会社が賠償額を提示するときも,日額5700円で算定を行うことがほとんどです。
しかし,日額9976円が適正な金額です。
家事従事者の年収は,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を参考にしますが,平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。365日で割ると日額は,9976円になります。
保険会社の提示する日額と,適正な日額とでは,約2倍の差が生じます。しまかぜ法律事務所では,日額9976円の適正額で解決を行います。
実通院日数
重大事故でない限り,事故日~治療終了までの全期間に応じた実通院日数で算定することはありません。
むち打ち事故などでは,特に家事に支障が生じる3ヶ月ほどに応じた実通院日数で算定することが大半です。
保険会社が実通院日数の対象期間として提示する期間は短いことが大半です。しまかぜ法律事務所では,主治医に医療照会を行うなどして適正な期間に応じた実通院日数で解決を行います。

喪失率に応じた逓減方式
実通院日に限らず,家事は毎日行うものです。そのため,実通院日に限らずに,家事能力の喪失率に応じて段階的に算定する方式です。
家事従事者の年収は,先ほど説明したとおり,364万1200円です。12月で割ると月額は30万3433円です。

例えば,むち打ち事故で,6ヶ月で治療終了した場合,ⅰ事故後2ヶ月は家事能力の喪失が大きく60%,ⅱ徐々に回復して,事故後3~4ヶ月は家事能力の喪失率が30%,ⅲ更に回復して,事故後5~6ヶ月は家事能力の喪失率が10%というように喪失率を段階的に算定します。
この場合,ⅰ事故後2ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月間×60%=36万4120円,ⅱ事故後3~4ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月間×30%=18万2060円,ⅲ事故後5~6ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月×10%=6万0587円として,休業損害の総額は60万6767円となります。

重大事故の場合,入院中はもちろ喪失率100%です。退院後は,回復の程度に応じて段階的に喪失率を設定して請求していきます。
しまかぜ法律事務所では,主治医に医療照会を行うなどして適正な喪失率で解決を行います。

しまかぜ法律事務所は,❶実通院日数を基準とする算定方法,❷喪失率に応じた逓減方式とする算定方法のいずれがより適しているかを,依頼者ごとに考え,適正な賠償額で交渉します。休業損害でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(会社自体の損害)

2016-06-11

会社役員休業損害について問題になることの多い,②会社自体の損害(企業損害)を請求できるかを,説明させていただきます。

会社役員の休業によって,会社自体の活動に制限され,減収となることがあります(企業損害)。この場合,会社自体の損害を請求できるでしょうか。

原則,会社は,交通事故の直接の被害者ではないため,企業損害は請求できません。
しかし,被害者以外の役員や従業員がいない場合など,被害者と会社が経済的同一体であり,被害者が会社にとって代替性のない地位にある場合は,例外的に企業損害が請求できます。
この場合,多くの裁判例では,営業利益と固定費を合算した金額を企業損害として認定しています。

しまかぜ法律事務所では,経済的同一体であること,代替性のない地位であることの証明のために必要な資料を,依頼者ごとに個別に考えてご案内しています。また,休業の必要性について,医師に医療照会を行ったり,カルテなどから証明を行います。
企業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(会社役員の算定方法)

2016-06-05

被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。

第3回は,会社役員休業損害です。

会社役員休業損害で問題になることが多いのは, 算定方法,②会社自体の損害(企業損害)を請求できるかです。

まずは,算定方法について説明させていただきます。

会社役員が休業して株主総会で役員報酬減額された場合,その減額分がただちに休業損害として認定されるわけではありません。

役員報酬には,Ⅰ労務対価部分と,Ⅱ利益配当部分の性格があります。会社役員休業損害として認定されるのは,Ⅰ労務対価部分での減額のみです。Ⅱ利益配当部分は休業しても得られるため,休業損害として認定されません。

労務対価部分は,次の項目を総合考慮して認定されます。
ⅰ会社規模
 大規模であれば,労務対価の性格は弱くなります
ⅱ会社の利益状況
 事故が原因で役員報酬が減額されたことの証明です。例えば,事故前期に純利益があり繰越利益剰余金もあって蓄積がある場合,事故前からの減収を理由として役員報酬を減額する必要はないため,事故が原因と認定される可能性が高くなります。
 また,小規模企業の場合,役員=株主であることが少なくなく,随意に役員報酬を減額して会社に内部留保にして休業損害を得た後に引き出して二重利益を得るおそれがあります。そこで,本当に休業によって会社が減収し,役員報酬を減額されたことを証明する必要があります(会社の減収と役員報酬減額の関連性)。
ⅲ役員の地位・職務内容
 労務対価として認定できる職務を行っているかです。
ⅳ年齢
 労務を想定できないほどの高齢ではないか。同じ年齢の給与所得者はどの程度の給与を得ているかも参考にします。
ⅴ役員報酬の額
 同じ年齢の給与所得者とあまりにも金額に差異がある場合,利益配当部分の性格が強いと言えます。
ⅵ他の役員の職務内容と報酬額の比較
 他の役員より高額であれば,利益配当部分の性格が強くなります。
ⅶ他の従業員の給与額の比較
 従業員は労務対価として給与を得ているため参考になります。

会社役員休業損害で必要な資料は,次のとおりです。
法人事業概況説明書
   会社規模を把握するためです。
決算報告書
 会社の利益状況を把握するためです。
月次損益計算書
 会社の利益状況を把握するためです。
株主総会議事録
 事故が原因で役員報酬が減額された内容が記載された臨時株主総会議事録です。
ⅴ就労制限の診断書
 会社役員の休業損害は争いになることが多いため,休業の必要性についても医師に意見をもらっておいた方が良いです。

しまかぜ法律事務所では,依頼者の特性に応じてもっとも適正な算定方法で請求を行います。役員報酬として認定可能と思われる休業損害額,請求にあたって必要な資料を,依頼者ごとに個別に考えてご案内しています。また,休業の必要性について,医師に医療照会を行ったり,カルテなどから証明を行います。
会社役員休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(個人事業主で確定申告をしていない場合)

2016-05-29

 

 

個人事業主の休業損害について問題になることの多い,⑤確定申告をしていなくても請求できるかを,説明させていただきます。

個人事業を開業したばかりなど確定申告をしていない場合があります。休業損害を請求するには,原則,事故前年度の確定申告書が必要ですが,確定申告をしていない場合は,まったく請求できないのでしょうか。

帳簿などから年間売上げや経費が明らかになる場合は,例外的に,確定申告をしていなくても休業損害を請求することができます。
しかし,あくまで例外的な処理ですので,帳簿上の年間売上げから経費を控除した金額÷365日が直ちに基礎収入となるわけではなく,基礎収入が高額に及ぶ場合は,同年代の会社員平均給与を参考に認定されることが多々あります。また,少なくとも事故当年の確定申告書の提出を求められることがあります。

しまかぜ法律事務所では,確定申告をしていない被害者でも事故前は生活を行ってた以上,休業損害をゼロ評価するのではなく,基礎収入を算定して休業損害が認定されるべきと考えています。
確定申告をしていないことを理由に休業損害を拒絶されお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(個人事業主で減収のない場合)

2016-05-21

個人事業主の休業損害について問題になることの多い,④家族の協力によって実際には減収していなくても請求できるかを,説明させていただきます。

事業を継続するために,休業中も家族が協力することで,所得の減少がない場合があります。

原則として,所得の減少がない場合は,休業損害は発生しません。しかし,本件事故後の所得を実質的には協力した家族の所得であって,被害者固有の所得としては減少しているとみなすことで,休業損害を認定する裁判例はあります。

所得減がないにもかかわらず休業損害が認定されるのは例外的ですので,事故前とは異なる協力があるのか,主治医による就労困難の診断があるのかを証明する必要があります。

しまかぜ法律事務所では,被害者や家族が事業継続のために行った努力をゼロ評価するべきではないと考えています。
所得減がない理由が家族の協力であって,その協力が休業損害として認定されるべきとお考えの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

 

【コラム】:休業損害について(個人事業主の代替労働)

2016-05-15

個人事業主の休業損害について問題になることの多い,③代替労働の費用を請求できるかを,説明させていただきます。

休業を回避させるために,代替労働力を利用することは少なくありません。例えば,個人事業で運送業を行う方が,休業を回避するために別の運送作業員に依頼して費用を支払った場合です。
事業を継続するため,代替労働力を利用することは相当であり,代替労働の費用は休業損害として請求することができます。
また,代替労働力を利用したにもかかわらず,所得減少が避けられなかった場合,代替労働の費用と併せて所得減少分も請求することができます。

しまかぜ法律事務所では,代替労働の費用を含めた適正な休業損害を請求しています。個人事業主の休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(個人事業主の固定費)

2016-05-07

個人事業主の休業損害について問題になることの多い,②固定費を請求できるかを,説明させていただきます。

事故が原因で休業せざるを得ない期間中も,将来の事業継続のため,家賃,従業員給与,保険料,リース料,諸会費,水道光熱費や通信費の基本料,租税公課,減価償却費などの固定費を支払うことは少なくありません。売上げに繋がらない固定費の支払いは損害であって請求することができます。

では,どのように固定費を損害として算定するのでしょうか。

前回,①個人事業主の算定方法として,通常は,ⅰ基礎収入×ⅱ休業日数とすると説明させていただきました。
そして,ⅰ基礎収入の算定方法として,通常は,(事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額)÷365日とすると説明させていただきました。

多くの裁判例では,ⅰ基礎収入を算定するにあたり,固定費も加算することで,損害として認定しています。

事業継続のためには,固定費の支払いが避けられず,大きな負担となります。
しまかぜ法律事務所では,固定費を含めた適正な休業損害を請求しています。個人事業主の休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:休業損害について(個人事業主の算定方法)

2016-04-24

被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。

第2回は,法人成りしていない経営者や,開業医,弁護士,保険外交員,一人親方,ホステスなど個人事業主の休業損害です。

個人事業主の休業損害で問題になることが多いのは, ①算定方法,②固定費を請求できるか,③代替労働の費用を請求できるか,④家族の協力によって実際には減収していなくても請求できるか,⑤確定申告をしていなくても請求できるかです。

まずは,①算定方法について説明させていただきます。

 

個人事業主の算定方法は,裁判所での認定方法も様々ですが,ⅠorⅡで算定されること多いです。

Ⅰ 事故前年から基礎収入を算定して,ⅰ基礎収入×ⅱ休業日数とする方法

ⅰ基礎収入
(事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額)÷365日
とすることが多いです。

裁判所によっては,
(事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額)-(所得税+住民税+事業税)=A(年間手取額)
A×本人寄与率(※注1)=B(年間基準額)
B÷365日=C(基礎収入)
とすることもあります。
(※注1 本人寄与分)
業種,規模によって様々ですが,例えば,夫と妻2人で,夫:妻=100:50の割合で事業をしている場合,夫の寄与分は,100(夫)÷150(夫+妻)=66.6%です。

ⅱ休業日数
重篤な症状がある場合は,入院中100%はもちろんのこと,退院後でも事業再開まで100%で休業日数を算定します。
事業再開の時期が相当かが争点となりますので,しまかぜ法律事務所では,医師から意見をもらうなどして証明を行っています。

軽傷の場合は,実通院日数=休業日数と算定することも少なくありません。
この場合も,どの時期までの実通院日数を基準とするかが争点となりますので,しまかぜ法律事務所では,医師から意見をもらうなどして証明を行っています。

 

Ⅱ 事故前年からの所得減とする方法
事故前年の所得金額-事故以降の所得金額
とすることもあります。
しかし,所得金額が確定するのは1年後ですので,生活に直結する休業損害を獲得するという意味合いでは,生活に余力ある場合にしか選択が難しい方法です。

 

算定方法がⅠorⅡであれ,②固定費を請求できるか,③代替労働の費用を請求できるか,④家族の協力によって実際には減収していなくても請求できるかなどの問題が生じますので,説明を連載させていただきます。

 

しまかぜ法律事務所では,依頼者の特性に応じてもっとも適正な算定方法で請求を行います。休業日数など証明が必要になる場合は,医師に医療照会を行ったり,カルテなどから証明を行います。
個人事業主の休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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