Archive for the ‘コラム’ Category

【コラム】:物損(23)

2025-09-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
事故のために営業車(緑ナンバー等)が使用できなくなった場合には,相当なる買替期間中もしくは修理期間中,休車損が認められます。
  休車損が認められるには,遊休車がないことの証明(代わりの営業用車両がなかったか),その車両がいくらの利益を出していたかを証明することが必要ですが,これら証明は容易でなく,一般的に休車損の請求は難しいといわれています。
(1)遊休車・代替車両の存在と損害の発生
・ タクシーにつき,無線配車分の売り上げは1台の事故車が休車中であっても他車に配車されることで8割がカバーされるとして,休車損を算定した。
・ タクシー会社であるから代替車両が存在するのが通常であるのに,休車損の発生について主張立証もないとして,休車損を否定した。
・ 貸切大型バスにつき,遊休車を有していても当該事故車両と同格の遊休車が多数存在しこれを代替することが容易にできる場合を除き,所有者に遊休車を利用してやりくりすべき義務を負わせるのは相当でないとした。
・ タクシー会社につき,事故当時,車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のために稼働させることが出来ない車両を除く全ての車両を常時稼働させていたことが認められることから,被害車両の稼働を他の車両の運行によって補うことが出来たとはいえないとして,運賃収入から,燃料費,修理代,乗務員人件費等の諸経費を引いた額について,4.5日分の休車損を認めた。
・ 被害車両(4tロングトラック)につき,全国展開する引っ越し運送業者であっても,実質的に支社ごとの独立採算制を採用し,配車も支社単位で行われている場合,他支社の遊休車を使用して配車調整をすべきとはいえず,休車損はあるが,事故前の稼働率や利益状況が年度や繁閑の時期によって必ずしも同様でなかったこと等から,民訴法248条の趣旨も含め,休車損の日額を2万3000円とした上で,時価額内で修理が可能な業者を探していたため入庫が遅れた期間を除いた事故後23日間を修理着手までの相当期間として,修理期間45日間と合計した68日間と合計した68日分156万円余を認めた。
・ 事業用自動車(10tユニック車)につき,被害者が他に保有していた積載量(3t,4t,7t,8t)の車で代替できたとは認められないとして,事故前3か月の平均稼働率に稼働1日あたりの収益(運賃収入から人件費,燃料代,修繕費及び道路使用料を控除した金額)を乗じた金額を基礎とし,代替車両納車前日までの52日間につき休車損130万円余を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(22)

2025-09-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(4)その他
・ 代車を友人から借りて現実に出費がない場合に,そのお礼をしようと考えていること,外車で中古車市場に同種の車両が多く出回っていないことから,国産ワゴン車の代車料金等を考慮して日額1万5000円,30日分を認めた。
・ 被害者が経済的全損となった被害車両(時価額71万円,修理費125万円余)の買替までの代車を30万円で購入した場合に,保険会社が確答を怠った期間(事故時から3か月間)レンタカーを使用していればその費用は30万円を下回らないとして,購入費と同額を代車使用料として認めた。
・ タクシー等の利用による交通費は,自宅から勤務先までの費用を中心に,概ね日額1万円程度であるが,実質的には被害車(ポルシェ・ボクスター)を使用できないことによる代車使用に代わるものとも評価できることなどに鑑み,修理のために必要な相当期間についての交通費につき,定期券利用により出損を免れ得た乗車券代相当額を控除した34万1020円の範囲で損害と認めた。
・ 事故で破損したポルシェの代車として使用したのが低い格式のトヨタ・マークⅡであったことを理由とした,より高級な代車のレンタカー代金の請求について,これを排斥し,現実に支出を要した金額に限って認めた。
・ 代車を父から借りて,5か月分100万円を支払った事案につき,当該代車の後継車種のレンタル費用が月額20万1300円とされている例に鑑みて月額15万円を相当とした上で,代車を借りた時点で修理費用が支払われない可能性を認識していたが,修理か買替かを検討するための時間が必要であったとして1か月分15万円の代車費用を認めた。
・ 代車使用中,登録車両限定のETCカードによる高速道路料金割引を受けられなかったために増加した高禄道路料金8万円余を損害と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損について(21)

2025-08-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(3)代車の認められる期間(2)
・ 乗用車に衝突された原告会社所有の原動機付自転車の代車費用につき,月額1万2000円で代車を借りているところ,当事者間で本件事故の態様,過失割合に関する対立が深刻であることや訴訟に至る経緯を考慮し,買い替えを要する期間を1か月半とみて1万8000円の代車費用を認めた。
・ BMW(グレード不明,初度登録から1年2か月,時価約495万円)につき,修理部品をドイツから搬送せざるを得ず,3か月という修理期間が不相当に長いとまではいえないとして,約3か月間のレンタカー費用119万円余を認めた。
・ ハイエースにつき,受注生産であり納車まで2か月から2か月半であることを考慮して,約3か月間の代車費用80万円余を認めた。
・ 事故車である従業員送迎用に使用していた大型観光バスにつき,左右側部にわたって損傷が生じ,修理費用も相当高額(464万9940円)であることに加え,修理に必要な部品の調達に約1か月を要するものがあったことも考慮すれば,3か月間の修理期間は必要かつ相当であるとした。
・ タンクローリーにつき,特殊車両であり中古車市場において取り引きするのが困難であるため,別のタンクローリーに買い替える場合,シャーシ(受注生産)のみを買い換えてタンクを載せ換えるという特殊架装を行う場合にも相応の時間を要するものと認められるが,修理見積が出て,実際に修理するのが難しいと分かってから買い換え手続を始めるまでに1,2か月程度掛かっていたことを考慮し,6か月半の代車使用期間のうち,月額19万4400円,4か月分の77万7600円を認めた。
・ 被害者が炎上した車内にて焼死した事故の被害車両(所有者は被害者の夫)につき,夫が事故後の対応に奔走していたことからすると,車両の買換までに期間を要したこともやむ得ない面があり,代車の使用期間が不相当に長期化したとはいえないとして,約3か月間の代車費用15万円余を認めた。
・ 損傷した車両が納車前の新車であり,買主が当該車両とは別の新車の納車を受けるまでの間,売主から代車を借りた事案につき,買主が当該車両を修理した上で使用するのではなく,別の新車の納車を求めるのは当然であり,修理に必要な期間を超えても代車利用の必要性,相当性は欠けないとして,事故発生日から納車までの74日分,19万9800円の代車費用を認めた。
・ 135日代車を使用した事案につき,事故後約1か月程度は,加害者の保険会社担当者との間で,評価損を含む車両損害に関する解決に向けた協議が続けられていたこと等を踏まえ,70日分112万円余を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(20)

2025-08-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(3)代車の認められる期間
・ 代車が加害者側より130日間提供された場合につき,調停での解決が途中で困難であることが被害者に認識できたことを理由に,70日分は被害者が負担すべきだとして損益相殺の対象とし,60日分を認めた。
・ 物損事故の加害者が早期の賠償をしないため,被害者が修理代金を払えず,このために修理業者から留置権を行使され代車期間が延長したとしても,民法419条の金銭賠償の特則の趣旨からして,事故と相当因果関係のある代車使用料は相当期間中のものに限られるとした。
・ 示談を代行する保険会社の担当者が,被害者を納得させるための説明・交渉に時間を要し,修理または買い替え手続きに着手する前の交渉期間中に代車使用料が生じたとしても,合理的期間内の代車料にとどまる限り加害者は代車料を負担する義務があるとして,事故から12日目に保険会社側の最終回答がなされたことをふまえ,事故後約40日間を代車使用期間と認めた。
・ 初度登録から2か月弱,走行距離5232kmのBMW525iにつき,購入後間もなく新車同様であったことから,被害者が買替や買取を求めたことは理由がないことではなく,保険会社の担当者もその検討を約束した後,弁護士から被害者に買替拒否と修理着工が通知されていることから,当該通知がなされるまでの36日と,修理の相当期間47日の合計83日について代車使用料を認めた。
・ 新車又は事故前と同等の損傷のない車両に替えることを要求し,売却価格と新車価格の差額支払いを求めるなど,修理着工の指示が遅れたことに合理的な理由がない場合には,その期間は代車料の支払い義務がないとし,50日分の代車料請求につき33日分を認めた。
・ 代車料の認められる期間は経済的全損であることが判明するまでの期間及びその終期から買替え完了までの間とするのが相当であり,車種(アルファロメオ)等も考慮すると通常1か月程度であるが,保険会社の調査に時間を要し正式見積もりを取るのが多少遅れたとして,40日間84万円の代車料を認めた。
・ 事故日から95日間,日額3000円で代車を使用した事案につき,事故から36日目に被害者の保険会社が加害者の保険会社から全損である旨の連絡を受けたことなどを踏まえ,50日分の代車料を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら

2025-08-07

 警察庁によると,令和7年上半期の交通事故交通事故死者数は,1161人となっています。前年に比べ21人減少しています。一方,65歳以上の高齢者の死者数は659人で,前年に比べ9人増加しています。
 特徴としては,状態別死者数は全年齢で「歩行中」は減少しているものの,最多となっています。小学生は「自転車乗用中」が最多となっています。
 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R7kamihanki_bunseki.pdf
 
 お盆の休暇を利用して,帰省や旅行,海水浴や花火などのレジャーを楽しまれる方が多くいらっしゃると思います。お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。
 運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。特に,長時間運転をする予定のある方は,時間に余裕を持った計画を立て,適宜休憩をするなど体調管理を併せた安全行動を取ることが大切です。
 また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
 では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,お盆期間中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じた方など,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,あおり運転の被害に遭う可能性もあります。
 令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では,あおり運転を「妨害運転」として新たに規定されました。他の車両等の通行を妨害する目的での車間距離不保持や不必要な急ブレーキなど10類型が妨害運転となり,取り締まりの対象になります。
 もし,あおり運転の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,あおり運転の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によって怪我をした場合は,損害賠償を請求することができます。
 あおり運転の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,あおり運転に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(19)

2025-08-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(2)代車の種類(グレード)
・ メルセデス・ベンツCLK320カブリオレの代車につき,被害者がキャバクラ店のフロアキャストとして稼働し,通勤手段のほか営業活動のために用いていたことから,メルセデス・ベンツCクラスの自動車を一般のレンタカー業者で手配するのに要する費用の限度で相当な代車料とし,最初の24時間につき3万1320円,その後24時間ごとに2万3760円,86日分合計205万0920円を認めた。
・ トヨタヴェルファイアの代車使用料につき,通勤及びプライベートにおける使用方法(アウトドア,スノーボード等)からすれば同車種を選択したことは不当とはいえず,代車の車種,任意保険担当者から代車を変更してほしいなどの申し入れもなかったことからも日額1万8360円は相当額であり,修理期間31日も部品取寄期間,作業工程,作業の確実性等を考慮すればやむを得ないとして,合計56万9160円を認めた。
・ ポルシェの代車につき,取引先等に行く際に使用しており,代車が安い国産車になると取引先から勘違いされる恐れがあるため,ある程度グレードの高い車両でなければならないという原告の主張を退け,代車は,あくまで修理等に必要な比較的短期間において自動車を使用することができないことによる損害の発生を回避するために限られる代替手段であるから,代車の種類については,使用目的に照らして相当な範囲内で認めるのが相当であるとし,初日の日額を2万9160円,2日目以降の日額を2万1600円として,合計61万2360円を認めた。
・ ワイドロングウイング冷凍車の代車につき,加害者はウイングタイプである必要はなく,日額は2万円程度が相当と争ったが,公設市場では荷物積卸の大幅な時間短縮が可能な同タイプの方が大きかったとして,ウイングタイプの必要性を認め,日額3万8000円,85日分を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(18)

2025-07-25

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
相当な修理期間または買い替え期間中,レンタカー使用等により代車を利用した場合に認められます。修理期間は1週間ないし2週間が通例ですが,部品の調達や営業車登録等の必要があるときは長期間認められる場合もあります。

(1)代車の必要性
・ 水産会社に勤務する被害者につき,勤務の性質上,早朝の通勤を要し乗用車を使用する必要性があるとして,最初の33日間はレンタカー使用料日額6000円(1か月15万円),残りの26日間は知人の乗用車を日額3000円で賃借したとして合計額を認めた。
・ 顧客の送迎に使用していた事故車両(ロールスロイス)のほかにスポーツ車(ベンツ)を所有していたとしても,使用目的に照らして代車となりえないとして,代車の必要性を認めた。
・ 将来分の代車使用料の請求につき,保険会社との間で修理の範囲等につき争いがあり,証拠を残すため未修理のまま使用してきたところ,現に訴訟において検証を行っており未修理としておく必要性もあったとして,14日間分の代車使用料33万円余を認めた。
・ 被害者が被害車両以外に2台の外国製車両を含む3台の自動車を所有していたことから,自動車の運転する家族と同居しており,住居地が駅や商業施設から離れていても,代車使用の必要性を認めなかった。
・ 夫の仕事の送迎や買い物をする際に日常的に利用し,賠償義務の存否についての解決がつかず,修理費の協定すらできない状態で修理費着工することが出来なかったとして,67日間の代車使用料112万8600円を認めた。
・ 事故車両と同様の貨物自動車(粉粒体運搬車)を日額5万4000円で借りた事案につき,特殊な車両であり,市場原理によって適正賃料が形成されることは無く,これを下回る価格で賃借できたという証拠はないし,賃借によって営業利益を維持できたのであり,賃借しなければ売り上げの低下分が営業損害となるから,被害者の信義則上の損害拡大防止義務に照らしてもやむを得なかったとして,60日分の合計324万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:物損(17)

2025-07-18

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5.評価損
(2)所有権留保車両,リース車両等の場合(2)
・ 事故前にリース契約解約を申し入れていた普通乗用自動車(事故前査定:計算時入庫価格(評価損)237万7000円,解約清算金98万0837円。事故後査定:計算時入庫価格190万2000円,解約清算金142万3307円)につき,リース契約者が,事故後,解約清算金を支払い,同清算金の増額の形で全て負担し評価損を請求できるとした上で,リース会社の事故前後の被害者の評価額の査定下落分はリース契約に由来する事情のため客観的な価値の下落ではない等として,被害者の損傷状況と修理費(49万6845円),初度登録から事故までの期間(約1年半),走行距離(1万6598km),車種等に鑑み,評価損につき修理費4割の19万8738円が相当とした。
・ 所有権留保車両の所有者から使用者に対する評価損に係る損害賠償請求権の債権譲渡は,使用者が当該車両の使用利益を有し,ローン完済時に所有権も取得することから,訴訟信託に当たるとはいえないとして,使用者が当該車両の評価損を請求できると認めるのが相当であるとした。
・ リース期間5年の残価設定型のリース契約により使用するハイエース(初度登録後7か月,2万4331km)の評価損につき,リース期間がなお残存(口頭弁論終結時点で約3年2か月)すること,リース期間満了時の評価損の額は不明であることなどから,リース期間満了時の残存価格との差額を負担することによる損害は口頭弁論終結時にいまだ現実化していないとして否定した。
・ 事故後リース契約を解約した国産高級自動車(登録後11か月,走行距離2万0500km以下)につき,車両の状態や損傷の程度及び修理の内容に照らし,リース損害金をリース会社に対し支払っていることから民法422条を類推適用して,修理費の3割である69万3644円を評価損として認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:夏の交通安全県民運動の実施

2025-07-11

 愛知県では,令和7年7月11日から同月20日まで,夏の交通安全県民運動が実施されます。
 夏は,行楽などで自動車を運転する機会が増えるとともに,暑さやレジャーにより疲れが蓄積しやすくなるほか,新生活も3か月が経過し,通学・通勤への慣れから気の緩みや油断が生じやすくなり,歩行者,運転者ともに注意力が散漫になりがちです。
 県民一人一人が交通安全意識を高め,安全運転や安全行動の実践を通じて交通事故を防ぎましょう。
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/koutu-kenminundou.html
 
運動重点は,
・歩行者の交通事故防止と交通ルールの遵守
・運転者の安全運転意識の向上及び飲酒運転等の根絶
・自転車・特定小型原動機付自転車利用時の交通ルールの遵守とヘルメット着用の徹底
です。

 交通量の多い夕方に屋外で遊ぶ子どもたちや,夕涼みで外出する高齢者が増えるため,歩行者の交通事故が多く発生することが心配されます。
 歩行者は,横断歩道を渡ること,信号機のあるところではその信号に従うこと,走行車両の直前・直後の横断をしないこと,歩きスマホをしないこと等の基本的な交通ルールを守ることが大切です。
 運転者は,横断歩道等に歩行者がいないことが明らかな場合を除き,直前で停止可能な速度で進行する義務や横断歩道等における歩行者優先義務をジ遵守しなければなりません。また,ながら運転,飲酒運転,妨害運転をしないこととともに,後部座席を含めた全ての座席のシートベルト着用とチャイルドシートの正しい使用を徹底しましょう。

 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
 
 また,交差点内や交差点付近で歩行者が横断中に事故に遭う場合,歩行者が横断歩道を横断しているかどうかで過失割合が変わってきます。
 横断歩道外を横断している場合でも,横断歩道の付近であれば横断歩道通過後なのか横断歩道の手前なのか,それ以外の場所なのかなど,事故態様に応じて過失割合が変わってきますので,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で解決することも非常に大切となります。
  死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,専門的知識と豊富な解決実績のある交通事故に強い弁護士に相談することが重要になります。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,歩行者の交通死亡事故や遷延性意識障害,高次脳機能障害等の重篤な後遺障害の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(16)

2025-07-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5.評価損
(2)所有権留保車両,リース車両等の場合(1)
・ 所有権留保付自動車が損傷したことによる評価損は,車両使用者ではなく,車両の交換価値を把握している所有権留保者が取得するとした
・ 被害者が,割賦払いの最終回の時点において残存するであろう車両価格を最終回の支払い分とし,最終回の支払いに際して同支払額による車両購入,再分割,車両返却のいずれかを選択する制度を利用して車両を購入し,最終回の支払額395万6000円と確認し車両返却を申し出た後に事故に遭い,186万2774円を要する修理後の被害車両の査定価格が255万円とされたため,差額140万6000円の支払いを余儀なくされた場合に,これを特別損害ということはできず,事故による被害車両の価格低下により,追加支払額相当の損害が事故時に現実化したとして,追加支払額を損害と認めた。
  ・ 所有権留保付き売買において代金を完済すれば買主は車両の所有権の変形物として売主が取得した第三者に対する損害賠償請求権を取得するところ,立替金完済までローン会社に所有権が留保されるオートローン(立替払)契約により車両を購入した場合もこれと同様に考えられるとして,事故後に立替金を完済し所有権を取得した者に評価損の請求を認めた。
・ 事故後リース契約を中途解約し,リース会社に対し清算金を支払ったトヨタ・レクサス(初年度登録2年4か月,走行距離4万8315km)につき,レッドブックの価格が800万円を超える高級車であり,損傷がルーフパネル部や足廻り構成部品にも及び,修理費は189万4116円であったこと,リース会社に対し低い査定額に基づく清算金の支払いを余儀なくされたことから,60万円(約32%)の評価損を認めた。
・ 事故前にリース契約の解約申入れをしていたレクサス(新車購入時本体価格1115万円,オプション・付属品込み販売価格1231万円余,登録後2年経過,走行距離2万8947km,事故後提示の中途契約金全額978万円余を支払い権利譲渡を受けた)につき,事故時の時価額をレッドブックにより854万円と認定した上,事故後の売却代金は750万円であることから,損傷修理をしても回復されない交換価値の低下があるとして,評価損として104万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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