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【コラム】:物損(9)

2025-05-09

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(3)所有権留保車両,リース車両等の場合
・ リース車両のベンツが乗用車に追突され,修理費用800万円を超える車両保険金1300万円を取得している者が,リース残価約1727万円から車両保険金受領分1300万円を控除した残額427万円の車両損害を請求した事案につき,リース残価は,物の客観的価値を超える金融の対価として特別損害に当たり,これを特に予見し又は予見し得たという事情があったと認めるに足らないとして,請求を否認した。
・ オートリース契約の貨物自動車につき,所有権侵害に基づく損害賠償請求権は原則としてリース会社に帰属するが,物的損害にかかる損害賠償請求権については使用者が行使しリース会社は行使しない旨の合意があることから,使用者は損害賠償請求権を行使できるとして,損害額は残リース料ではなく,車両の時価評価額を認めた。
・ リース車両が全損となった結果,契約に基づくリース契約解約金(141万2430円)を負担したユーザーが当該解除金全額を加害者に請求した事案につき,加害者は被害者に車両時価を超えるリース契約解約金の損害が発生することも予見可能であったというユーザー側の主張を排斥し,ユーザーは車両の時価(121万7000円)の限度で賠償を受けることができるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:連休中の交通事故にご注意ください

2025-04-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,過去5年間のゴールデンウイーク(4月25~5月7日まで)の交通事故死者数は32人となっています。そのうち約半数の15人が歩行者となっています。そのうち13人が高齢者となっており,ゴールデンウィーク中は,高齢歩行者の死亡事故が多発していることが分かります。
 ドライバーは,横断歩道を渡る人がいる場合は,必ず一時停止をしましょう。また,歩行者も,道路を横断する場合は,横断歩道を利用することが大切です。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R7-5-2point.pdf

 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。
 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,連休中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じたなど,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,「あおり運転」の被害に遭う可能性もあります。
 もし,「あおり運転」の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,「あおり運転」の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によってケガをした場合は,損害賠償を請求することができます。
 「あおり運転」の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,「あおり運転」に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(8)

2025-04-18

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(2)車両時価の算定例(3)
・ 初年度登録昭和62年の大型自動二輪車(スズキ カタナ)について,ベース車両価格を同車種で年式が近接した車両の平均中古販売価格を基とし,これに,事故の10年前から順次取り付けられた改造部品総額に直近の改造費を加えた額の2割を加算した金額を原告車の時価額とした。
・ ボディコーティングがされていた自家用大型自動二輪車につき,購入日から事故日まで約1か月半で近接していたことから,ボディコーティングを含めた同車種の新規購入価格を車両損害として認め,未利用自賠責保険料5370円,未利用重量税5383円も認めた。
・ ポルシェ・911ターボ(1996年式)につき,日本及び米国のインターネット上の中古車販売サイトにおける同車種・同年式の車両の価格水準,走行距離(事故から約9か月後の時点で3万7878km)を考慮すると事故当時の時価は2000万円を下らないと認められ,レッドブックに記載された中古車小売価格480万円は同車種・同年式の車両の実際の取り引きにおける価格水準を適切に反映している物とは認められず,レッドブックを基礎として時価を算定するのは相当であるとはいえないとして,発売当時の新車価格1680万円を上回る2000万円をもって車両損害額と認めた。
・ 引渡後2か月以内の中古大型自動二輪車につき,事故までの間に被害車両の価格が大きく下落したことを窺わせる証拠はないとして,購入時の車両本体価格を損害額とした。
・ 初年度登録後約4年,走行距離33万kmの大型貨物車につき,特別な仕様が施された事業用車両の時価額は個別性が強く,購入段階で相応の値引きがされていること等が推認できることからすると,レッドブック価格ではなく,実際の取引価格(インターネット上の価格等)を参考に時価額を算定するのが相当であるとした上で,当該車両には特別架装がなされていること等を考慮し,車両本体部分及び標準架装部分の時価額に11%の特別架装部分の時価額を加算した金額を車両時価額とした。
・ 初年度登録から約4年経過のマツダアテンザワゴンにつき,中古車市場での車両価格が169万8000円から255万円であることが認められるとして,車両損害額を212万4000円と認めた。
・ 登録後12年を経過した車載クレーン付貨物自動車につき,事故後に購入した中古の同車種の価格を参考に,走行距離1万kmごとに1万円減価評価し,324万円の車両時価を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(7)

2025-04-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(2)車両時価の算定例(2)
・ 98年式ハーレーダビッドソン誕生95周年限定記念モデル(生産台数3000台)につき,購入額100万円以上の損害を認定することは,所有している物の客観的価値を回復させるという点で,原状回復以上の利益を与えることにならないとして,時価額230万円を損害額とした。
・ 新車登録後10年2か月,累計走行距離約139万kmのトラクタにつき,原告会社で稼働中の46台中,新車登録後12年以上の車両が12台あり,うち3台は15年以上経過していること,被害車両の累計走行距離を超える車両は8台あり,15年以上経過している車両の累計走行距離はすべて175万kmを超えていることから,耐用年数を法定の5年ではなく,15年として,購入価格1296万円に定率法による残価率0,215を乗じた278万6400円を車両時価額とした。
・ メーカーオプション付きのレクサスRXについて,メーカーオプションは,車両の価値向上に資するオプションで,かつ容易に他の車両に転用が効くものではないことから,その価格は,車両時価額に加算して計算すべきとした上で,メーカーオプションによる価値の増加も,車両本体と同様に購入価格から2割を減価した8割に限定されるとして,車両本体の時価額524万4000円にメーカーオプション分26万0400円を合算した金額を時価額とした。
・ カーボンフレーム等が損傷したスポーツバイクの自転車(2年前に58万9000円で購入)につき,時価は,適当な中古市場がないため減価償却の方法で算定するほかなく,スポーツバイクとして負荷のかかる使用が予定されている一方,用途に応じた耐久性を備えていることに鑑み,耐用年数を5年として減価償却した42万4080円とし,修理費用(66万0588円)が時価を上回るとして,経済的全損とした。
・ 初年度登録後10年,走行距離15万4700kmの洋型霊柩車につき,特殊用途の車両は,中古車市場に多数流通しているわけではないため,取得価格から一定の方法で減価して時価を把握する方法によることもやむを得ないとし,ベース車両(トヨタ・クラウンエステート)の新車価格367万5000円に改造費用412万2500円を加えた779万7500円を新車価格とした上で,ベース車両のレッドブックに基づく減価率約71%を控除した226万1275円から走行距離による減価をした195万1275円を認めた。
・ 事故に先立つ10日前に有効期間1年の車検を受けた事業用中型貨物自動車(冷凍車,初年度登録後16年,走行距離92万km)の経済的全損の事例について,車両時価額101万円(新車価格の10%)のほか,残存車検期間に相当する車検整備費用49万9059円について相当因果関係ある損害とした。
・ スバル・ディアスワゴンの車両時価の算定について,レッドブック掲載価格の42万円を基本として,同書の加減評価参考値において,車検の有効期限が4か月未満の場合3万5000円を,走行距離が約11万km,初年度登録から120か月以上経過している場合には7万円をそれぞれ控除することになっていることから,車両損害額を31万5000円と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(6)

2025-04-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(2)車両時価の算定例
・ 登録後14年余を経過して評価額0円の小型乗用車につき,車検期限までの96日間,1日2000円の割合による19万2000円の使用価値を認め,この使用価値相当額をもって車両損害とした。
・ 事故の約2か月前に購入したばかりで経済的全損となった中古車(平成2年登録,平成12年購入)につき,実際の購入価格をもとに,定率法(償却期間6年間)による減価償却を行った。
・ 初年度登録から10年,走行距離約13万km,ロリンザー(西ドイツのベンツ用パーツの会社)パーツ装着のベンツ(500SEL)につき,車両の時価および損傷したパーツ代金について民訴法248条を適用し,新車価格の15%にあたる228万円を損害額とした。
・ 2年経過の営業用貨物自動車につき,同型式,同年式の車両の時価は230万円であると認め,事故発生直前に29万円余を支払い車検を受けたことを考慮して,代替車両調達価格を250万円とした。
・ インペリアルルバロンYK44につき,クラシックカーとしての価値があることを示す証拠はないから修理見積もり以上の価値は認められないとし,車両価格がオートガイド社からの聞き取りで65万円から100万円までが相当とされたことなどから,買替に伴う諸費用を考慮して,損害額を100万円とした。
・ 自動車販売会社が顧客に新車(トヨタ・クラウンロイヤルサルーン)を納車する際に生じた事故につき,改めて新車を調達したことによる車両本体価格,メーカーオプション価格,付属品価格,税金,諸費用等合計468万円余から,被害車両の本件事故による損傷を修理しない状態の評価額358万円余を控除した額を損害と認めた。
・ 郵便物集配業務のため郵便金庫等の特別仕様を施した郵便車(事故当時の標準社のレッドブック価格34万1000円)につき,当該使用の同種同等の中古車の一般市場がない場合については,同種同等の中古車取得価格に同種同等の使用を施した場合に要する価格を加えたものとしたうえ,特別仕様分の価格55万円についても車体本体と同比率程度の経年による減価(標準社の新車価格とレッドブック価格の比較により37%)を考慮して20万3500円とし,合わせて54万4500円を時価額とした。
・ 被害車両と同程度の車両を購入した場合には消費税相当額が加算されることから,被害車両時価額の消費税分3万0900円についても相当因果関係のある損害と認めた。
・ 減価償却後簿価0円のトラクタ,セミトレーラーにつき,大幅に減額された価格で大量購入していたこと,運送業界において法定耐用年数を大きく超えて使用することが少なくないこと,保安基準緩和の認定を受けていたこと,セミトレーラー部分は基準緩和により積載量が増加していたことから,トラクタ部分については新車価格を基礎に,セミトレーラーについては新車価格に1割加算した金額を基礎に,それぞれ耐用年数10年(残存率0.108)として128万円4120円,80万8315円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(5)

2025-03-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
物理的または経済的全損,車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には,事故時の時価相当額と売却代金の差額が認められます。
車両の時価は,原則として同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額です。

(1)買替の要否
・ ベンツ600を修理せずに新車に買い替えた場合につき,事故当時の時価額と事故後の時価額の差額722万8000円は車両損害と認めず,修理費509万円余を車両損害とし,ベンツの安全性をどの程度重視する(どの程度安全性に不安を感じる)かは,もっぱら主観的な問題であるから,買替の費用を加害者に負担させるのは相当とは言えないとした。
・ 価格722万円余の新車ベンツが引き渡しの20分後に追突された場合(未修理状態での下取価格は最高でも130万円)につき,既に一般車両と同様に行動において通常の運転利用に供されていた以上,引き渡し直後だったことは,新車の買い換えを肯定すべき特段の事情とまではいえないとして,新車の買替を前提とした車両損害の請求は認めず,修理費339万円をもって車両損害とすべきであるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(4)

2025-03-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

2.経済的全損の判断(2)
 ・ 10年9か月経過のキャリアカーにつき,税法上の償却期間はすでに経過していたものの,原告会社では新車登録後12年ないし15年の車両が多数走行し,営業に使用されていることから,新車価格1094万円,15年経過後0円とし,定額で減価すると11年後の価値は290万円になるとして,修理費219万0552円を認めた。
 ・ 事故の約8か月前に130万円で購入したカワサキ・ZRX1200Rの修理費122万7992円につき,同車種・型式・年式の中古車小売価格は新車価格の約85%であると推定されていることから,車両価格を110万5000円と認め,買替諸費用は10万円を超過する場合も多いことから,修理費が車両価格に買い替え諸費用を加えた金額を上回る蓋然性が高いとは認められないとして,修理費をもって車両損害と認めた。
 ・ 平成18年式ヤマハシグナスXF1(124cc)につき,同一の車種・年式・型のものは市場にはほとんど存在せず,インターネットサイトで取引されている平成19年式の同型のもののうち最も走行距離が長く廉価なものが18万9000円で取引されていることから同額を時価相当額とし,本件事故態様等から修理費は時価相当額及び買替諸費用の合計額を上回るとして,時価相当額及び買替諸費用を損害と認めた。
 ・ 被害車両の経済的全損,すなわち,適正修理費用が事故前の被害車両の価格及び買替諸費用の合計額を上回ることは,適正修理費用の賠償を免れようとする加害者において立証する必要があるとし,被害車両の本体価格に電動サンルーフ・カーナビ・アルミホイール等の価格及び消費税等の買替諸費用を加算した価格は,適正修理費用を上回り,経済的全損とは認められないとして,同額の修理費用を認めた。
 ・ 普通自動二輪車(平成16年式,事故は平成25年9月)につき,修理費用は41万6270円程度で,インターネットで同種・同型車を平成16年より年式の古い車に限定して検索すると平均値が33万1863円(19件)であることから,経済的全損として,少なくとも原告主張の33万2000円が時価相当額と認めた。
 ・ タンクローリー(平成25年式,事故は初年度登録から約4年6か月経過した平成29年9月)の時価につき,購入価格665万円を基準に,平成29年度の自動車平均使用年数が16.71年とされていること,被害者がタンクローリーを1番古いもので十何年間使用している旨を述べていることも考慮し,耐用年数を17年,残存価値を10%として361万円余と認めた。
 ・ 初年度登録から約6年経過したタクシー用車両につき,同一の車種・年式・型式の平均中古販売価格を元に時価55万円とした上で,タクシー使用に全塗装する場合,40万円前後の塗装費用を要するとし,塗装費用と最低限必要な数万円程度の買替諸費用を加えた価額は修理費用94万9069円を上回るとして修理費の賠償を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:自転車利用時の交通事故防止

2025-03-14

 愛知県警が作成している「交通事故防止のPOINT」は,現在「道路横断中の交通事故防止」,「自転車利用時の交通事故防止」,「自動車運転中の交通事故防止」,「歩行者の交通事故防止」が公開されています。
 今回は,暖かくなり外出の機会が増えること,春休みになり小中学生の自転車利用が多くなること,新年度になり新たに自転車で登園,通学,通勤する人がいることから,「自転車利用時の交通事故防止」を紹介します。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R7-2point.pdf

 自転車事故は,約8割が交差点で発生しており,約6割が出合頭事故によるものです。見通しのきかない交差点に進入するときは,必ず徐行するようにしましょう。
 また,自転車死傷者の約8割には何らかの法令違反があります。信号無視,一時不停止,右側通行,携帯電話使用などをせず,交通ルールを守ることで交通事故を防ぐことができます。
 さらに,頭部を負傷してなくなる方が多くを占めていますので,ヘルメットを正しく着用し頭部を守ることで,死亡リスクを減らすことができます。

 自転車は,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまや高齢者の方を含め,普段自動車を運転しない方も,たくさんの方が使用しています。
 しかしながら,自転車による交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な後遺障害が残存する事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。

 後遺障害の中で重篤なものとして,頭部を損傷することで生じる,遷延性意識障害や高次脳機能障害があります。
 遷延性意識障害や高次脳機能障害となると,被害者のみならず介護を行う家族の生活が,事故前とでは一変することになります。

 なお,交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為(危険行為)を繰り返す自転車運転者に対して,自転車運転者講習の受講が義務づけられておりますが,ながらスマホと酒気帯び運転についても,対象となりました。
 自転車運転者講習は14歳以上が対象となっていますが,ぜひ,13歳未満のお子さまも,信号の遵守,一時停止,左側通行などの基本的なルールを改めて確認していただき,正しく安全に自転車に乗りましょう。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,自転車の交通死亡事故や遷延性意識障害,高次脳機能障害の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(3)

2025-03-07

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

2.経済的全損の判断(1)
修理費が,車両時価額(消費税相当額を含む)に買替諸費用を加えた金額を上回る場合には経済的全損となり,買替差額が認められます。下回る場合には,修理費が認められます。
 ・ 物損による被害は,被害物件を修理する以外に同種のものを入手することができないような特別な事情がない限り,被害物件の価値を限度と解すべきものであり,被害者が愛着を持っていた車であるからといって,その価値を上回る修理費を損害と認めることができないとした。
 ・ 同種同年型式の車両は少なくとも1044万円以上はする中古観光バスにつき,観光バスとして業務に使用し,営業の用に供するためには特別の塗装,内装,設備等を要するとして,中古車価格の1.2倍程度の修理費全額である1250万0590円を車両の損害と認めた。
 ・ 1980年製の並行輸入車フェラーリにつき,事故直前の購入時の契約書などの書証が提出されず,事故時の時価は明らかにならないものの,フェラーリは製造後長期間経過したものであっても,カーマニアの間では憧れのスポーツカーとして相当な価値を有しているとし,経済的に修理不能であるとは認められないとして,修理見積費用14万7000円を含め修理費319万3069円を認めた。
 ・ 修理費の額と比較すべき車両全損を前提とする評価損は,車両時価額のみに限定すべき理由はなく,これに全損を前提とした場合に損害と認められるべき車検費用,車両購入諸費用等を含めた額とすべきであり,修理費の額がこれらの合計額を下回る場合は,経済的全損と判断することはできないとした。
 ・ 初年度登録から11年目の乗用車(車種不明)につき,時価額は新車価格の1割の26万円,修理費は39万8870円であるが,経済的全損とすると自動車税,登録費用,納車整備費用等の買替費用合計11万4615円が必要となるので,修理費が経済的全損とする場合を著しく上回るとはいえず,修理費用相当額をもって損害とした。
 ・ 初年度登録後12年以上が経過したトヨタ・スープラにつき,約8か月前に70万円で購入したこと,中古車市場における同種車両と対比して,走行距離も3万kmと極端に少ないことから,日本自動車査定協会の「中古車価格ガイドブック」による24万5000円程度にとどまるとの被告の主張を排斥し,時価は修理費57万2250円を下回ることはないとして,修理費の賠償を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(2)

2025-02-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

1.修理費
(2)修理未了の場合
・ 1966年製メルセデスベンツ250SEカブリオレの修理費用について,修理する場合に要する費用が損害となるから,修理未了の場合であっても,消費税を控除する理由はないとして,430万0401円を認めた。
・ 修理が可能であるが,修理をせずに下取りに出して買い替えたスバル・インプレッサにつき,消費税分を含む修理費用を損害と認めた。

(3)所有権留保車両,リース車両等の場合
  ・ 名目上の所有権はリース会社にあるが,修理・保守の義務はユーザーが負担することになっていることから,修理費用をユーザーの損害と認めた。
・ 所有権留保車両の修理費について,留保所有権は担保権の性質を有し,所有者は車両の交換価値を把握するにとどまるから,使用者は所有者に対する立替金債務の期限の利益を喪失しない限り所有者による車両の占有,使用権限を排除して自ら車両を占有,使用することができる固有の権利を有し,車両が損壊されれば所有者に対し車両の修理・保守を行い担保価値を維持する義務を負うことから,所有権留保車両の損壊は使用者に対する不法行為に該当し,使用者は加害者に対し物理的損傷を回復するために必要な修理費用相当額の損害賠償を請求することができ,請求にあたり修理の完了を必要とすべき理由はないとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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