【コラム】:休業損害について(家事従事者の算定方法)
被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。
第4回は,家事従事者(主婦)の休業損害です。
家事従事者(主婦)の休業損害で問題になることが多いのは, ①算定方法,②主夫や,世帯の妻以外は請求できるかです。
まずは,①算定方法について説明させていただきます。
算定方法は大きく2つありますが,どちらも正しい方法であり,どちらで認定する裁判例もあります。
❶実通院日数を基準とする算定方法,❷喪失率に応じた逓減方式とする算定方法です。
順に説明させていただきます。
❶実通院日数を基準とする算定方法
ⅰ日額×ⅱ実通院日数として算定します。
ⅰ日額
家事従事者の日額につき,自賠責保険は5700円です。保険会社が賠償額を提示するときも,日額5700円で算定を行うことがほとんどです。
しかし,日額9976円が適正な金額です。
家事従事者の年収は,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を参考にしますが,平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。365日で割ると日額は,9976円になります。
保険会社の提示する日額と,適正な日額とでは,約2倍の差が生じます。しまかぜ法律事務所では,日額9976円の適正額で解決を行います。
ⅱ実通院日数
重大事故でない限り,事故日~治療終了までの全期間に応じた実通院日数で算定することはありません。
むち打ち事故などでは,特に家事に支障が生じる3ヶ月ほどに応じた実通院日数で算定することが大半です。
保険会社が実通院日数の対象期間として提示する期間は短いことが大半です。しまかぜ法律事務所では,主治医に医療照会を行うなどして適正な期間に応じた実通院日数で解決を行います。
❷喪失率に応じた逓減方式
実通院日に限らず,家事は毎日行うものです。そのため,実通院日に限らずに,家事能力の喪失率に応じて段階的に算定する方式です。
家事従事者の年収は,先ほど説明したとおり,364万1200円です。12月で割ると月額は30万3433円です。
例えば,むち打ち事故で,6ヶ月で治療終了した場合,ⅰ事故後2ヶ月は家事能力の喪失が大きく60%,ⅱ徐々に回復して,事故後3~4ヶ月は家事能力の喪失率が30%,ⅲ更に回復して,事故後5~6ヶ月は家事能力の喪失率が10%というように喪失率を段階的に算定します。
この場合,ⅰ事故後2ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月間×60%=36万4120円,ⅱ事故後3~4ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月間×30%=18万2060円,ⅲ事故後5~6ヶ月は,月額30万3433円×2ヶ月×10%=6万0587円として,休業損害の総額は60万6767円となります。
重大事故の場合,入院中はもちろ喪失率100%です。退院後は,回復の程度に応じて段階的に喪失率を設定して請求していきます。
しまかぜ法律事務所では,主治医に医療照会を行うなどして適正な喪失率で解決を行います。
しまかぜ法律事務所は,❶実通院日数を基準とする算定方法,❷喪失率に応じた逓減方式とする算定方法のいずれがより適しているかを,依頼者ごとに考え,適正な賠償額で交渉します。休業損害でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。