【コラム】:同乗事故における減額(8)
2.同乗者のシートベルト等の不装着が問題となった事例
同乗者のシートベルト不装着と損害の発生・拡大との間に因果関係が認められる場合には,減額されることがあります。
(1)同乗車両の運転者との関係で減額
・ 普通貨物車が運転者の車線変更時の脇見によって停車中の大型貨物車に衝突し,助手席に同乗していた被害者が死亡した事故につき,被害者は加害運転者とともに飲酒し徹夜に近い状況で同乗していたものの,加害運転者の酒気帯びの程度からは事故発生を直ちに加害運転者の過労・飲酒とは結びつけられないとし,シートベルト不装着についても,車体の助手席側が後方に引き裂かれるように損傷していたこと,同じく不装着の加害運転者に大きな怪我がなかったこと等から,被害者の死亡とシートベルト不装着との間に因果関係があるとはいえないとして減額を否定した。
・ 加害運転者の乗用車後部座席に同乗中,時速144キロで走行の後スリップして道路側壁に衝突した衝撃で後部座席左側から右前方に押し出された被害者の額にフロントガラスを突き破ったガードパイプが衝突して死亡した事故につき,被害者は,同乗中は基本的に寝ていたことから危険の増大に関与したり危険を容認していたとはいえず,後部座席のシートベルト不着用についても,本件事故は運転者の無謀運転に起因し,運転者はシートベルトの着用を何ら求めていないことから,過失相殺を否定した。
・ 乗用車が運転者の脇見によって道路左側の防護壁に衝突し,反動で対向車線の軽自動車と衝突した衝撃で助手席に同乗していたシートベルト不装着の被害者が車外に投げ出され脳挫傷等で死亡した事案につき,加害運転者が被害者にシートベルトを着用させる義務があるのにこれを怠ったこと,法定速度を上回る速度で脇見運転をした等の加害者の過失が自動車運転者としての基本的な注意義務を怠るもので重大であること等から過失相殺を否定した。
・ 運転手である加害者が同乗者に対してシートベルトを着用させる義務を負う者であり,被害者に過失を認める特段の事情があるとも窺えないとして過失相殺を否定した。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
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