【コラム】:慰謝料(17)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
⑪ 11級の事例
・ 会社員(27歳,下顎神経障害12級,歯牙欠損12級,外貌醜状12級の併合11級)につき,未婚女性として多大な苦痛を受けることを考慮して500万円を認めた。
・ 主婦兼女優・ホステス(事故時38歳,歯牙障害13級,頸部痛や背部痛等14級,肩甲骨痛や上肢しびれ等12級,顔面の三叉神経麻痺12級の併合11級)につき,後遺障害の内容,眼瞼下垂などによりホステス業及び女優としての活動が困難になったこと,心理的なストレス,事故後の加害者側の対応等を考慮して590万円を認めた。
・ 勤務医(固定時37歳,頭部外傷後の記憶障害12級,複視12級の併合11級)につき,障害の内容,これに伴う日常生活への影響,本件事故の態様等を考慮して500万円を認めた。
・ 二輪車の国際A級ライセンスや優勝歴のあるドラッグレースプロレーサー兼会社員(固定時32歳,脊柱変形11級,頸肩痛14級の併合11級)につき,プロレーサーとして活動できなくなったことも考慮し,レーサーとして労働能力喪失率100%を8年間,会社員として10%を35年間の逸失利益を認めた上で,傷害分124万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 競輪選手(固定時34歳,脊柱の変形障害11級)につき,被害者が長年競輪選手になるという夢を抱き,その夢を努力の結果叶えて競輪選手として約8年にわたって活動してきたにもかかわらず,本件事故後,活動できなくなったことなど特別の事情を加味し,傷害分250万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 知能犯係刑事(固定時34歳,第11胸椎圧迫骨折による脊柱変形11級)につき,固定後も背部痛の軽減を目的として通院を続けていることを考慮し,傷害分242万円のほか,後遺障害分500万円を認めた。
・ 焼鳥屋店員(固定時29歳,嗅覚脱失12級,歯牙破折13級,顔面部醜状障害14級の併合11級)につき,嗅覚障害により将来の夢であった和食飲食店の開店を断念せざるを得なかったこと,調理人として生きていくことができなくなったことなどを考慮し,傷害分213万円余のほか,後遺障害分500万円を認めた。
・ 教諭(固定時51歳,第三腰椎圧迫骨折による脊柱変形11級)につき,傷害分200万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 施盤工(固定時39歳,右股関節機能障害12級,右下肢短縮13級の併合11級)につき,将来人工関節置換手術を受け一定期間入通院を要する可能性があることなどを考慮し,将来治療関係費等240万円余の他に傷害分360万円,後遺障害分450万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。