【コラム】:慰謝料(20)

2024-05-10

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑬ 13級の事例
   ・ 主婦(67歳,労働能力に影響のない蝶骨障害,左手の障害13級)につき,約30年にわたってやっていた能管(能の舞台等で演奏する横笛)が全く出来なくなり小鼓が長時間続けられなくなったとして,傷害分210万円,後遺障害分300万円を認めた。
   ・ 会社員・メカニック(固定時26歳,左手ひとさし指欠損等13級)につき,左手ひとさし指の激痛,左足の痛みで立ち作業が困難となりメカニックを断念したことに鑑み,傷害分70万円,後遺障害分200万円を認めた。
   ・ 主婦(固定時51歳,頸部痛14級,視力低下13級の併合13級)につき,220万円を認めた。
   ・ 女児(固定時3歳,片方の腎臓の機能喪失13級)につき,成人期に達するまで定期的な検査が必要とされること,今後腎機能の全廃の危険性等の不安を抱えながら生活していくことを余儀なくされること等から後遺障害分230万円を認めた。

  ⑭ 14級の事例(1)
   ・ 石工(38歳,左上肢の知覚障害等)につき,巧緻な手作業と集中力を要求される仕事の特殊性,唯一の生業としてきた石工の仕事に復帰することが困難な状況に置かれていること等から180万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時47歳,頭部外傷後遺症・外傷性頸部症候群14級相当)につき,事故の3年後に体幹機能障害(起立困難)で身体障害等級2級の認定を受けたことは事故前からのベーチェット病の進行によるとしたが,事故のストレスが進行を早めた可能性があるとして,傷害分100万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ メキシコでプロサッカー選手として活躍した実績を有する被害者(事故時27歳,寒冷時,運動時,長時間の起立時における右足関節の痛み14級)につき,将来,数年間はいずれかのチームでプロサッカー選手として活躍する機会があったと推測されるとし,事故により事実上プロサッカー選手としての選手生命を絶たれたことから,250万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時32歳,膝関節と頸椎の神経症状各14級,併合14級)につき,事故が退職に原因を与えたことは否定できないこと,被害者に落ち度は無いこと,症状固定後も自己負担で接骨院等に通っていること,加害者の事故後の対応には誠実さを欠いていたこと等を考慮して250万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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